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ページ番号:58069
掲載日:2023年5月18日
Q 中屋敷慎一議員(自民)
先月8月25日に、平成27年度の全国学力・学習状況調査(以下、全国学力テスト)の結果が公表されました。平成19年度から始められたこの調査は、小学校6年生と中学校3年生を対象に実施され、一、義務教育の機会均等とその水準向上の観点から、全国的な児童生徒の学力や学習状況を把握・分析し、教育施策の成果と課題を検証し、その改善を図る。二、そのような取組を通じて、教育に関する継続的な検証改善サイクルを確立する。三、学校における児童生徒への教育指導の充実や学習状況の改善等に役立てるの3点を目的としています。
この全国学力テストに本県は第1回の平成19年から参加していますが、残念ながらランキングでいうと全8回の結果のうち、今回の平成27年度の結果は、小学生の平均正答率61.7パーセントで全国42位で過去最低。中学生の平均正答率59.0パーセントと全国36位で、最も低かった平成24年度に次ぐ結果となってしまいました。
数年の結果を見比べてみると、本県の成績が下落しているというよりも、他県の頑張りが結果に表れているように感じました。もちろん、この全国学力テストが学力の全てを表わすわけではないことは言うまでもありませんが、結果としてこうした数字が残ってしまったことは、私以上に教育委員会の皆さんにとって大変ショックな結果だったのではないでしょうか。
この結果に関する発表に注目していると、大阪府教育委員会が興味深い取組をしていたことを知りました。大阪府教育委員会がテスト実施に先立ち、学校別結果を高校入試の内申点評価に活用する方針を打ち出したことが、結果的に成績向上につながった可能性があるとの報道。もちろんこの大阪府教委の判断は、文部科学省から見れば好ましいとは言えず、その目的から外れているとの指摘もあったようですが、小学生の結果がほぼ横ばいだったのに対し、中学校では1.0から3.0ポイント正答率の上昇が見られ、なおかつ白紙回答の割合を示す無回答率も大きく改善されたとのことです。正にこの結果が示しているのは、内申点評価への活用という方針が生徒たちのやる気や保護者の注意を大きく喚起したということではないでしょうか。
この結果により、全国学力テストが活用方法などに制度的に問題を抱えているのかどうかは、文部科学省の熟慮を求めるところですが、もっと気になるのは、今まで本県より大分下位にいた大阪府が本県のすぐ上、35位にランクされたということです。
学力の向上への取組の主役は児童生徒です。ならばやる気を喚起することが最も重要なのではないでしょうか。さりとて全国学力テストの内申点評価への活用は、文部科学省は今後一切認めないと言っています。しかし、幸い本県では、今年度から小学4年から中学3年までを対象とする新たな一人一人の学力の伸びを把握する学力・学習状況調査が実施されています。
私は、この最大6年間、継続的に行われる調査の効果を最大限上げていくには、学力の伸びを把握し、個々の児童生徒の自らの学習意欲の向上に期待するにとどまらず、今回の全国学力テストにおける大阪府教育委員会の判断のような、児童生徒のやる気の喚起につながる仕組みを工夫する必要があると考えますが、本県の教育をリードする関根教育長のお考えをお聞かせください。
A 関根郁夫 教育長
今回の全国学力・学習状況調査において、全ての調査科目で本県の正答率が全国平均を下回ったことを深刻に受けとめており、小中学校における学力向上は喫緊の課題であります。
今年度から開始した県独自の学力・学習状況調査は、小学校4年生から中学校3年生までの児童生徒一人一人の学力の向上を図ることを目的として実施しております。
この調査の結果を児童生徒・保護者・学校が面談などを通じて共有し、「やる気」の喚起につなげる仕組みづくりが必要であると考えております。
そこで、県教育委員会では調査結果にもとづき児童生徒一人一人の学習の成果や課題、課題に対する指導方針などを成長の記録として目に見えるようにする取組を始めております。
学校では、この成長の記録を使いながら学習内容のまとまりごとに学習の成果を確認する小テストなどを行っていきます。
こうした、成果を確認し課題を一つずつ克服する経験を通して、児童生徒の「やる気」は引き出されていきます。
児童生徒が「分かった」、「できた」と実感し、教師や保護者が認め励ますことで、児童生徒の学習意欲を高め、学力を伸ばすという好循環を作り出していきたいと考えております。
また、県学力・学習状況調査の開始に合わせ、「やる気」を引き起こすことに着目した学力向上策などを市町村教育委員会が提案・実施するモデル事業も始めたところでございます。
この事業の成果を広めるなどして、学力向上の課題解決に取り組む市町村を引き続き支援してまいります。
県教育委員会といたしましては、児童生徒の「やる気」を喚起し学力を伸ばすというねらいを市町村教育委員会と共有し、子供たちの学力向上のためこの調査の結果の活用にしっかりと取り組んでまいります。
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