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ページ番号:54711
掲載日:2023年5月19日
Q 山下勝矢議員(自民)
国家間の比較として、国民の豊かさを示す指標としてGDP、つまり国内総生産という指標が使われます。そして、1人当たりのGDPが最も国民の豊かさを示す指標として用いられます。同じように、都道府県民の豊かさの指標として、1人当たりの県内総生産や1人当たりの県民所得という指標があります。豊かさの指標である1人当たりの県内総生産や県民所得から見た場合、知事のこれまでの実績はいかがでしょうか。
結論から申し上げると、合格点は上げられません。1人当たりの県内総生産や県民所得における埼玉県の都道府県順位を伸ばしたり、所得を増やすことについての実績は上げられなかったのであります。
私が、まず最も重視する指標である1人当たりの県内総生産ですが、知事就任半年後の平成16年度版の統計によりますと、県民1人当たりの県内総生産は251万1,000円で、47都道府県中、第45位、そして今年、平成27年度版の統計によりますと、県民1人当たりの県内総生産は303万8,000円で、47都道府県中、44位でした。いずれも、残念ながら47都道府県中の最下位のほうであります。
また、1人当たりの県民所得ですが、平成16年度の県民1人当たりの埼玉県民所得は299万7,000円で、47都道府県中の順位は13位でした。そして、私が知り得る直近のデータを見ると、埼玉県民1人当たりの県民所得については280万6,000円と所得を減らしています。都道府県順位は、茨城県、群馬県、香川県、山梨県に抜かれて順位を4つ下げて、県民1人当たりの豊かさの指標である県民所得は第17位となってしまいました。
私は、知事の業績を評価するに当たりましては、豊かさの指標である1人当たりの県民総生産、1人当たりの県民所得をどの程度増やしたか、都道府県順位でどの程度順位を上げたかを重視しております。
ここで私が問題にしたいのは、埼玉県の1人当たりの県民総生産や県民所得の低さもさることながら、知事の数字や数値指標の使い方への疑問であります。というのは、知事も国内総生産や県内総生産の数字を重視していらっしゃると思います。知事の誇る実績の中に、県内総生産が使われます。我が埼玉県が近年、国内総生産の全国に占める割合の増加額が神奈川県に次いで第2位ということをよく話されます。しかし、埼玉県全体の県内総生産の数字を使う一方で、なぜ1人当たりの県民所得の数字を使わないのでしょうか。埼玉県の数字が低いから余り使わないのでしょうか。まず、お伺いをします。
そして、次に問題としたいのは、おととし、新潟県で行われた講演で、知事が日本経済の話をされた際に、GDP、つまり国内総生産で日本が中国に抜かれたと落ち込むよりも、国民1人当たりの国内総生産が世界18位になった深刻さを捉えるべきだと話をされているんです。つまり、知事はほかの県の講演では、全体の総生産よりも1人当たりの総生産のほうが大事だと言っておられるのに、なぜ埼玉県では埼玉県全体の県内総生産の実績を中心に誇って、県民の豊かさの指標である1人当たりの県内総生産の少なさ、1人当たりの県民所得の少なさに触れないのでしょうか。数字の使い方のダブルスタンダードではないでしょうか。なぜ、他県での発言と違うことを埼玉県で強調されるのか、御答弁をお願いします。
A 上田清司 知事
基本的には、山下議員の問題意識について、私もそう変わるものではありません。新潟の講演なども出されましたけれども県内でも私はそのことを言っております。中国に抜かれて3位になったということを強調してますが、日本の政府は、ピーク時の3位の時期などは、1人当たりのGDPも3位だということを強調しておりましたけれども、下がってからは一切言わなくなりましたので、現実の数字を言った方がいいと私はずっと県内の経済人などを相手にしたときには、よく使っておりますので、それは誤解のないようにしていただきたいと思っています。
そこでまず、「県民所得等について」でございますが、この県民所得の概念については、御承知のとおり、企業所得と、財産所得と、雇用者報酬が合計される。この部分では、全国で5番目、まさにGDPは埼玉県は5番目ということと、人口が5番目というのが、皆さんのご承知のとおりです。ただし、これを総人口で割ったときに、県民所得が必ずしも高くない。それは、一貫して17位であるとかですね。そういう数字が出てきております。御指摘もありましたように、平成24年度、本県の1人当たりの県民所得は280万6千円になり、この数字は全国で19番目に留まっています。
じゃあなぜそうなのかということを申し上げれば、例えば福井県などは、世帯所得が日本で一番だといわれています。おじいちゃんおばあちゃんも働いている、年金所得がある、そして、伝統的に女性の方が働くと。したがって世帯所得は日本で一番だと。しかし、じゃあ県内総生産がどうかというと、実はそうではなく、企業所得が弱いとか、財産所得が弱いとか、そういうことになってくるわけであります。
埼玉県の一番つらいところは、学生や子供たちが多い、そして、核家族化されていることもあり、女性が自ら子供を育てなければならないので、M字型カーブでよく紹介されますように、女性の働き手が圧倒的に少ないことでございますから、どうしてもこういう埼玉県的な性格を持つ県は、実は県民所得そのものは総人口で割ってしまいますから、働き手の少ない県ほど、総人口で割れば割るほど、1人当たりの県民所得は、低いというこういう数字が出てまいります。ご案内のとおり、例えば千葉県も埼玉県と同じように、ほとんど私どもと1位が入れ替わるかどうかの数字であります。やはり千葉県も埼玉県と同じような事情であると。ただし、財産所得の高い、あるいは企業所得が高い東京都とか、愛知県、神奈川県になってくると、いくらかマシだと。そういう数字がでておりますので、この点についてはご理解を賜りたいと思っております。1人当たりの県民所得がなぜ低いかということについては、このような理由になります。
また、1人当たりの県内総生産については、国は、GDPの総額と1人当たりのGDPを出しておりますが、内閣府は今月の3日に47都道府県の県民経済計算の資料を発表しました。私は、興味深く全部読みあげていたところでございますので、いくらか山下議員のご質問にそれでお答えできる部分がございます。この中では、47都道府県別に1人当たりの県内総生産については出しておりません。したがって、なぜそうなのかということについて、まだ分析しきっていませんので、またの機会にさせていただきたいと思いますが、1人当たりの県民所得が、埼玉県がいくらかこういう部分で弱いということをご理解いただければならないと思いますし、将来、ウ―マノミクスプロジェクトなどの進展、あるいはシニアの働きの部分、あるいは財産が蓄積されて財産所得が増えてくる。あるいは、企業所得が増えてくる中で、総人口で割れば一人当たりの県民所得が増える可能性もあるかと思います。一方で、少子化対策のために、子どもを増やすことに対しての政策の打ちこみを行っており、そうすると1人当たりの県民所得を下げることになりますので、この点については、ご理解を賜りたいと思っております。
次に、実際これに加えて、内閣府の統計でございますが、例えば、ご指摘もありましたけれども、本県の名目県内総生産20兆3、740億円で全国順位は5位ですが、上位10県のうち、対前年度で増加しているのは、本県と愛知県しかないんです。それから平成15年度から平成24年度までの10年間を見ても、増加額は4位で、増加率も5位になってるんです。
千葉県は増加額が28位、増加率が14位、東京都は増加額が47位、増加率が23位、神奈川県は増加額が36位、増加率が12位です。首都圏では際立っています。
また、平成15年度から平成24年度までの10年間における名目県内総生産の全国シェアの伸びに関しては、愛知県に次いで埼玉県は2番目です。こういうことで見ていくと、少なくとも埼玉県の経済は基本的には強くなってきている。ぜひ内閣府の指標も見ていただければありがたいと思っているところです。
再Q 山下勝矢議員(自民)
私が公認会計士になったとき、先輩から数字を見て、数字には感情があると、笑っているように見えたり、数字が泣いているように見えるまで勉強したり仕事したりしなさいと言われて、それも努力してきました。
知事におかれましても、衆議院議員時代は有名な塩川大臣を戒めて、母屋でおかゆを食べて、離れ屋ですき焼きを食べている、本当に国の行政改革に数字に真摯に取り組んでいらっしゃって、数字の見方も適切だなと思います。また、知事になられてからも、県立高校の中退率、各学年ごとに退学率を出して割る3で言う方法ですね、あれ確かにおかしいです。知事は、適切に直されていらっしゃった。それは評価します。
やっぱり最近なんです。最近、私は知事が織りなす数字がとても悲しく見えることがあります。知事が織りなす数字が泣いているように見えることがあるんですね。例えば、今の答弁、一つだけ挙げますと、1人当たりに直すと、それは低くなると。埼玉県は女性の子育て世代が多かったり、働く、所得を稼げる人数が少ない、労働力が少ないんではないかというお話をされていらっしゃいましたけれども、埼玉県の生産年齢人口ですね、15歳から65歳までは全国で第3位なんですね、だから働く割合は多いはずなんです。
だから、そのような分析をして御答弁されるのは、一方的な見方で、数字が泣いているように見えるんです。御答弁をお願いして再質問を終わります。
再A 上田清司 知事
山下議員が問題意識を持っておられること、数字は嘘をつかないですが、事実をすべて表しているわけではないということは私もよく理解しております。
それはグロスで見たり、あるいは1人当たりで見たり、いろんな角度から見ないと時々間違ってしまうからです。
ただ、統計上の発表の場合、ある程度どこかに絞った形で発表せざるを得ない。
そういう側面については御理解を賜りたいと思いますし、生産年齢人口というのは御承知のとおり、15歳から64歳までが生産年齢人口ということですが、15歳の人が働いているわけはないわけでございまして、この統計がいわば、「ああ上野駅」の時代の統計で、そのまま今も使われていること自体に課題があるというふうに私もずっと講演などで言いながらも、しかし割合としてはこれを使わざるを得ないという形で使っております。
従いまして、例えば同じ生産年齢でも埼玉県の場合、例えば22歳くらいにしておけば相当の数がいる。私は、計算はしておりませんが、この15歳から22歳までの間の方々の数で、県民所得1人当たりというのは極めて弱いものだというふうに出てきてしまう。私も残念です。せっかく県民所得が上がっている中で。
ただ、御理解いただきたいのは、大事なことは雇用者の、つまり給与所得者、内閣府の県民経済計算の数字の中では雇用者報酬という考え方がございます。
この雇用者報酬では、埼玉県は平成24年度に7位になっておりますが、平成15年度の時には11位でございましたので、四つ上がってきております。
もちろんこの上に、東京、大阪、神奈川、栃木、千葉、奈良というような順番で来ておりますけども、1人当たりの雇用者報酬の全国順位が11位から7位まできております、この10年で。それ以上にもっと重要なのは、この1人当たりの雇用者報酬の増加額がこの10年でどう変わったか。
これが比較的10年という単位ですのでわかりやすいと思っておりますが、例えば平成15年から24年までの一人あたりの雇用者報酬の増加額ですが、これが埼玉県は5番目になっております。
順位は、徳島、福島、高知、栃木。比較的人口の少ないところです。伸びやすいという側面があるかもしれません。そういう中で埼玉県は伸ばしています。元が小さかったこともあるかもしれませんが、いずれにしても伸ばしております。
例えば、この時期に千葉県は増加額では16番目、東京都は26番目、神奈川県は39番目ということで、基本的には埼玉県の経済は強くなってきている。
ただ、個々の数字において山下議員が指摘されたような順位だとか課題があるということはよく承知したうえで、例えば、確かに医師の数は総数では8番目かもしれないが対人口比で47位というのはいい気分ではありませんし、こうした部分についてもなんとかしなければならないという思いは持っております。
そうした部分についてはしっかりと対応していきたいと考えております。
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