平成27年12月定例会 一般質問 質疑質問・答弁全文（荒木裕介議員）

民泊の普及に伴う衛生管理について 

Q　荒木裕介議員（自民）

ふだん我々も耳にすることが増えてきた民泊。民泊は世界的な広がりを見せており、一般の民家に宿泊することを指します。誰しも親戚や友人宅に泊まったことはあるかと思いますが、実はこれも民泊に当たります。同じ民泊でも、現在は、旅館やホテルのように宿泊の際に対価を支払って民家に泊まる民泊が増えてきているのであります。お金を対価として支払い、宿泊をさせる以上、本来は厚生労働省の定める旅館業法の認可を必要とし、各都道府県が定める条例も遵守しなければなりません。旅館業法の営業種別は、ホテル営業、旅館営業、カプセルホテルやドミトリーといった簡易宿所営業、そして下宿営業の4つに分類され、そのうち民泊をいずれに当てはめたとしても、その性質上、適用が困難な状況にあると言えます。
一方で、より身近になってきた民泊ではありますが、そうした人気の裏では、様々な問題も浮き彫りになっているようであります。一番の大きな問題は、衛生面での課題ではないでしょうか。部屋を貸す側と借りる側、いわゆるホストとゲストとの間では、本来、信頼関係の上に成り立つビジネスではありますが、部屋の備品が盗難される事例や、乱暴に利用されて部屋を汚される、そしてさらには危険ドラッグなどを用いた薬品の散乱なども懸念されているようです。
今後も観光立県を目指す本県では、5年後にオリンピックやパラリンピックも控えており、民泊の需要も更に増す中で、一般の家庭環境である民家の貸し借りには、特に衛生面での配慮が不足しがちになってしまうのではないでしょうか。今後、海外からの旅行者も含め、不特定多数の方がこの民泊を利用され、需要も増していくことと思いますが、ともすると管理不足になりがちな民泊の衛生管理をどのように今後指導していくのか、保健医療部長にお尋ねをいたします。 

A　石川　稔　保健医療部長

訪日外国人は昨年1,341万人でしたが、今年は10月末時点で既に前年を上回る1,632万人となっており、前年同期と比較すると48％増となっております。
その数は東京オリンピック・パラリンピックが開催される5年後に向け、今後も増加し続けるものと見込まれております。
既存のホテルや旅館だけでは宿泊需要に追い付かず、東京、大阪、京都などの観光都市を中心に宿泊施設の不足が深刻化しております。
一方で、宿泊需要の増加とインターネットの仲介サービスの普及などに伴い、個人が自宅の一室などに他人を宿泊させる、いわゆる「民泊」が広がりを見せております。
現行の旅館業法では、自宅に宿泊させる場合であっても、反復継続して有償で部屋を提供する場合には、知事の許可が必要となります。
許可を得るには、旅館業法で定める施設の構造設備基準を満たす必要があり、許可取得後も衛生管理基準の遵守が求められます。
一般の住宅において、この構造設備基準を全て満たすのは、かなり困難です。基準を満たさず許可を得られない施設で宿泊をさせることは、旅館業法違反となります。
こうした状況を踏まえ、東京都大田区や大阪府では、国家戦略特区制度を活用して、旅館業法の適用を除外し、外国人向けの民泊に向け準備が進められております。
また、特区とは別に民泊全般についても、厚生労働省や国土交通省が中心となり有識者会議を設置し、検討が開始されたところであり、来年度中を目途に報告書が取りまとめられる予定になっております。
今後は旅館業法を見直し、民泊に関する新しい制度を創設することも検討されると伺っておりますので、民泊に関する国の動向を注視してまいりたいと存じます。
県といたしましては、旅館業法に基づき、施設の衛生水準を確保し、利用者に安心して泊まっていただけますよう、引き続き監視・指導に努めてまいります。

• 上記質問・答弁は速報版です。
• 上記質問・答弁は、一問一答形式でご覧いただけるように編集しているため、正式な会議録とは若干異なります。