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ページ番号:54842
掲載日:2023年5月19日
Q 井上 航議員(県民)
厳しい自治体運営の中において自主財源確保のため、県、そして各市町村は試行錯誤を繰り返しています。その中で、広告収入は効果的な収入源の一つとなっています。公共施設を活用した広告については、施設内の広告掲載事業が進むほか、いわゆるネーミングライツも多くの公共施設において採用されています。このように官公署などにおける広告掲出の需要が高まってきているところです。
しかし、現在の埼玉県屋外広告物条例の定めによると、第4条で、次に掲げる地域又は場所においては広告物を表示し、又は掲出物件を設置してはならないとし、同第13号で官公署、学校、図書館、公会堂、公民館、体育館及び公衆便所の建造物並びにその敷地とあります。この条文のため、官公署などは良い立地、広いスペースという広告活用の高い可能性を秘めながらも活用は行われていません。
この話題は、県内の市町村でも一般質問で取り上げられています。例えば、久喜市議会6月議会では、市の公用車に広告を貼って自主財源にできないかという議論もありました。しかし、その答弁は、県の条例が実現の妨げになるでした。
先行する事例としては、大阪府の取組があります。大阪府では、大阪府景観審議会での審議を通して、平成27年4月より改正条例が施行されました。景観審議会では、官公署などで屋外広告物を禁止する妥当性と公物管理としての性格を有する施設に求められる公共性について議論されました。結果として、社会経済情勢の変化や規制緩和としての取組を進めていくため、官公署などの敷地内を禁止区域から解除すべきであると答申されております。加えて、不適切な屋外広告物が掲出されないようにするための事務取扱指針の策定や良好な屋外広告物を誘導するためのガイドラインの必要性も付記されました。
以上を踏まえ、県の条例改正が実現すれば市町村の広告掲載解禁だけでなく、同時に県有施設の広告活用にも道を開くことになり、県の自主財源確保もできます。都市整備部長の見解を伺います。
A 秋山幸男 都市整備部長
県の屋外広告物条例では、官公署や公民館などの建物とそれらの敷地内で、公共目的以外の屋外広告物の掲出を禁止しております。
この理由としては、官公署などが強い公共性や公益性を有する場所であり、中立性や公平性の確保が求められるという点があげられます。
このような考えに基づく県の条例は、独自の条例を持たない県内55市町村で適用され、地域の景観形成やまちづくりに役立っております。
そのような中で、議員お話の財源確保は重要な課題の一つであり、ネーミングライツやホームページのバナー広告、広報紙などへの広告掲載は多くの自治体で実績がございます。
さらに、他県では、お話にもございましたように官公署への屋外広告物の設置を認めている自治体もあります。
こうした点を踏まえ、官公署などへの屋外広告物の設置については、まずは、まちづくりに影響を受ける各市町村や景観審議会委員の方々などと十分に議論を重ねることが重要と考えます。
その議論の結果、規制を緩和することが適当となった場合には、条例改正の手続きや具体的な基準となるガイドラインの作成を進めることになります。
一方で、すべての市町村は、景観行政を一元的に行う景観行政団体となり、独自の屋外広告物条例を制定することができます。
現在、県内には、この景観行政団体が16市あり、うち8市が独自の条例を定め、自らの意思で地域の特色や実態に見合った景観・屋外広告物行政を推進しております。
県といたしましては、景観行政団体への移行や独自条例の制定を目指す市町村を支援してまいるとともに、県内市町村などと条例の規制緩和について検討してまいります。
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