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ページ番号:61401
掲載日:2023年5月17日
Q 美田宗亮議員(県民)
先月、気象や気候についての国連の専門機関である世界気象機関は、二酸化炭素などの主要な温室効果ガスの2014年の世界平均濃度が過去最高を更新したと発表いたしました。その声明では、「気温が上昇し、熱波や洪水などの異常気象が増えていき、我々は恐ろしい速度で未知の領域へ進んでいる」と警告しております。
日本の気象庁が発表している気温データを見ると、日本の年平均気温は100年間で1.14度上昇しております。しかし、1980年以降は、3.09度の上昇と約3倍になっています。急速な気温上昇は、正に警告どおりの状況であります。
我が埼玉県でも、気温の上昇傾向は同様であり、しかも地球温暖化の影響と見られる事象が次々と起きております。2010年には、埼玉県のブランド米、彩のかがやきが高温障害で大きな被害を受けたことは記憶に新しいところです。また、時間雨量50ミリメートル以上のいわゆるゲリラ豪雨の発生件数も、ここ10年間で31件と、その前の10年間の19件に比べて1.6倍も観測されております。熱中症の緊急搬送者数も、ここ数年3,000人前後の高水準で推移しており、健康被害も深刻になってきております。
温暖化対策は、待ったなしで取り組んでいかなければならない非常に重たい課題であります。現在、深刻化する地球温暖化を食い止めるべく、国連気候変動枠組条約第21回締約国会議、いわゆるCOP21がパリで開催されております。日本政府も、新たな温室効果ガス排出量の削減目標を掲げ、次期枠組みの合意を目指して交渉に臨んでいるところです。
県では、そうした国の動きに先駆け、地球温暖化対策の実行計画であるストップ温暖化・埼玉ナビゲーション2050を改訂し、2020年度における需要側の温室効果ガス排出量を2005年度比で21パーセント削減する目標を掲げ、地域総ぐるみで温暖化対策を進めていくものとされております。この目標達成のためには、温室効果ガスの削減状況や施策の進捗状況を逐次しっかりと把握し、効果的な対策を打つことが不可欠です。
そこで、計画の基準年である2005年と比べ、温室効果ガスの削減はどの程度進んでいるのか、削減状況と今後の取組について、環境部長にお伺いいたします。
A 半田順春 環境部長
まず、温室効果ガスの削減状況でございますが、県の最新値であります2013年度の排出量は3,912万トンで、2005年の基準年に比べて384万トン、8.9パーセントの削減となりました。
2020年度に需要側の温室効果ガスを21パーセント削減する目標を掲げる中、計画期間の半分を過ぎた時点では、やや遅れている状況にあります。
部門ごとに見ますと、産業部門では16.3パーセント、オフィスビルなどの業務部門では18.8パーセントと大幅に削減が進みました。
一方で、運輸部門は5.3パーセントの削減、家庭部門は2.2パーセントの増加など、削減状況は部門ごとにばらつきがあります。
次に今後の取組についてでございます。目標を確実に達成するためには、削減の進んでいない家庭部門と運輸部門における削減対策が必要です。
まず、家庭部門については、省エネ対策の実施や家庭用省エネ機器の普及が非常に重要です。
スマートフォンで家庭のCO2排出状況や省エネ対策をわかりやすく提示する「埼玉版家庭のエコ診断」や、夏と冬のエコライフDAYによる啓発などに取り組んでまいりました。
また、住宅用省エネ機器の設置について、例えば家庭でお湯と電気を同時に作るエネファームなどに補助を実施しております。
今後は普及啓発をさらに進め、LED照明などの省エネ家電や断熱改修などのエコリフォームの普及促進により、家庭部門の温室効果ガスの削減を進めてまいります。
運輸部門につきましては、現在、電気自動車やプラグインハイブリッド自動車及び燃料電池自動車など次世代自動車への切り換えを進めています。
乗用車全体に占める次世代自動車の割合を2020年に40パーセントにすることを目指しております。
現在、充電器の整備への支援や燃料電池自動車の購入補助などを行っており、今後も次世代自動車の普及に積極的に取り組んでまいります。
また、温室効果ガスを削減するためには、自動車の利用を抑えていくことも大切です。
現在、環境部では職員の通勤時や買い物時などにできるだけ自動車を使わないようにする取組を試みています。
今後はこの取組の効果や課題を十分検証し、県庁全体さらには県内の企業、事業所、県民に働きかけてまいります。
今後とも、ストップ温暖化・埼玉ナビゲーション2050の目標達成に向け、県民、事業者などと力を合わせて全力で取り組んでまいります。
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