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掲載日:2023年5月19日
Q 醍醐 清議員(県民)
先月、海洋と大気に関する調査研究を専門とするアメリカの政府機関、アメリカ海洋大気局は、今年3月の世界の大気中の二酸化炭素濃度の月平均が観測史上初めて、地球温暖化の危険水準とされる400ppmを超えたと発表しました。また、日本の気象庁でも、今年4月までに気象庁の全ての温室効果ガス観測地点で二酸化炭素濃度の月平均が400ppmを超えたとしています。二酸化炭素濃度の上昇は地球温暖化を引き起こすとされ、地球温暖化の影響と見られる干ばつや豪雨などの異常気象が世界各地で起きている状況であります。
このような中、政府でも地球温暖化対策推進本部を開き、温室効果ガス排出量を2030年度までに2013年度比で26パーセント削減する新たな目標をまとめたところでありますが、2013年度の国内の温室効果ガス排出量は14億8,000万トンで、これは2005年度と比較しても0.8パーセントの増加となっており、新たな目標の達成には相当な努力が必要ではないかと思います。
埼玉県では、温室効果ガスの削減に当たって、ストップ温暖化・埼玉ナビゲーション2050を策定し、2020年度までに2005年度比で21パーセントの削減を目標にしています。2013年度の埼玉県の削減結果では、製造業などの産業部門、商業施設などの業務部門の削減は進んだものの、家庭部門が2005年度比2.2パーセント増加したことや、運輸部門が自動車台数の増加から削減が進まなかったことにより、全体では2005年度比8.9パーセントの減少であります。まだ目標にほど遠い状況であります。今後、未達成な事業所については、指導などの働き掛けを行うこととなると思いますが、目標達成に向けて、県民や県内企業へ協力を求めるためには、県が自ら率先して取り組むことが重要ではないかと考えております。
県施設の削減計画として、ストップ温暖化・埼玉県庁率先実行プランが策定され、2020年度までに2005年度比で23パーセントの削減という高い目標が設定されております。また、県施設の温室効果ガスの排出量を見ると、平成25年度の総排出量は約50万トンで、県全体の1パーセント強に当たりますが、そのうちの6割の29万トンが下水道施設からの排出であるということを伺って、私は大変驚いたところであります。
県全体の温暖化対策を牽引するストップ温暖化・埼玉県庁率先実行プランを達成するに当たっては、流域下水道事業に大きな役割が期待されるとともに、その実効性が求められていくと思います。そこで、流域下水道事業での温室効果ガス対策の目標と、この達成に向けた取組について、下水道事業管理者にお伺いをしたいと思います。
A 三井隆司 下水道事業管理者
県では「ストップ温暖化・埼玉県庁率先実行プラン」における温室効果ガスの削減目標を県全体では「2020年度までに2005年度比23パーセント削減」と定めております。
流域下水道から排出される温室効果ガスは、県事業全体の排出量の約6割を占めることなどから、2005年度比26パーセント削減が必要とされております。
このため下水道局では「流域下水道地球温暖化対策実行計画」を策定し、平成26年度から目標達成に向けた取組を進めており、今後、新たに稼働する施設からの排出量を含め、目標年度の2020年・平成32年度までに温室効果ガス約30,000トンを削減することとしております。
下水道施設から排出される温室効果ガスは、下水汚泥の焼却過程で排出するものと水処理過程で消費する電力によるもので全体の約8割を占めており、実行計画ではこの2点の対策を重点化し、取り組むこととしております。
まず、汚泥焼却過程の排出ガスの削減の取組でございますが、下水汚泥は通常800度で焼却するところを850度の高温で処理することにより温室効果ガスの排出量を約6割削減できます。
このことから、全体で15基ある焼却炉のうち、既に10基を850度の高温焼却炉として稼働させているのに加え、平成26年度には新たに2基を高温焼却炉に転換いたしました。
また、このほかに従来の焼却炉に比べ温室効果ガスの排出量を6割程度削減できる固形燃料化施設を平成27年度から1基稼働させております。
この固形燃料化施設とは発電施設などで使用する石炭などの燃料の代替物を下水汚泥から作り出す施設でございます。
これらの取組で約28,000トンの温室効果ガスの削減が見込まれます。
次に、水処理過程での電力削減の取組でございます。
下水道は微生物の働きにより汚水を浄化しておりますが、この微生物の活動を活性化するため、水処理をするタンクに空気を送り込んでおります。
この空気を送り込む装置の電力消費量は水処理過程の約5割を占めております。
このことから今後この装置全体の約2割を高性能かつ省エネ型の機器に交換していくこととし、目標年度の2020年・平成32年度までには交換済のものを含め全体の4割を省エネ型の機器にすることとしております。
この取組で約2,000トンの温室効果ガスの削減を見込んでおります。
今後も目標達成に向け、これらの取組が確実に実行できるよう全力で取り組んでまいります。
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