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掲載日:2023年5月17日
Q 木下高志議員(自民)
県民満足度調査(施策関係者調査)は、過去の県政サポーターアンケートにおいて、満足度の回答に「わからない」と答えた割合が30パーセントである障害者支援の2施策と産業振興の5施策について、調査を補完する意味で施策関係者に対して行われました。この中で、特に注目したいのは産業振興です。
調査によれば、産業振興施策に対して、「満足している」及び「ある程度満足している」の割合が74.7パーセントと好結果を示しております。これがこのグラフです。トータルで評価すると74.7パーセントが満足をしているという、このような評価になっております。
しかし、この調査の対象は、施策に関係する各分野で活躍されている方の1,362人からの回答であり、回収率は46.1パーセントです。その内訳を見ますと、産業振興の調査回収率は39・7パーセントの結果でした。つまり本来の県民満足度調査では、施策の効果が「わからない」との意見が30パーセントを超え、それでは関係者に聞こうと調査をしても、最終的に産業振興の調査回収率は39.7パーセントの267人の意見しか集まらなかったわけです。そして、その中の74.7パーセントの199人が「満足」と評価したので、グラフは揚々とした上昇傾向を示し、埼玉県全体の産業政策が光り輝くという流れは、いささか違和感を禁じ得ません。
さらに、この関係者としてどのような方が対象者になっているか調べたところ、商工会議所や商工会の会員、県内金融機関であることが分かりました。これでは、お手盛りの評価になる可能性があるのではないかと思います。言葉ではわかりづらいので、パネルで説明いたします。
県民満足度調査がございました。30パーセントの方が「わからない」と答えた産業施策。それでは、施策の関係者に聞いてみようとしましたら、回答が267人しか返ってこなくて、そして「満足」と答えた人は199人、74.7パーセントであったという、こういう状況であります。この199人が「満足」と答えると、このような表になるということを申し上げているわけでございます。
県では、その名称が県民に分かりにくい施策である「通商産業政策の地方分権化」を進めてきました。その効果はいかがなものでしょう。しっかり検証する必要があるのではないでしょうか。産業振興に関する県民満足度の実態も踏まえ、これまで進めてきた県の産業政策の効果を知事はどのようにお考えなのか、お伺いいたします。
A 上田清司 知事
県が施策関係者として意見を伺っている商工会議所、商工会には、県政への評価が甘くなる可能性があるのではないかという御指摘も一理ある、私もそのように思います。
しかし、一方で商工会議所、商工会のメンバーは、同時に任意の団体であります経営者協会、経済同友会、中小企業家同友会、産業人クラブなど、そうした人たちもこの商工会議所や商工会に加入されておられます。
御承知の通り、これら経済団体のメンバーは、いずれもしっかりとした企業を経営しながら、異業種交流を求めたり、共同研究をされたり、非常に熱心な経営者の方々でございます。
私もよく意見を伺う機会がありますが、正直言って真剣な仕事ぶり、勉強をなさっていることなど、そういうこともあり、県庁に対しては、どちらかと言えば厳しい意見を率直に言われる方々が多いわけであります。
そういう意味では、県政への評価は、総じて中立的ではないか、このように思っております。この辺は考え方の違いがあるかもしれませんが、私はそのように思っております。
「通商産業政策の地方分権化」は、これまで産業や雇用は国の責任で行ってもらうものだという、どちらかというと県の主体性が欠けておりました。そういう意味で、県の主体性を取り戻すために、県も主体的に産業を興し、雇用の拡大に取り組む姿勢を言葉で示したものでございました。
通商産業政策の地方分権化の取組は、「新たな産業の創出」、「海外展開の支援」、「県内への企業誘致」などが中心であります。
新たな産業の創出では、昨年度からスタートした先端産業創造プロジェクトにおいて、ナノカーボン、医療イノベーションなどの5分野を重点分野と位置付け、取組を進めております。
各分野で様々なテーマの研究開発が本格化しており、例えばナノカーボン分野では、新素材開発に対する補助金によって、工場や資源開発の現場で使用する耐久性の高い部品や発熱シートなどの成果も出てきております。
海外展開の支援では、平成22年に中国、その後、ベトナム、タイに現地支援拠点を設置し、貿易投資相談やビジネスマッチングなどを支援してまいりました。
現地情報の提供や現地法人設立手続きの相談、取引先開拓・マッチングなど2,201件の支援を行い、25の法人が設立されております。
企業誘致においては、ワンストップ、クイック、オーダーメードサービスなどで企業の立地ニーズに迅速に対応しております。
この企業誘致大作戦を開始した平成17年1月以降、本年9月までに、826件の立地を実現し、新規雇用者数は約27,700人、投資総額は約1兆2,430億円に達しております。
過去10年間の企業本社転入超過数は1,013社で全国1位でございます。
平成15年3月末から平成27年3月末までの12年間の銀行貸出金残高の増加額は、3兆2,810億円で東京都に次いで全国2位です。
この間、大阪府が約7兆8,000億円のマイナスとなっていることを見れば埼玉の元気が見えます。平成15年度から24年度の10年間の県内総生産の変化を見ますと、デフレが進む中で増加したのは全国で7県しかなく、その中で本県はプラス0.7%で全国5位の成長率になっています。
また、この間の県内総生産の全国シェアの増加ポイントは0.17となり、愛知県に次いで全国2位になっております。
グロスとしての埼玉県経済は、全体的には健闘している、このように理解しております。
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