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掲載日:2023年5月17日
Q 木下博信議員(改革)
県議会から県と市町村の発展を考えていると、改めて県政運営の難しさを感じます。市町村が現場の責任を持っている中で、県としてどのように関わっていくのか。良い埼玉にしたいというやる気があるほど、出過ぎず、指導監督にならず、でも全体を見ていて様々なノウハウもある中で貢献していきたいという、絶妙なバランス点を見出して仕事をしていかなければなりません。市町村の単純明快さに比べて、こういう別種の苦労があると感じます。
まちづくりを例に考えてみても、駅前再開発、区画整理等の面整備は、市町村が責任を持って取り組まなければならない事業で、県は、制度的側面や財政的支援で関わっていっても、その主体とはなれません。
一方で、事例経験数という面から見ると、県の関わりが大切であることが見えてきます。駅前再開発や面整備は、市町村にとって頻繁に行う事業ではなく、職員も議員も市長も、その在職中、2度も3度も立ち上げから完成まで関わることはまれです。一方で県単位で見てみると、常にどこかで事業が準備されていたり、施工中であったり、完成したりしています。ですから、指導監督というお上的視点でなくても、こういうことを考えてみてはいかがですか、こんなことを重視すると、より多くの成果が生み出せそうですよと助言、サポートをすることは、市町村への干渉ではなく、正に県が果たすべき役割だと考えられます。
そこで、その役割の一つについて伺います。
私は、この4年半、17年間関わっていた役所から離れ、外から見て様々に考えた中で、事業化が現実になるとともに、ある大事なことが消え落ちていくということに気がつきました。再開発に向けては、行政も市民も一体となって、まちのビジョンを作っていきます。そして、それを基に駅広や再開発ビルや道路整備を決定します。
しかし、さあ、いざ事業着手となると、いつの間にかハード面の完成だけにまい進する組織になってしまうのです。ハードを完成させるだけでも大変なことですので、そうなってしまうのでしょう。
そこで、知事に伺わせていただきます。
そこに欠けるものがある、やるべきことがあるという確定的事実からとは申しません。もしかしたら欠けているものがあるのではないか、やれるものがあるのではないかという視点から、県として再確認いただきたいのです。駅前再開発等事業実施に当たり、当初のまちづくりビジョンをより良く実現するためには、ハード面だけでなく、対象区域の商業的、ソフト的に必要なことを並行して着実に取り組んでいけるよう、県ができるサポートがあるのではないかと考えるのですが、いかがでしょう。御答弁、よろしくお願いいたします。
A 上田清司 知事
市街地再開発事業は、密集市街地の改善や土地の高度利用を図るだけではなく駅前広場の整備や都市の顔を作り出す事業でございます。
このため、地元市や事業に携わる方々がどのような「まち」にしたいのか、その将来像を常に描きながら事業を進めることが大事だと思います。
県が事業費も含め側面からサポートした事例として、平成24年度に施設が完成しました越谷駅東口地区があります。
この地区では、越谷の顔としての魅力と活力のあるまちを目指して、市民活動支援センターや図書館を整備したほか、大学病院の付属施設や日本年金機構などを誘致しております。
これらの施設整備によって、平成26年度は市内外から年間52万人の利用客があり、このほか商業施設などの利用者も加わり、駅前に新たな人の流れを作り出したといわれております。
また、商業の活性化と魅力ある駅前づくりの思いから、市や地元商店街が共同で「冬のイルミネーション」や「ハロウィンパレード」などのイベントを開催し、新たなにぎわいづくりも作っております。
このほか、平成25年度に完成した川口金山町12番地区では、鋳物工場などの社長さんたちが起業をしようとする方々を支援したいという思いから、42のレンタルルームや会議室を備えた創業支援施設を整備しています。
現在40を超える個人や団体がこの施設を利用して創業を目指していると聞いております。
このように再開発事業を契機に地元の思いが実現している事例などは、ハード整備だけではなくてソフト、言い換えれば魂が入ったもの、こういったことになっているのではないかと思います。
まちづくりは、自分たちのまちは自分たちで良くしていこうという、そういう情熱が一番大事だというふうに思っております。
また、御指摘の最初に描いたビジョンやまちづくりへの思い入れが薄れてないかということについては、地元の方々や市自らチェックしていくことも重要だと思います。
県のサポートといたしましては、ハード面では事業を立ち上げる際の相談や法的な手続、過去の事例や有利な補助制度の紹介など技術支援を行っております。また、ソフト面では15の市や都市再生機構と「埼玉県都市再開発連絡協議会」というものを組織しておるところですが、ここで、にぎわいづくりに成功した県内外の事例紹介や先進地の視察なども行っております。
今後も事業の各段階で課題解決につながるよう地元の求めに応じた必要な情報提供を行ってまいります。
県としては、「口を出し過ぎてもいけない」、しかし「口を出さなくてもいけない」というバランスを取りながら、地元市や事業に携わっていく方々に必要な支援というものをしていきたいと考えております。
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