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掲載日:2023年5月18日

平成27年9月定例会 一般質問 質疑質問・答弁全文 (金子正江議員)

豪雨災害による被災者支援と災害対策の強化について

Q 金子正江議員(共産党

台風18号に伴う記録的豪雨によって、茨城、栃木、宮城三県では深刻な被害が発生、茨城県常総市では鬼怒川の堤防が決壊しました。本県でも、県東部を中心に床上・床下浸水被害が2,745棟に上り、私の地元越谷市では県内最多の241棟が床上浸水しました。
私は11日、越谷市船渡、弥栄町、大杉地域をはじめ、現地調査に入りました。被災した住民の皆さんは、道路に水があふれ、避難所にたどり着けなかった。防災無線が聞こえなかったと語り、建設業の社長はトラック3台、フォークリフト2台が水没して使い物にならなくなった。もう少し早く情報があれば、対策をとったのにと訴えられました。
弥栄小学校の校長先生から、10日は休校し、予定していた修学旅行も中止した。腰から胸までつかるほどの浸水で、校庭が海のようだったと聞き、あっという間に増水をしたことを知りました。大杉地域では、田んぼが丸々水につかり、稲への影響が心配されています。本県としても、豪雨による被災者への支援、復旧、再建に万全を尽くすと同時に、被災の全容を把握し、今後の災害対策に生かすよう求め、以下、質問いたします。
今回、災害情報の伝達が問題となりました。常総市でも、避難指示が遅れ、多くの住民が逃げ遅れた地域、大丈夫と判断して避難しなかった住民がいた、防災無線が聞こえなかったなど深刻です。
メール、SNS、戸別訪問など、あらゆる方法で災害情報が迅速に住民に届く仕組みづくりが必要と考えますが、情報伝達について本県として今回の豪雨災害からどう教訓を引き出すのか、危機管理防災部長よりお答えください。
次に、本県に関わる河川堤防等の強化整備について伺います。
今回、鬼怒川の堤防が決壊したことが致命的でした。改めて、治水の基本は河川堤防の強化、河床、河道の整備にあることが明確となりました。今後、利根川、荒川、中川をはじめ県内河川流域での記録的豪雨も否定できず、カスリーン台風による甚大な被災を忘れてはなりません。利根川はじめ、堤防等の強化整備は急がれるところです。
ところで、治水が目的の1つとされる八ッ場ダム建設が進められていますが、これまでも繰り返し我が党は主張してきましたが、治水対策を促進するのであれば、ダム建設ではなく、その膨大な事業予算を河川堤防等の強化整備に振り向けることこそ必要と、改めて指摘するものです。
そこで、県土整備部長に伺います。
1つは、本県における国管理河川での堤防等強化整備の進捗状況はどうか、整備促進へ県として国にどう働き掛けているのか。
2つ目に、県管理河川における堤防、調節池や排水機場などについて、総点検を行うと同時に、必要な対策を講じること。
3つ目には、今回の豪雨で新方川においては、春日部市で川から水があふれたことが確認され、越谷市では住民から土手からの水のしみ出しがあったとの情報が寄せられましたが、調節池や河道改修も併せ、直ちに対策を講じていただきたい。
以上3点、お答えください。
続いて、農作物被害について伺います。
今回の水害では、加須市、久喜市、白岡市でソバが約27ヘクタール、県東部地域を中心に約4,000ヘクタールの稲が浸水したとのことです。県内のある農家の話では、品質検査の結果、浸水後に刈り取ったコシヒカリの買取額が1万円から9,300円に引き下げられたそうです。被災した農家からは、稲の品質低下による減収が強く懸念されています。県は、平年より30パーセント以上の収量減が見込まれる場合に当たらないため、被害面積や被害額を市町村に報告を求めていないのは問題です。
浸水被害を受けた全農家から、農作物の被害額を調査するなど、被害の実態を把握し、被災農家への支援を直ちに行っていただきたい。農林部長よりお答えください。

A 小島敏幸 危機管理防災部長

防災情報は住民に早く正確に伝えることが求められます。そのためには二重・三重に備えをすることが有効です。
従来から行われている伝達手段には、防災行政無線、広報車や消防団による広報、ホームページへの掲載、自主防災組織や近隣住民による直接的な声掛けなどがあります。
最近では、議員も御紹介されておりましたが、緊急速報メール、ツイッター等のSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)なども利用されています。速報性や効率性を考慮すると、ケーブルテレビを含むテレビ放送、コミュニティFMを含むラジオ放送なども有効です。
例えば、テレビ埼玉では県内の28市町村と契約し、災害時には避難情報などの防災情報をデータ放送によりリアルタイムで発信しています。
県では「避難勧告等の判断・伝達マニュアル作成例」を策定し、市町村に防災情報の多様な伝達手段をお知らせするとともに、住民の皆さんへの伝達内容や手段を盛り込んだ基準づくりを働き掛けてまいりました。
県といたしましては、今後も自らホームページなどで情報発信することはもとより、市町村が防災情報を住民に早く確実に伝えることができますよう支援し、県民の安心安全の確保に努めてまいります。

A 浅井義明 県土整備部長

先日の関東・東北豪雨では鬼怒川の上流にある4つのダムで合計約1億立方メートルの洪水を貯め込みました。
一般にダムによる洪水調節は、ダムの下流すべての区間で効果が表れることから、被害を大きく軽減させるものです。
今回この4つのダムがなければ、常総市で溢れた水量は、ほぼ2倍の約6,200万立方メートルと試算され、被害がさらに拡大したと推定されます。
また、八ッ場ダムについては、その他の治水対策に比べコスト及び実現性などの点で最も優位であると報告が出されております。この整備は必要不可欠であると考えております。
御質問の「国管理の河川の堤防等強化整備の進捗状況について」でございますが、利根川・江戸川首都圏氾濫区域堤防強化対策として、平成26年度は加須市大越地区の250メートルなどが完成しております。
これからも引き続き、利根川、江戸川の堤防強化対策を重点的に進めていくと聞いております。
また、国への働きかけについてでございますが、堤防強化対策など国の治水事業の推進を、毎年、国土交通省に対し働きかけてを行っております。
次に、県管理河川の総点検と必要な対策についてでございます。
堤防につきましては、日常の河川巡視や年1回の定期点検、大雨や地震の後の緊急点検などを実施しております。
今回の関東・東北豪雨の後にも、亀裂や陥没などの有無について直ちに点検を行いました。
また、排水機場などの河川施設については、梅雨入り前や台風の接近にあわせて点検を実施しております。
点検結果を踏まえ、異常があった場合には速やかに対応するとともに、現在の河川施設の治水機能を保持するため、適切な維持管理を行ってまいります。
次に、新方川における治水対策についてでございます。
まず、新方川の漏水については、住民からの情報が寄せられた後、直ちに職員が出動し現地調査を行いました。
その際、漏水やその痕跡については確認できませんでした。
漏水等の周辺住民からの情報提供にもとづく初期対応は非常に重要ですので、引き続き水防団とも協力し堤防の安全確保を図ってまいります。
また、新方川の整備についてですが、これまでに延長10.9キロメートルのうち下流から8キロメートルまで、大吉調節池を含め河川の整備が完了しております。
現在、河川の拡幅に伴う東武鉄道の橋りょう架換えを実施しており、今後も上流の未改修区間について河川整備を進めてまいります。

A 河村 仁 農林部長

まず、農作物被害の実態把握ですが、県では市町村や農協と連携し調査を行い、9月11日正午現在で、水稲では約4,000ヘクタール、ソバでは約27ヘクタールの浸水を確認いたしました。
台風通過後は順調にほ場から水が引いたことから、収量への影響は少なく、埼玉県農業災害対策特別措置条例に基づく平年の収量に比べて30%以上収量が減ったとの被害報告は市町村からございませんでした。
浸水後に収穫した水稲の品質低下は、7月8月の高温や8月中旬以降の日照不足、さらには降雨による刈り遅れなど様々な要因が影響していると考えられます。
このため、今回の台風18号だけが原因で品質低下したとは言えず、その被害額の算出は困難でございます。
次に、農家への支援策でございますが、県では台風18号通過の前後に、水稲の品質確保のため、速やかな排水や倒れた稲は別に収穫するなどの技術指導を行いました。
また、台風18号の影響にかかわらず稲穂から芽が出てしまったことなどにより収量が減った場合は農業共済制度の対象となります。
ソバ農家に対しては、国の経営所得安定対策交付金が確実に受けられるよう、浸水状況の写真や作業日誌などを準備するよう周知しております。
引き続き、技術指導に努めるとともに、農家経営の安定が図られるよう、日本政策金融公庫のセーフティネット資金など様々な制度を活用し、支援を行ってまいります。

再Q 金子正江議員(共産党

県管理河川の堤防や調節池の総点検について、先ほど年1回の点検や定期点検を行っている。そして、今回の豪雨災害時も、その後にも点検をしたという御報告でございましたけれども、実際に私もこの新方川周辺を調査いたしましたけれども、今回はここに大杉地域に調節池があるわけですけれども、ここも満杯、そして新方川は中川に合流するわけですけれども、中川が危険水域に達したというような報道があるように、非常に河川の流量の排水が満杯だったということだったと思うんですね。
そして、今住民の人たちが何を一番心配されているかといえば、私が11日に周辺のところを調査しましたところ、土手からかなり水がしみ出しているという、このことをすごく心配されていて、やはり鬼怒川の堤防決壊という、こういう大災害を目の当たりにしている中では、このことがそういうものにつながるのではないか。
先ほど、部長の御答弁では漏水はなかったというような御報告ではございましたけれども、それであるならば、やはりどの時点でこういう調査をしていただいたのか、やはり翌日の状況の中では土手から水がしみ出して住宅街のほうに行っているという状況を私も見ておりますので、それも1か所ではないわけですよね。ですから、そういうところで点検調査を更に詳細にしていただきたいということが求められているわけですが、その点について再度御答弁をお願いします。

再A 浅井義明 県土整備部長

御質問の中で、新方川の漏水のお話がございましたが、確かにそのお話を伺っております。
その日時を正確に申し上げますと、豪雨が起こったのが9月10日の夜半から11日にかけてということでございましたが、実際にその情報を事務所が入手したのは、9月15日、事務所に住民の方がおいでいただき、そこの部分に水が噴き出したというようなお話を頂きました。
それで早速その一時間後に現場に到着をして、その箇所で漏水があったかどうかの確認を現地の事務所が行っております。
その時には、御答弁申し上げましたように漏水やその痕跡については確認ができておりません。
実際この今回の豪雨につきましては、特に東部地域では内水と申しまして住宅地の水位がかなり高く上がったものですから、それが全部引くまでは河川の状況についても把握できない状況でございました。
そこで県土整備事務所等は、9月11日、水が引き始めた段階から翌12日、これは土曜日でございますが12日、13日にかけて、それぞれの堤防を一斉に実際に職員が歩いて点検をしております。
お話がありましたように、今回の雨は、越谷では観測史上最大というようなものでございますので、われわれが河川整備で想定をしている雨量をはるかに超えております。住民の皆様方の御心配も当然というふうに考えております。
今回、事務所に来ていただいてですね、ここから水が噴いたんだというようなお話をいただいた箇所については、危険地点と認識をいたしまして、今後、このような大雨の情報が入り次第ですね、そこは注意して見ていきたいというふうに考えております。
いずれにいたしましても、堤防は非常に重要な施設でございますので、県土整備部では常に職員が現場に赴いて点検をするという体制を今後もとっていきたいというふうに思っております。

  • 上記質問・答弁は速報版です。
  • 上記質問・答弁は、一問一答形式でご覧いただけるように編集しているため、正式な会議録とは若干異なります。

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