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掲載日:2023年5月18日
Q 畠山 稔議員(民主・無所属)
今から10年後の2025年、つまり平成37年には団塊の世代が75歳以上となります。特に本県においては、75歳以上の高齢者は約118万人まで増えると予想されており、2010年の約59万人と比較した増加率は全国第1位と、正に全国一のスピードで急速な高齢化を迎える状況にあります。
また、そのスピードや医療・介護のニーズが高くなる高齢者数が大幅に増加する以外にも、日常的な近所付合いが疎遠になりがちで、社会的にも孤立しやすい単身高齢者世帯、高齢者夫婦のみ世帯や認知症高齢者の増加が予想されております。
高齢者の誰もが医療や介護が必要な状態になっても、住み慣れた地域で安心して暮らし続けることを願っていることと思います。しかし、急速に進む超高齢化を前に、将来、自分は住み慣れた自宅で介護サービスを受けることができるのか、自宅で介護サービスを受けている場合でも、具合が悪くなったときにお医者さんに診てもらうことができるのかなど、本当に今後も安心して暮らし続けられるかどうか不安をお持ちの方も多いのではないかと思います。
今後、10年間という短い期間に医療や介護を必要とする高齢者が急増するとなると、今まで以上の医療・介護サービスの提供体制が必要となります。さらには医療と介護が切れ目なく提供できる体制が、より一層必要になるのではないかと考えます。必要な医師数の確保、入院施設の充実、往診を含めた在宅医療体制の構築、地域包括支援センターの充実、介護職員の確保、民生委員やボランティアの確保など、これまで以上に進めていかなければなりません。
一方で、医療や介護サービス利用が増えれば社会保障費も増大します。十分な医療・介護のサービスを提供しつつ、いかに費用を抑えていくかも重要であります。知事もマニフェストの中で、2025年への挑戦として、医療・介護などの資源の充実とともに、健康長寿の推進や医療費削減を掲げていらっしゃいます。
そこで、後期高齢者が急増する2025年問題に対して、これからの医療・介護の取組について知事の御所見をお伺いいたします。
A 上田清司 知事
この大きな課題は、医療介護体制の強化と健康長寿の推進だと考えています。
まず、医療介護体制の強化では、現在、10年後の医療需要を見据えた地域のあるべき医療体制などを内容とする地域医療構想の策定を進めているところでございます。
国が定めた計算式による試算では2025年までに県全体で4,000床程度の増床が必要だとされています。
今後地域の医療機関、市町村などと協議しながらそれぞれの地域で機能別に必要な病床を整備しなければなりません。
また、在宅で療養する患者を支えるため、郡市医師会などに在宅医療連携拠点を整備して、医師や訪問看護師などがチームで往診する仕組みを構築してまいります。
一方、在宅での生活を支えるためには、医療・介護・生活支援などのサービスが一体的に提供される地域包括ケアシステムを構築することが必要でございます。
県は、在宅医療と介護の連携や認知症の方などへの支援体制の構築に向けて、必要な人材の育成や医師会との調整など、市町村とともに取り組んでまいります。
また、介護と看護が連携して在宅での生活を24時間支える「定期巡回・随時対応サービス」についても全市町村で提供できるよう、その拡大を図ってまいります。
さらに、在宅での生活が困難になった方のセーフティネットとして、本年3月に策定した埼玉県高齢者支援計画に基づいて、平成29年度までに約1万5,000人分、特別養護老人ホームなどの介護施設を整備いたします。
次に、健康長寿の推進でございます。
高齢者がいつまでも元気であれば、結果として医療や介護に要する費用も少なくて済みます。
本県では、誰もが健康で生き生きと暮らせる健康長寿社会の実現を目指すために、平成24年度から健康長寿埼玉プロジェクトに取り組んでまいりました。
本年1月に発表した「健康長寿埼玉モデル」では、医療費の抑制効果があった「毎日1万歩運動」と「筋力アップトレーニング」の2つを推奨プログラムとして発表させていただいております。
今年度から20の市町村でこのプログラムへの取組を開始しております。中でも「とことんモデル」の志木市と三芳町では、それぞれの参加者が1,000人を超える大規模モデルを追求しています。
仮に40歳から74歳までの県民のうち10人に1人、推奨プログラムに取り組めば年間約100億円の医療費抑制効果があるという試算があります。
健康長寿の取組を全県に普及・拡大して、県民の健康寿命の延伸と医療費の抑制を目指してまいります。
また、そのことが、まさに1人ひとりの可能性というものをいろいろな形で実現することになるものだと思っております。
2025年を見据え、高齢になっても住み慣れた地域で安心して暮らせるよう、市町村とともに全力で取り組んでまいります。
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