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掲載日:2023年5月17日
Q 前原かづえ議員(共産)
10月、三重県津地裁で、30年にもわたる自宅ひきこもりの末、パソコンを買ってもらえなかったと父親を殺害した59歳の男性の判決がありました。内閣府によると、埼玉県内のいわゆるひきこもり人口は3万9,000人と推定されますが、これは氷山の一角です。保護者たちが高齢化していること、受皿がなくて保護者が孤立していることなどが近年の特徴です。
長期間放置されれば、アルコール中毒、家庭内暴力など深刻化する場合もあります。しかし、県発行の冊子の中に、職場のいじめをきっかけにひきこもった29歳の男性、支援団体が作る居場所、フリースペースを利用し、頼りにされたことで自信をつけ、調理師の資格を取り、就職したなど早期に適切な働き掛けがあれば、再び社会に足を踏み出せるケースが紹介されています。
知事に伺います。ひきこもりの現状についての認識を御答弁ください。
埼玉県は、11月より越谷市内にNPO委託のひきこもり相談センターを開設しました。党県議団は、相談センターと併設のフリースクールを視察しました。そこでは子供たちの焼くお菓子の香りが充満し、仲間とゲームをする子、イラストを書く子、エレキギターを練習する子など、それぞれが自主的に居場所を見つけ活動しています。NPOはこのような経験を大いに生かし、ひきこもりの子供、保護者の相談やグループ活動を進めていく予定です。少しでも人と話ができることで気持ちが楽になってもらえればと、事務長さんは話しておられました。
さいたま市のひきこもり相談センターも訪問しました。心の健康センターの人員体制のうち、精神保健福祉士など専門職の四人を専任としてひきこもり相談センターの看板を掲げています。こちらでは、グループワークのほかにリレートサポーターという支援者を十数人育成し、家庭訪問活動も行っています。今後、県の相談センターもさいたま市のセンターのように専門体制を整え、訪問活動なども積極的に行えるよう拡充していただきたいのですが、保健医療部長の答弁を求めます。
ひきこもり相談センターについて、国の方針は県と政令市に1か所ずつですが、100万人の政令市に1か所相談センターがあるのに、県全体で東部に1か所というのはいかがなものかと思われます。せめて東西南北に相談センターを設置していただきたい、保健医療部長の答弁を求めます。
A 上田清司 知事
ひきこもりは、本人にとって就学や就労ができないなど自立と社会参加の機会が失われ、こうした状態が長期化すれば、社会生活への復帰が著しく困難になってまいります。
また、御家族にとっても精神的、経済的に大きな負担が掛かり、さらには、社会にとってもひきこもりが増えることで活力の低下にもなります。
最近では、ひきこもりの長期化とそれに伴う家族の高齢化が大きな問題になっております。
私は、ひきこもりの長期化を防ぐために、本人だけではなく御家族や関係者が相談窓口に、まずはできるだけ早く来ていただくことが重要であると思います。
これまで、ひきこもりの原因の一つでありました不登校対策としては、公立中学校に心理の専門家を配置するほか、不安を抱えている保護者の方を対象とする相談会を開催するなど相談体制の充実を図ってまいりました。
その結果、公立中学校における不登校率の全国順位は平成18年度の40位から平成26年度には7位まで向上できました。
また、いわゆるニートの対策としても、県内4か所にある地域若者サポートステーションにおいて、平成26年度は6,000件を超える相談を受け、500人を超える方の就職に結び付けることもできました。
さらに、ひきこもりの長期化を防ぎ早期解決を図るため、若年層の段階から相談に応じていくことが有効だと考えます。
フリースクール運営などでノウハウを持つ民間団体に委託し、本年11月に、県としてひきこもり相談サポートセンターを開設いたしました。
このセンターでは、専門の支援コーディネーター3人を配置し、自らの経験に基づき、相談者一人一人の状況に応じた助言や当事者同士の交流会への参加を働き掛けるなど、ひきこもりからの社会復帰を支援しています。
A 石川 稔 保健医療部長
まず、訪問活動の充実を図るべきについてです。
ひきこもり当事者は、自ら助けを求めることができず、相談会場に出向くことも難しいことから、訪問活動は有効な支援策の一つになると考えます。
一方で、自宅に他人が訪ねて来ること自体に抵抗を示し、かえって訪問を依頼した家族との関係が悪化するケースもございます。
訪問活動の実施に当たっては、当事者やご家族との関わりを深めながら時間をかけて信頼関係を築いたうえで、訪問の時期などを慎重に判断し行う必要がございます。
県では、ひきこもりから社会復帰できた経験者にピアサポーターとして直接、訪問・相談に当たっていただいております。
また、当事者同士が悩みを共有し社会復帰のきっかけとなる集いの場を開催しています。
この11月に開設した相談サポートセンターでも、訪問活動などを今後行っていく予定でございます。
さらに、どのようなきっかけで社会復帰できたのか、実際に回復された方の声などを事例集として取りまとめ、ひきこもりに悩む皆様に活用していただいております。
事例集では、かつて不登校を体験し、その時に利用したフリースクールでのボランティアをきっかけに自信を取り戻し、得意なパソコンを活かして就職した例など数多くの事例を紹介しております。
県といたしましては、今後とも、相談・訪問活動の充実に努めてまいります。
次に、ひきこもり相談サポートセンターを県内東西南北に設置すべきについてです。
県内全ての保健所において、日常的に精神保健福祉士や保健師が相談を受けているほか、ひきこもりに関する専門知識を備えた臨床心理士による相談も実施しております。
また、相談サポートセンターのコーディネーターが必要に応じて、出張相談することなども考えています。
相談サポートセンターは開設間もないことから、まずはこうした運営を行う中で、相談内容などの検証を行い、関係機関とも協議しながら今後の相談体制のあり方について検討をしてまいります。
再Q 前原かづえ議員(共産)
心を閉ざした方に、ひきこもっている方に外に出てみませんかというと「どこに行けばいいんですか」という答えが返ってきて、結局センターとか、相談する場所があるということがとても大事だと思うんですね。それが今、東のほうに1個しかないということでは、とても西部の人たちは東まで行くわけにもいきませんので、今回作ったわけですから、これを次にどういうふうに進めていくかという計画を是非ともきちんと明らかにしていただきたいと思うんですが、計画を持つという意思を持っていただきたいんですが、それについてお願いいたします。
再A 石川 稔 保健医療部長
相談サポートセンターを東西南北に設置することについて、しっかりした計画を持ってほしいとのお尋ねでございます。
先ほど答弁いたしましたとおり、県内全ての保健所において日常的に精神保健福祉士や保健師が相談を受けております。
また、ひきこもりに関する専門知識を備えております臨床心理士も相談対応しており、ピアサポーターの訪問相談や集いの場の開催も行っております。
今後設置しないということでなく、相談の実態をよく把握させていただいた上で、今後の対応について検討してまいりたいということでございますので、ご理解をたまわりたいと存じます。
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