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掲載日:2023年5月18日
Q 齊藤正明議員(自民)
埼玉県の資産は、急激な人口増に合わせて昭和40年代から昭和60年代に整備されたものが多く、今後多くの資産が改修や更新の時期を迎えます。県が今年3月に策定した県有資産総合管理方針には、庁舎や学校、警察署などの一般施設、道路や河川などのインフラ施設、上下水道などの公営企業施設に分類し、今後の課題と対応の方向性が示されました。このうち道路や橋梁などのインフラ資産については、自民党の山下議員から6月定例会で質問がありました。私からは上下水道についてお伺いをいたします。
管路あるいは管渠について。
工業用水では9割以上、上水道では約4割、下水道では3分の1強が埋設後30年を経過しています。中には、何と40年や50年の耐用年数を超えている施設もあります。浄化施設の老朽化も進んでおり、耐震性も十分ではありません。今後、修繕や大規模な施設更新、そして老朽化により維持改修費がかさみ、さらに、人口減で料金収入が減少傾向となっております。また、下水道については、今後30年間に必要な維持管理、更新に要する費用が約3,200億円と試算されており、かつ、年度によって大きく異なることなどが課題となっています。
公営企業管理者と下水道事業管理者にそれぞれお伺いをいたします。
1点目として、上水道と工業用水、下水道の各施設について、耐震化を含む今後の施設の改修・更新についての計画及びコストはどの程度の見込みでいるのか。そして、その際のコスト増が市や町などの受益者の負担に及ぼす影響はどのように見込んでいるのか。また、その際、負担軽減のための方策は予定しているのか。
2点目として、総務部長にお伺いをいたします。
さきに公表された平成26年度決算審査意見書では、県有資産総合管理方針に関して、資産累型別計画や施設ごとの維持管理、更新計画の速やかな策定が指摘されています。私も県有施設全体の管理方針に加えて、それぞれの施設の状況に応じ、累型別、さらには施設ごとによりきめの細かい資産管理計画が必要と考えますが、監査意見書を受けての対応についてお答え願います。
A 中野 晃 公営企業管理者
議員お話のとおり、水の安定供給を継続するためには老朽化した施設の計画的な改修・更新が必要でございます。
そこで、水道につきましては老朽状況を踏まえ平成38年度までの改修・更新計画を既に策定しており、その中で平成34年度までに浄水場施設の耐震化を完了することとしております。
また、工業用水道につきましては、今年度耐震化を盛り込んだ改修・更新計画に見直すこととしております。
管路の更新につきましては、両事業とも多大な費用と時間を要することから、今後、重要路線を優先して計画を策定し、順次実施することとしております。
今後計画を策定する予定の管路を除く浄水場施設の耐震化及び改修・更新に要する費用については、平成38年度までに水道では約1,300億円、工業用水道では約80億円を見込んでおります。
これらコストは、受益者負担の増加要因となりますが、一方で更新する施設の減価償却費などの減少要因もございます。
こうした増減要因を加味して1立方メートルの水を給水するための原価を試算したところ、水道では約1円20銭、工業用水道では約40銭増加する見込みでございます。
そこで、適正な管理による施設の延命化や更新時期の平準化などを行い、ライフサイクルコストの最小化に努めてまいります。
また、将来の水需要の減少に見合った適正な施設規模にダウンサイジングをするなど、更なる経費節減により受益者負担の軽減を図ってまいります。
A 三井隆司 下水道事業管理者
本県の流域下水道は全国に先駆けて事業を実施したことから最も古い荒川左岸南部流域下水道で供用開始してから既に43年が経過しております。
下水道施設の老朽化に伴う改修・更新でございますが、揚水ポンプや汚泥焼却炉などの機械設備については、耐用年数が10年から20年と短く既に改修・更新を進めております。
管渠や処理場などのコンクリート構造物については、耐用年数が50年と長く、改修・更新が必要となるのは概ね10年後となります。
耐震化計画については、これらの改修・更新と合わせて行うことが効率的ですが、平成25年度に総合地震対策計画を策定し優先度の高いものについては先行して耐震化を進めております
今後30年間における改修・更新にかかるコストについては、お話にありましたとおり老朽化対策で約3,200億円となり、更に耐震化対策で約4,400億円が加わり合わせて約7,600億円を見込んでおります。
現状と比較しますと年間平均で約60億円の増加となり、国、県、市町各々の負担割合で試算しますと、流域下水道を利用している47の市町の負担は全体で年間約15億円の増加が見込まれます。
そこで、更新前に施設の劣化状況に応じて部分的な修繕を行うなど、予防措置により施設を延命化し、ライフサイクルコストの縮減を図るとともに、年度間の予算の平準化を行う、いわゆる長寿命化計画を策定し、施設の改修・更新を計画的に進めてまいります。
また、下水道資源を活用した発電事業などによる収入で市町の負担を少しでも軽減していきたいと考えております。
今後も、引き続き、効率的かつ計画的な流域下水道事業の運営に取り組んでまいります。
A 飯島 寛 総務部長
本年3月に策定した総合管理方針でお示ししたとおり、県有資産の45%以上が築30年を超え、施設の老朽化が進んでいます。
また試算では、今後30年間で1兆7,568億円の維持管理更新費用が必要になると見込まれ、県有資産の管理が県政の大きな課題になっています。
この課題に対応するためには、議員御指摘のとおり、資産類型別計画や施設ごとの管理計画を速やかに策定する必要がございます。
このため県では、今年度中に知事部局の庁舎や公の施設、約140施設に係る資産類型別計画を策定いたします。
この計画では、施設ごとに利用ニーズや建物の劣化状況などを多角的に分析するアセスメントを実施いたします。
これにより引き続き活用すべき施設と利用の見直しを図るべき施設などに分類し、見直しが必要な施設については集約化や転用などについて検討を行います。
今後も活用すべき施設については、具体的な維持修繕計画である長期保全計画を施設ごとに策定いたします。
この計画に基づき効率的な維持管理を行い、施設の長寿命化と将来の財政負担の平準化を図ってまいります。
また、県立学校や道路など各所管部局において策定する資産類型別計画につきましては、総務部が中心となり一元的な進行管理を行い、早期の策定に努めてまいります。
こうした作業をしっかり進めることにより、県監査委員の御指摘に的確に対応してまいります。
県民の貴重な財産である県有資産を次世代に引き継いでいくため、今後も県有資産の適切なマネジメントに取り組んでまいります。
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