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掲載日:2023年5月17日

平成27年12月定例会 一般質問 質疑質問・答弁全文(松澤 正議員)

埼玉型ほ場整備と農地の集積について 

Q 松澤 正議員(自民

農林水産省がまとめた2015年農林業センサスによると、埼玉県で農業を営む個人や法人組織を合わせた農業経営体は、2月1日現在で3万7,275経営体で、5年前に比べ18パーセント減少しました。高齢化や後継者不足が顕著になっている一方、組織化や法人化が進み、法人数は30パーセントを超えました。農業就業人口は5万8,301人で19パーセント減少したと、今月2日の日経紙に報じられていました。農業に対する施策をどうするか、大きな課題と考えています。
国は、平成27年10月5日にTPP交渉の大筋合意を行い、10月20日には関税交渉の合意内容が公表されました。その後、国による議論が重ねられ、11月25日にはTPP関連政策大綱が決定されました。この中で、農業対策としては、重要品目の守りの対策を拡充して、農家の不安や不満の解消を急ぐ一方、攻めに転じる姿勢を前面に出しました。
攻めの姿勢を実現するためには、農業の体質強化を進め、農家の所得向上につなげていくことが鍵と考えます。そのためには、農地の大区画化と大規模農家や営農組合等、担い手への農地の集積を進め、生産性を高めることが重要であると考えます。30アール以上の区画で整備された水田の状況は、国全体では63.2パーセント、それに対して埼玉県は26年度末時点で53.7パーセントと伺っております。私の地元吉川市は、昭和30年代に耕地整理を実施し、いまだに10アール区画の水田で稲作が行われている状況です。
こうしたほ場は、道路も狭く区画も狭いことから、大型の農業機械の導入が行えず、作業効率を上げることができません。市内には、有限会社中井農産センターなど3つの農業法人が農地を集積し、大規模稲作経営を行っているものの、農地が分散し、農地間の農業機械の移動に時間がかかるなど作業効率が低く、耕作面積の限界に達している状況であります。このままでは、農業従事者の高齢化や農家数の減少など待ったなしで進む中、どんどん水田が耕作放棄地となってしまうのではないかと危惧しております。
このような中、吉川市では、平成26年度から区画拡大と農地集積を低コストで実施する埼玉型ほ場整備を吉屋地区で実施していると伺っております。私は、水田の大区画化や集積により作業効率を高め、利益の出る農業に取り組むことが急務であると考えております。
そこで、埼玉型ほ場整備の現状と今後の推進方針について、吉屋地区の今後の見通しについて、また担い手への農地の集積をどのように進めるかについて、農林部長の御所見をお尋ねいたします。 

A 河村 仁 農林部

まず、「埼玉型ほ場整備の現状と今後の推進方針」についてでございます。
県内の水田のうち、1万7,000ヘクタールが10アール区画のまま残っています。
これは、ほ場整備を望む農家がいる一方、多額な経費負担に消極的な農家も多く、なかなか合意に至らないことなどが要因と考えられます。
そこで、県では農家の経費負担を軽減する整備手法として、「埼玉型ほ場整備」を国に提案し、認められました。
具体的には、現在の道路や水路を生かして畦畔を除去することなどで区画を広げる整備手法で、安い費用で短期間に整備することができます。
現在、吉川市ほか2市で3地区、112ヘクタールの整備を実施しているほか、川越市、蓮田市、吉見町で事業化に向けて推進しております。
県といたしましては、今後とも10アール区画の水田単作地域において積極的に「埼玉型ほ場整備」のPRを行い、栽培する作物、整備内容、経費や工期など地域の声を聴きながらほ場整備を推進してまいります。
次に、「吉屋地区の今後の見通し」についてでございます。
吉川市の「吉屋地区」は、平成26年度から平成29年度までの工期で30ヘクタールのほ場整備を実施しております。
平成27年度までに16ヘクタールの区域で道路や水路の整備と畦畔の除去を行い、平成28年度には、残り14ヘクタールの整備、平成29年度には暗渠排水の整備を行い事業完了する予定となっています。
次に、「担い手への農地の集積をどのように進めるのか」についてでございます。
平成24年度から、地域の関係者の話合いにより、地域農業の担い手への農地集積方針などを記した「人・農地プラン」の策定・充実を進めております。
このプランを実現するための手段として、農地中間管理事業が創設され、本県では農地中間管理機構として埼玉県農林公社を指定して取り組んでいます。
この事業は、規模縮小農家の農地や耕作放棄地、担い手の分散した農地などを機構が一括して借り受け、受け手となる担い手にまとまった形で貸し出すものです。
この際、一定規模以上のまとまりがある地区で、必要に応じて畦畔撤去や排水条件の改善など埼玉型ほ場整備と一体的に推進しております。
例えば、羽生市の発戸地区では、42ヘクタールのうち38ヘクタールを担い手である4経営体に集めるとともに、埼玉型ほ場整備により地区内の農地の大区画化に取り組んでいます。
今後とも、県としては機構、市町村などの関係機関と連携して、地域の話し合いによる出し手と受け手の農地のマッチングを一層推進し、農地中間管理事業を活用して担い手への農地集積を図ってまいります。

  • 上記質問・答弁は速報版です。
  • 上記質問・答弁は、一問一答形式でご覧いただけるように編集しているため、正式な会議録とは若干異なります。

お問い合わせ

議会事務局 政策調査課 広報担当

郵便番号330-9301 埼玉県さいたま市浦和区高砂三丁目15番1号 議事堂1階

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