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ページ番号:61657
掲載日:2023年5月17日
Q 荒木裕介議員(自民)
最近もしばしば耳にし、依然としてなくならない生活保護費の不正受給問題。保護費を受給するに至った経済的な理由は様々でありましょうが、その財源には市町村や県民の皆様方からの税金が投じられていることを考えると、やはり許されるべき事例であってはならないと考えます。
そもそも全国での生活保護受給者数は、特に平成20年のリーマンショック後の経済悪化により急増してきたと言われております。そのような中で、生活保護受給者の数を減らすには、景気の底上げを図り、生活困窮者の下支えをすることが何よりも重要であると考えます。
平成27年9月現在、全国の生活保護受給世帯数は162万9,598世帯であり、過去最大を更新いたしました。このうち、我が埼玉県では7万1,288世帯であり、リーマンショックのあった平成20年9月の生活保護受給世帯である3万9,491世帯と比べると1.8倍も増加しております。
近年の生活保護受給の増加は、失業による生活困窮者の増加と無年金や低年金の高齢者世帯が増えていることに加え、本来ならば働けるはずの20代や30代の若者世代による受給者が年々増えていることなど、こうしたことが要因として挙げられております。
埼玉県としても、生活保護受給者の能力や適性に応じた職業訓練の受講から就職までの一貫した支援を行い、就労自立支援を促進してはいるものの、生活苦などを主な理由とする生活保護受給者がここ5年間のうちに約2倍にも増えていることは、さきに述べたとおりでございます。
そうした中で、生活保護制度に対する国民の信頼を損ねる不正受給が依然として生じております。収入があることを隠しての受給に始まり、各種障害者のふりをした受給、そしてさらには偽装離婚を装った受給など、正にあの手この手で理由を示し、まるでもらえるものは何でももらえと言わんばかりの意識が彼らにはあるように思えてなりません。
厚生労働省の発表によりますと、こうした事例が増えていく中で、平成25年度における全国の生活保護の不正受給は、件数にして4万3,230件、総額186億9,000万円であり、過去最多の件数を更新いたしました。また、平成25年度における埼玉県の不正受給は2,191件で、額にして9億3,484万円であり、こちらも過去最高となっております。
こうした件数の推移を見ても、不正受給に対しては厳正に対応していく必要があると考える一方で、不正受給となった者の中には、生活保護制度そのものに対する認識が不十分で、それは例えば一世帯のうちでの少額の収入や高校生のアルバイトなどは申告する必要はないとの誤解から、結果的に不正受給となってしまったケースもあるようです。こうした現状を踏まえ、県として不正受給を今後防止するためにどのように取り組んでいくのかについて、福祉部長にお尋ねをいたします。
A 田島 浩 福祉部長
まず、不正受給の現状についてでございます。
平成26年度の県と市を合わせた埼玉県の不正受給件数は、2,137件、金額は約8億3,000万円となっており、前年度に比べ、件数・金額とも減少しておりますが、依然として高い水準にあります。
また、不正受給の原因は、就労収入や年金収入の未申告と過少申告がほとんどでございます。
次に、不正受給に対する厳正な対応についてでございます。
不正受給を見逃さないため、福祉事務所では毎年1回、市町村の課税情報と受給者から申告された収入を比較し、未申告や過少申告がないかを確認しております。
また、ケースワーカーが、定期的に家庭を訪問し、生活実態の正確な把握に努めております。
こうした取組などにより、不正受給が疑われた場合は、就労先や金融機関などを調査し不正受給額を確定して、その全額の返還を命じております。
また、書類の偽造や不正受給額が高額な場合など、特に悪質な者に対しましては警察への告訴や加算金の徴収など、厳正に対処しております。
次に、不正受給を防止するための取組についてでございます。
不正受給の防止には、全ての収入を正確に申告することや家族状況などに変化があった時は直ちに届け出ることを周知徹底することが重要です。
このため、福祉事務所は、生活保護開始時に、収入の申告義務や世帯状況の届出義務があることを冊子を用いて説明しております。
また、少なくとも年1回はリーフレットなどを用いて申告義務を周知しております。
議員お話しのとおり、高校生のアルバイト収入については、世帯の収入となることが十分に理解されていないため、結果として不正受給となる場合もございます。
このため、高校生がいる世帯につきましては、アルバイト収入も申告する必要があること、クラブ活動費や資格取得などの自立に必要な費用はアルバイト収入から控除できることについて高校入学時などに、より丁寧に説明してまいります。
今後とも、不正受給には毅然と対応することにより、生活保護制度に対する信頼の確保に努めてまいります。
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