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掲載日:2023年5月19日
Q 木村勇夫議員(民主・無所属)
お子さんが野球をやっているある保護者から、少年野球の現場に勝利至上主義がまん延し、子供が大人の都合で動かされているといった相談を受けました。具体例を3つ挙げます。1、打球が飛んだ瞬間、対戦相手の子供に向かって「やるよ、やるよ。落とせ、落とせ」といった心ないやじが飛ばされる。2、バッターの子供が高目のボール球を空振りしたりフライを打ち上げたりすれば監督から怒鳴られる。3、1つのプレーごとにベンチから指示が出て、子供は大人の言うとおりにしかプレーすることを許されない。
以上のように、青少年の健全育成といった本来の趣旨とは大きくかけ離れてしまっている光景がごく当たり前のように見られるということです。
こうした現実に警鐘を鳴らしている団体もあります。プロ野球、読売巨人軍の元選手であり、県内在住の佐藤洋さんという方が代表を務めるNPO法人日本少年野球研究所では、県北東部の体育館で小中学生を対象に夜間スクールを開いています。このスクールでは、佐藤さん御自身が現役中、たび重なる故障に悩まされた経験をもとに、野球の技術そのものよりも、小中学生の時期にこそ重要な身のこなし、バランス、柔軟性といった運動能力を高めることに重きを置き、子供たちが将来どんなスポーツを行う上でも役に立つ体づくりを指導しています。
佐藤さんはブログも立ち上げており、その中で、子供に勝利の喜びを味わってもらいたいという指導者や保護者の願いが、勝利至上主義という行き過ぎた方向に進んだ場合の弊害、危険性を繰り返し訴えておられます。子供にたくさんの時間と運動量をこなさせ、大人の都合の良い形にはめ、特定の選手に連投させたりすれば、確かにチームの勝利に結び付くのは容易でしょう。しかしながら、その先には投げ過ぎによる故障につながったり、大人の顔色ばかりをうかがって自分の判断では動けない子供をつくり出してしまうことになりかねません。正に、大人の都合で犠牲になるのは子供たちです。このことをスポーツ団体の指導者や保護者に認識してもらう必要が大いにあると考えます。
一方で、公益財団法人日本体育協会に登録されたスポーツ少年団を調べてみると、指導者及びリーダーの役割、心得がきちんと定められており、しっかりとした組織活動がなされているのではないかと考えられます。
そこで、お伺いいたします。今回は少年野球の現場を例に問題提起しましたが、先ほど申し上げたように、ごく普通のスポーツ少年団で、次世代を担う子供たちの健全な育成とは大きくかけ離れた大人の指導が現に行われてしまっていることに対し、県として何も手を打たないというのはいかがなものかと思います。スポーツ団体の活動が青少年の健全な心の成長、土台づくりにつながるような方策の必要性を県としてどのようにお考えでしょうか。例えばですが、日本体育協会スポーツ少年団での事例、ノウハウがせっかくあるわけですから、そうした望ましい事例を参考にするなどして、スポーツ団体の活動に大人がどう関わればよいかについて、県として発信する取組を行ってみてはいかがでしょうか。まずは指導者の意識改革のきっかけづくりが必要かと考えます。
以上、県民生活部長にお伺いいたします。
A 福島 勤 県民生活部長
子供たちがスポーツに親しむことは、生涯にわたってたくましく生きるための健康や体力の基礎をつくることはもちろん、心の成長にもつながります。
例えば、サッカーや野球などのチームスポーツでは、協調性や仲間を思いやる心が、また、剣道や柔道などの武道では、礼節や相手を敬う態度が育まれます。
お話のありましたスポーツ少年団は、自主的で自発的な活動であること、そして、協調性や創造性を育み人間性豊かな社会人としての成長をもたらすことを活動の基本としております。
スポーツ少年団に限らず子供を対象としたスポーツ団体は、こうした理念のもと、心身ともに健やかな子供たちを育成していくことが大切です。
また、子供たちがスポーツの楽しさ、すばらしさを実感するためには、議員お話のとおり、どのように大人たちが関わっていくかが非常に大切になります。
子供の成長段階を無視した長時間の練習や、主体性を妨げる指導など、目先の結果だけにこだわった勝利至上主義については、生涯にわたりスポーツを続けるという観点からも大変問題があると考えております。
指導者には、スポーツの魅力を伝え、適切な技術指導を行うことはもとより、フェアプレーの精神や協調性など、豊かな人間性を育む温かい指導を行うことが求められております。
また、保護者や地域住民にも、こうした理念を理解していただくことが重要であると考えております。
そこで、県といたしましては、スポーツ少年団に対しては引き続き、統括団体である県体育協会と連携をしながら、指導者研修会などを通じて、スポーツ少年団の基本理念に基づいた指導を行うよう徹底してまいります。
また、それ以外のスポーツ団体に対しましても、好ましい指導方法や保護者との関係づくりなどの事例を提供し、指導者の意識改革について働きかけてまいります。
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