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掲載日:2023年5月17日
Q 柿沼トミ子議員(自民)
先日、ようやくTPP(環太平洋戦略経済協定)の交渉が大筋合意に至りました。経済社会のグローバル化はもちろん、もはや待ったなしの状況となっております。そうした中、特に影響を受けると考えられるのは、我が国の礎とも言える農業であると懸念をしております。
現在、我が国の食料自給率はカロリーベースで39パーセントしかありません。自給自足できる国土づくりの観点からも、食料が海外から入ってこなくなったときに、いつでも耕作できるよう生産基盤を維持し続けていく必要があります。
先日、福島県の被災地に視察に行ってまいりました。農地にはセイタカアワダチソウが繁茂し、見る影もなくなっていました。農地などの生産基盤は手を入れなければ、あっという間に荒廃してしまうこと、そして一度失われてしまうと、元に戻すためには膨大な時間と費用がかかるということを改めて実感をいたしました。農業や農地は、食料を生産するだけではなく、水田などの農地は保水や環境の維持などの重要な機能を担っています。実り豊かな農地は日本の文化の源です。また、農村集落が健全に維持されなければ、地域コミュニティは崩壊してしまいます。
一方、農家の高齢化は進んでおり、平均年齢は65歳を超えております。これは若い後継者がいない、つまり職業としての魅力を維持できなくなりつつあるということでもあります。特に、米作農家の状況は深刻です。米の農家からの買取価格も、昨年は非常に低迷し、耕作機械など生産に関わる費用を賄うこともできない状況に陥りました。私は、こんな米価ではもう米は作り続けられないといった悲痛な声を地元の農家から何度も直接聞かされております。
また、米作農家の多くは兼業農家であり、農地が荒れ地になることを防ぐ農地保全の観点や米の自給率を確保するために厳しい経営環境の中で採算を度外視して米作りに携わっていただいている面があります。しかし、こうした農家が経済的に立ち行かなくなってしまっては、日本の国土、自然や環境、文化、コミュニティを維持していくことはできなくなってしまいます。日本の農業を強くし、攻めの農業に転じていく政策は、今や待ったなしです。一方で、農家の皆さんは不安を抱えている状況にあり、農協も巻き込んで的確な支援策を講じていく必要があります。
そこで、農林部長にお伺いをいたします。TPP合意を踏まえ、今後、本県の米農家に対しどのような支援策を講じていくのか、その対策について伺います。
また、TPPの妥結内容を見ると、野菜の関税は撤廃されることとなっており、県内の野菜農家も今後更に厳しい競争にさらされることとなります。一方、県では久喜で次世代型施設園芸の実証研究に取り組むこととしております。そこで、TPP合意を踏まえ、次世代施設園芸推進事業はどのように本県農業に資するものとなるのか、今後の展開についてお伺いをいたします。また、野菜農家に対してどのような支援策を講じていくのか、併せて伺います。
A 河村 仁 農林部長
まず、「TPP合意を踏まえ、今後本県の米農家に対し、どのような支援策を講じていくのか」についてでございます。
コメに関しては、現行の国家貿易制度は維持され、これまでと同じ枠外税率が維持されています。
一方、アメリカとオーストラリアに新たな国別の枠が設定されました。
このため、国は国別枠の輸入量に相当する国産米を備蓄米として買い上げるとともに、農業者が行う高性能な機械・施設の導入等の支援策を検討しています。
県としては、これらの対策を農家にしっかりと周知していきます。
また、県独自の対策として、米農家の競争力強化のため、農地の大区画化や直播技術の導入などによる生産コストの低減化に取り組みます。
さらに、食味や品質向上に着目した栽培技術の普及定着や優れた新品種の育成導入など県産米の評価を高める取り組みを進めます。
あわせて、県内で店舗展開する飲食店へのセールスなどを通じ地産地消による県産米の消費拡大を進めます。
これらの対策を農業団体と連携して取り組み、農業者の不安を解消し、米生産農家の経営が発展できるよう支援してまいります。
次に、次世代施設園芸推進事業についてでございます。
TPP大筋合意では、野菜の現行関税3%が即時撤廃となっております。
このため、産出額全国第6位の野菜生産県である本県としては、高品質化と生産性向上などの取組みを進め、競争力を強化していく必要があります。
次世代施設園芸推進事業では、二酸化炭素施用や細霧冷房システムなどの新技術とICTを使った最先端の環境制御技術の実証研究に取り組み、成果を農家に普及していきます。
これらの技術を農家が導入することで、例えば、二酸化炭素施用の導入では、光合成が促進され2割程度の収量増加が見込まれます。
また、細霧冷房システムを導入すると、夏場のハウス内温度の低下により、夏場の栽培や品質向上が可能となるなど、農家の収益向上が図られるものと考えております。
これらの取組により、本県施設野菜の競争力を大きく伸ばし、国内外の産地と戦える産地づくりを進めます。
次に、野菜農家の支援策についてでございます。
TPPの大筋合意に伴い、本県野菜産地の品質の向上や生産の省力化に取り組んでまいります。
例えば、ブロッコリーの定植機や人参の収穫機、里芋のかん水施設等の導入により、高品質化や省力化を進めます。
また、TPP対策として国が示す補助事業などを活用し、農協などが行う共同利用施設の整備を進めます。
トマトやキュウリなどの産地では、農家の労働を軽減するための選果施設、コマツナやブロッコリーなどの産地では鮮度を保持するための予冷庫を備えた集出荷施設などです。
さらに、本県には食品企業等が集積しており、全国屈指の交通の要衝にもなっていることから、これらのメリットを生かしつつ、企業のニーズに対応した新たな産地を形成いたします。
これらの取組を通じて、本県野菜産地の競争力の強化を図ってまいります。
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