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ページ番号:58063
掲載日:2023年5月18日
Q 中屋敷慎一議員(自民)
この問題は、国が進めようとする地域包括ケアを実現するために最も重要な課題であり、本県においてもこれまで様々な施策を展開してきておりますし、県議会においても公明党議員団の皆さんを中心に様々な提案がなされ、一応の成果も上げてきているところです。
しかしながら、急速に超高齢化社会へと突っ走っていかざるを得ない本県にとっては、正に解決せねばならない課題中の課題であります。厚生労働省などによれば、本県では、10年後の2025年には75歳以上の後期高齢者が今年と比べて53.9パーセントも増加して、117万7,000人に達すると見込まれ、増加率は全国で最も高くなり、これに伴って県内の介護人材は約2万7,000人も不足してしまうことが予想されています。民間の有識者会議「日本創成会議」の推計でも、10年後には介護ベッドの不足から、県内でおよそ2万5,000人が必要な介護が受けられなくなると発表されており、ソフト、人、ハード、ベッド両面の不足が深刻な事態を迎えてしまうと懸念されています。
そんな中で、平成24年の全国の介護福祉士登録者数を見てみると、およそ108万6,000人、その中で実際に介護福祉士として従事している数はおよそ58万人でしかありません。資格を取得しながら、実際に従事しないという状況に至ってしまうのは、取得した資格の社会的評価や経済的価値が低く見られているからなのではないでしょうか。
本県では、一昨年の2月に「介護職員しっかり応援プロジェクトチーム」を設置し、介護のイメージアップや処遇改善に努めてきたところですが、10年後の2025年を見据えたならば、これらの取組を飛躍的にブラッシュアップしなければ手遅れになってしまうと考えます。介護の基盤である特別養護老人ホームなどの整備が進められても、肝心の職員が充足しなければ施設の稼働率が上げられず、ひいては経営そのものを圧迫するに至るという悪循環が生まれてしまいます。実際に、私の母がお世話になっている施設でも、開設以来、半年を過ぎても職員不足の影響もあり、当初計画の稼働率には至っていない状況だとのことでした。
また、人材不足により介護の質が低下することによって、最近報道されている横浜、川崎、大阪などで生じた虐待などの悲しい事例を本県で生じさせてはならないのです。
そこで、本県の福祉行政を担う福祉部として、介護人材不足が予想される2025年に備えて、今後どのように介護職員の確保・定着対策を進めていくのか、福祉部長の御所見を伺います。
A 田島 浩 福祉部長
後期高齢者の急速な増加に伴い、介護人材の確保・定着は行政と関係者が一丸となって取り組むべき重要な課題です。
そこで県では平成25年2月に老人福祉施設協議会など関係5団体と「介護職員しっかり応援プロジェクト」を立ち上げ、全国初の合同入職式や事業所表彰式など、職員のやり甲斐を高める取組を進めてきました。
さらに、職員の資格や経験、能力に応じて給与が向上していく賃金体系に移行していただくため、モデル給与表を作成し県内の約4,600事業所に導入を働き掛けてまいりました。
平成26年度からは「埼玉なら介護を一生の仕事にできます」をキャッチフレーズに、介護の資格がない方の就労支援や若手介護職員で結成した「介護の魅力PR隊」によるイメージアップなどに取り組んでいます。
今年度は新たに、初任者研修の修了者が介護事業所に就労した場合の研修費補助や潜在介護職員の復職支援、永年勤続表彰、介護福祉士養成校の学生に対する修学資金の貸付けも行っております。
また、介護人材の確保・定着には、全産業の平均と比較して大幅に低い賃金を改善することが重要です。本年4月の介護報酬改定により、介護職員処遇改善加算が月額12,000円増額されましたが、まだ十分とは言えません。
処遇改善加算の増額は、利用者が支払う料金や介護保険料の増額につながるという課題があります。
このため、今年度新たに処遇改善加算とは別に、介護職員の給与を大幅に引き上げるための財政措置を国に対し要望したところでございます。
今後は、これまでの取組を一層進めるとともに、元気な高齢者の介護現場での就労を進めるなど、引き続き介護人材の確保・定着にしっかり取り組んでまいります。
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