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掲載日:2023年5月18日
Q 石渡 豊議員(公明)
陸の孤島と言われた伊奈町は、30年前、電車ニューシャトルが運行され、大きく発展を見ました。運行会社は、本県が35パーセントの株を持つ埼玉新都市交通株式会社です。
大宮を起点とされ、さいたま市、上尾市、伊奈町へと走ります。伊奈町は子供が多いです。小学校や保育所を新設しました。学校も多いです。県立伊奈学園、栄北高校、国際学院高校、日本美術専門学校、埼玉自動車大学校、日本薬科大学があります。その学生、生徒数は7,300人を超えます。こうした学校の保護者の方々から強い要望が寄せられています。それは、通学定期の割引率を上げてくださいというものです。伊奈町の町長さんからも、多くの町民が要望されています。伊奈町議会でも取り上げられています。よろしくと託されました。
ここで、ニューシャトルとJR、両者の通学定期を比較します。比較に当たっては、1か月定期とし、区間キロ数は同等とします。分かりやすくと、羽貫駅を利用される県立伊奈学園の生徒が使う定期といたします。
比較の1点目、通学定期の金額です。大宮―羽貫間、11.6キロメートルですと、JRは5,150円、一方、ニューシャトルは1万460円、その差5,310円、2倍以上です。保護者の負担は余りにも大きいです。要望は当然です。
比較の2点目、今度は通学定期の割引率です。大宮―羽貫間ですと、JRは64.2パーセント、一方、ニューシャトルは50.1パーセント、その差14.1パーセントあります。割引率は確かに低いです。ならば、割引率をJR並みにするとどうなるのか。1万460円は7,510円となり、その差は2,950円です。保護者の家計負担は軽減され、手応えのある子育て支援となります。
お伺いします。
1点目は、ニューシャトル通学定期にJRの割引率を適用いたしますと、会社の収入減額は幾らになりますか、精緻な計算をもってお答えください。
2点目は、会社の中期経営計画について伺います。今年度は、大幅に利益を出されている。しかし、来年度からは年々、年々、営業利益も経常利益も当期純利益も全て減額見通しです。その原因は何か、具体的にお示しください。企画財政部長の御所見を伺います。
やはり知事にお伺いしなければなりません。
1点目は、通学定期はどこまでも学ぶ者の定期、学生、生徒のための定期です。知事は、ニューシャトルの通学定期代が高い、高いとお感じになりませんか。知事の率直な御感想をお聞かせください。
2点目は、埼玉新都市交通株式会社はおっしゃいます。開業以来の累積損失は解消した、赤字から黒字になったとお客様に胸を張られました。保護者は、これでやっと通学定期が安くなるわと当然期待をされます。知事は、庶民の暮らしに思いを寄せられる方です。子育てを支援して差し上げたいとお考えの方です。保護者の通学定期の割引率を上げてくださいとの願いは、知事の御英断をもってしかかなえることはできません。心温かい知事の御所見をお聞かせください。
A 上田清司 知事
埼玉新都市交通ニューシャトルは、東北・上越新幹線建設に伴い、通勤通学など沿線地域の足として整備開業したものであります。
このため、料金水準にはニューシャトルの沿線需要や輸送能力が反映されるために、長距離・大量輸送のJR東日本と比較するのはちょっと酷ではないですかと少し反論させてください。
また、乗車距離約12キロメートルの1カ月通学定期の割引額を試算すると、JR東日本では9,250円に対して、ニューシャトルは10,540円の割引で、経営上相当な配慮がなされている、このように思います。
私としては、ニューシャトルには、経営上可能な限り県民の負担軽減に取り組んでいただきたいとは考えております。事業規模や経営状況も異なるJR東日本と単純に料金水準を比較することは少し御理解を賜りたいというふうに思っております。
次に、ニューシャトルの通学定期の割引率の引き上げについてでございます。
御案内のとおり、路線距離が短いこと、また車両の規模、乗車員の規模から、開業当初からニューシャトルは自立が困難な経営状況にあったため、旧国鉄、現在のJR東日本、県及び沿線2市1町から施設使用料の減額や補助などの支援を受けて、経営の健全化を図ってきたところでございます。
長きにわたる支援の結果、平成25年度に、会社の累積損失が解消され、車両購入を県や沿線市町からの補助に頼らずに経営できる見通しが立つようになったところでございます。
しかし、平成26年度決算の当期純利益は約4億円にとどまる中、平成27年度からの5年間だけでも合計約45億円の設備更新が必要と見込まれておりますので、4億利益があれば半分くらい出してもいいじゃないかというような気分が外的には見えるかもしれませんが、設備更新というまさに安全上大事な仕事が残っておりますので、内部的にはあまり余裕がないというような判断をしているようであります。
こうした中で、通学定期の減額を行った場合、新規需要の拡大は余り見込めず、減収により会社の体力が徐々に奪われるということも懸念されます。
これまでニューシャトルでは、通勤通学時間帯での増発、1日フリー乗車券の販売など新規需要を喚起しつつ県民へのサービス向上を図る取組を進めてきたところでございます。
県としては、現時点ではニューシャトルが地域住民の足として健全な経営を維持することを最優先に求めていく考え方であります。
しかし、熱のこもった石渡議員の御提案は必ず埼玉新都市交通株式会社の経営陣にお伝えいたします。
A 中原健一 企画財政部長
通学定期の割引制度は会社ごとに区間距離や利用期間の設定が異なっているため、単純に他社の割引制度を適用した減収額を正確に試算することは困難な面がございます。
その前提を御理解いただいた上で、例えば通学定期の割引率を一律70%に引き上げたと仮定して、ニューシャトルに適用して計算いたしますと、定期を利用しない場合と比べて約4億8,000万円の減収となります。現在の通学定期の収入と比べると約1億4,000万円の更なる収入減となることになります。
次に、「中期経営計画で営業利益等が減額の見通しである原因について」でございます。
ニューシャトルの営業利益は、平成26年度決算では6億7,500万円となっております。平成27年度からの5か年の中期経営計画では、初年度は4億4,100万円に留まると見込まれ、平成28年度以降も利益幅は減少すると見込まれております。
これは収入面では、主に消費増税の影響等を堅実に見積もったこと、また、支出面では主に車両更新に係る補助がなくなることで増加する減価償却費や今後の修繕費・人件費の増を見込んだことによるものです。
また、経常利益については、平成26年度決算の6億8,500万円に対しまして、平成27年度は4億5,500万円と見込み、平成28年度以降も減少が見込まれております。
当期純利益につきましても経常利益と同様に減少が見込まれております。
これは、主に営業利益の減少に加え、車両更新のための資金調達に伴う金利負担の増加を見込んだことによるものでございます。
県としては、ニューシャトルが健全な経営を維持するよう、今後とも適切に働きかけてまいる考えでございます。
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