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掲載日:2023年5月17日

平成27年12月定例会 一般質問 質疑質問・答弁全文(吉良英敏議員)

協調学習について

Q 吉良英敏議員(県民

埼玉県は、平成22年から全国に先駆けて協調学習を推進してきました。そして、今年度から未来を開く学びプロジェクトとして、知識構成型ジグソー法による授業改善を目指しています。ジクソー法とは、生徒に異なる課題を事前に与え、そして様々な情報と考えを持ち寄り教え合い、理解を深めていくという学習指導方法です。今年9月から県立高校をはじめとする47校において東京大学と連携し、そして公開研究授業が今行われています。私もこのプログラムを実践する越谷高校、あるいは鴻巣女子高、そしてこれに関連する地元の小学校を見学してきました。
現場を見ると、まず先生がしゃべらない。子供たちに考えさせ、発言させる時間が多いことに、とても気づかされます。また、席をコの字やグループにして、子供たちに相談し合う、そういった場を作っています。とても活気のある教室でありました。
しかし、メリットにはデメリットがあります。平成14年から22年までの、いわゆるゆとり教育では授業時間を大幅に減らし、そして総合学習の時間として新たな時間を設けました。皆さんは、このゆとり教育に対してどのように思われますか。何となく批判的に扱われることはありますが、明確な検証は聞いたことがありません。ゆとり教育を改め、再度ここで授業時間を増やし、新たな学習方法をもし取り入れるのであれば、従来のものへの評価、検証が必要なはずです。もし、国が明確に示していないのであるならば、県が独自に示すことが次への確実なるステップになると思います。
協調学習についても同様です。全国に先駆けて取り組んでいることであるならば、率先して検証をし、欠点や注意点を分析する前向きな姿勢と、そのバランスが教育に求められると思うのです。教育現場は、正にその教室一つ一つで行われています。以下2点、質問をさせていただきます。
まず、ゆとり教育についてどのように評価され、今後の教育についてどのようにお考えか、知事に伺います。
2つ目に、この5年間の協調学習の検証と、そして課題について教育長に伺います。 

A 上田清司 知事 

「『ゆとり教育』の評価について」でございます。
文部科学省は平成10年改訂の学習指導要領の中で、いわゆる「詰め込み」ではなく「ゆとり」の中で「生きる力」を育むことが重要であると示しました。
私は、知・徳・体のバランスがとれた「生きる力」を育てようとする理念は間違っていなかったと思いますが、OECDの生徒の学習到達度調査では読解力と数学的リテラシーが一時的に下がったという事実があります。
一方、9年間「ゆとり教育」を受けてきた生徒が参加した平成24年のOECDの調査では、加盟国の中で読解力が1位、数学的リテラシーが2位、科学的リテラシーが1位という結果も収めております。
これは関係者が「ゆとり教育」というものに大変な危機感を持って、努力した結果が結果的にいい成果も出てきたという形になっております。
国も「ゆとり教育」の批判を受けて見直しを図り、平成20年には確かな学力の育成を重視し、学習指導要領を全面的に改訂しました。
私は教育に奇策はないと思っております。
不易流行という松尾芭蕉の言葉がございますが、知・徳・体の基礎を確実に身に付けること、これは、いつの世にも変わらない重要なことだと思っております。
一方で、社会が大きく変わっている今、論理的な思考力や自分で問題を解決していく能力、そういうものがこれまで以上に必要になってきている。私はそう思います。
そしてまた、豊かな人間性や社会性を身に付けることも必要です。つまり、人に優しく親切に、自分がやられて嫌なことは人にはしない、会津の什の掟みたいなことだと思います。
そのためには、自然体験や社会体験など子供たちが切磋琢磨する機会を充実していかなければならないと考えております。
総合教育会議の場で教育委員の皆さんとこれらのことを議論してまいりました。
教育委員会には、この総合教育会議の議論を踏まえてしっかりと取り組んでいただきたいと考えております。

A 関根郁夫 教育長

「協調学習の検証と課題について」お答えを申し上げます。
急激に変化している現代社会において、子供たちがたくましく生き抜くために、幅広い知識と柔軟な思考力に基づく新しい価値を創造する能力が求められております。
そうした力を育成することを目指した協調学習は、子供たち同士の学び合いをとおして、他者の考えを取り入れ、自分の考えをより良くしていくという、埼玉が全国をリードする学びのスタイルでございます。
この5年間の協調学習による授業づくりの取組を全国に発信した結果、次期学習指導要領の改訂に向けた諮問の中に、埼玉県の協調学習が取り上げられるなど、国からも注目されております。
県教育委員会では、各学校で行われる公開研究授業やその後の反省会、協調学習を実践する教員が参加する報告会を通じて、様々な意見を集約し、検証に努めてまいりました。
その中では、「子供たちが主体的に考え意見を述べる様子が見えた」、「自分の考えを他者に話すことで自分の理解が深まると同時に、他者の理解を深めさせることができた」などの成果が挙げられております。
一方、協調学習は、グループごとに複数の教材を用意する必要があることから、一斉授業と比較して教材づくりに要する時間がかかり、教員の負担が大きいという課題があります。
また、協調学習は、生徒に学び合いをさせたいと思うあまり、グループ活動をさせることが目的化し、授業のねらいを見失う例もございました。
これらの課題に対しては、これまで研究授業で使われた教材の共有化をより一層進め、教員の負担軽減を図るとともに、教員同士が学び合うネットワークづくりを進めてまいります。
また教員には、協調学習の本来の目的を十分理解して授業に臨めるよう、これまでの本県での取組成果や東京大学などからの指導助言を、研究協議会などで繰り返し伝えてまいります。
今後とも生徒一人一人の学力向上を目指し、全国をリードしながら、協調学習の実践と研究を行うとともに、そのノウハウと学習効果を積極的に発信してまいります。 

  • 上記質問・答弁は速報版です。
  • 上記質問・答弁は、一問一答形式でご覧いただけるように編集しているため、正式な会議録とは若干異なります。

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議会事務局 政策調査課 広報担当

郵便番号330-9301 埼玉県さいたま市浦和区高砂三丁目15番1号 議事堂1階

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