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掲載日:2023年5月17日
Q 美田宗亮議員(県民)
私は、「学校教育の充実」を生涯の政治テーマに掲げております。それは、あまたある行政課題の中でも、教育は国の根幹をなすものであり、埼玉県のみならず、日本が今後とも永続的に繁栄を続けるための礎となるからであります。今後も子供たちが確かな学力を身に付け、将来の選択肢を一つでも多く手にできるよう、教育に関わる全ての人と協力をし、発信を続けていきたいと思っております。
去る8月、文部科学省は今年度の全国学力・学習状況調査、いわゆる全国テストの結果を発表いたしました。埼玉県は、小学校では平均正答率61.7パーセント、全国42位、中学校では平均正答率59.0パーセント、36位で、例年、中位から下位につけております。
テストの順位に一喜一憂すべきでないとの意見もありますが、人は、他者との比較があって初めて自己のレベルが確認できるのであり、その結果が新たな目標となって、自己実現へとつながるものと考えます。これは何も子供たちだけではなく、教える側の教員や学校にも当てはまることであり、両者の意識向上を促す効果が期待できます。
別な視点で考えますと、教育レベルの高さというのは、それだけで自治体の大きな魅力になります。小中学生の子供を持つ親に話を聞いてみても、住みたいまちの条件として、「良好な住環境」と同じかそれ以上に、「地域の教育水準」を重視しております。
教育水準を上げる一つの方策として、一貫教育があります。去る11月26日、東京都教育委員会は、公立としては全国初となる都立の小中高一貫教育校を新設する方針を示しました。平成34年度をめどに立川市内に開校する見込みで、英語教育に力を入れ、世界で活躍できるグローバル人材の育成を目指すとのことです。こうした思い切った施策が、これからの人口減少社会を乗り切る大きなファクターとなりますので、若い世代に選ばれる施策を積極的に打ち出していただきたいと思います。
そこで、まず知事にお伺いいたします。
公教育の中で、学力向上をどう位置付けているのか。そして、高校までの一貫教育についてどのような感想をお持ちか、お聞かせください。
次に、教育長に質問いたします。
まず、県が行っている学力向上施策とその検証を踏まえた今後の展開、そして選ばれる埼玉となるために、あえて特徴的な教育施策を掲げるべきと考えますが、御所見をお伺いいたします。
A 上田清司 知事
まず、「児童生徒の学力向上施策について」のお尋ねのうち、公教育の中で、学力向上をどう位置付けているかについてでございます。
これからの変化の激しい社会において生きていくには、子供たち一人一人が社会で自立する、そういう意味での力が必要だと思っております。いわば、生きる知恵というものだと思っております。
詰め込みの知識より、創造力が必要だというような事もよく言われます。
しかし、創造力の基になる基礎学力も確実に身に付けることが、いつの世の中にあっても変わらない大事なことだという風にも認識しております。
確かに、学力がなくても知恵のある方はたくさんおられます。
しかし、学力があればもっと知恵が出る可能性があります。
そういう意味で基礎学力が必要であることは、新たに設置されました総合教育会議の場でも議論がしっかりなされてきました。
教育委員会で、公教育における学力向上をしっかり位置付けていただきたいと私自身は思っておりますし、そのような会議の結論に至ったという風に私は認識しております。
次に、高校までの一貫教育の感想についてでございます。
私は、小学校、中学校、高校などそれぞれの学校に、その役割をしっかり果たしてもらうことがまずは何よりも大事だ、こんな風に思います。
その上で、小学校と中学校、中学校と高校が連携して、よりいろんな意味での齟齬を埋めることが必要だという風に思っております。
現在、市町村では、小中の一貫教育の取組が進められているほか、県では中学校と高校については、伊奈学園中学校と伊奈学園総合高校で一貫した教育を行っております。
小中一貫、中高一貫教育は、一般的に児童生徒を丁寧にしっかり見守ることができるということで、そうした利点がよく評価されているところでもございます。
一方、複数の小学校から一つの中学校にいろんな人達が集まってくる、あるいは複数の中学校から一つの高校にいろんな人達が集まってくる、その中でストレスやあるいは緊張感を感じながら一種のパワーを得ていくという、この部分の評価も私はあるのではないかという風に思っております。
そういう意味で、教育委員会においては、他県の動向などもよく調査して、検証結果なども精査する努力をしていただきたいと考えております。
A 関根郁夫 教育長
まず、県が行っている学力向上施策とその検証を踏まえた今後の展開についてでございます。
県教育委員会では、これまで確かな学力の育成を目指し、「教育に関する3つの達成目標」や小学校5年生と中学校2年生を対象とした学習状況調査を実施し、児童生徒の基礎学力の定着に取り組んでまいりました。
今年度からは小学校4年生から中学校3年生までの児童生徒一人一人の学力を継続して追跡し、学力の伸びや課題を把握できる全国初の取組となる県独自の学力・学習状況調査を始めたところでございます。
県教育委員会では、今回の全国学力・学習状況調査の結果を重く受け止めており、各市町村教育委員会に対して児童生徒の学習内容の定着をしっかりと確認することを要請いたしました。
今後、県独自の学力調査を通じて、各学校が子供たちの学習内容の定着を把握するとともに、よさを伸ばし、課題を丁寧に解決する指導を行うことで、一人一人の学力と学習意欲を高める取組を進めてまいります。
この取組にはOECD、経済協力開発機構も関心を持っており、埼玉県としても国際的取組に参加し、本県の学力向上施策を充実させてまいります。
次に、選ばれる埼玉となるための特徴的な教育施策についてでございます。
変化の激しい社会において、子供たちがたくましく生き抜いていくためには論理的な思考力や自分で問題を解決していく能力が必要となります。
そのためには、教職員が子供たちに一方的に教え込むのではなく、子供たち同士が学び合い、想像力を養い、自ら学ぼうとする意欲を高めるような学びの改革が必要でございます。
県教育委員会では、小・中学校での学びの改革の第一歩として昨年度から県内4市町で「考え・話し合い・学び合う学習推進事業」を進めており、その成果を県内に普及していくこととしております。
引き続き、未来を担う子供たちのため、学びの改革を一層推進し、埼玉で教育を受けてよかったと実感していただけるよう、しっかりと取り組んでまいります。
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