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掲載日:2023年5月17日
Q 荒木裕介議員(自民)
高齢者の消費者被害が社会的な問題となって久しく、高齢者が被害に遭ったという記事やニュースを毎日のように見掛けます。私の知人でも、台風シーズンを前に突然訪ねてきた業者から、屋根が壊れている、放っておくと瓦が飛んで近隣に被害が及ぶ、大変なことになってしまうなど不安をあおられ、契約した後に高額な代金を支払ってしまったという話を聞きました。その方は、消費生活センターに相談はされなかったそうであります。
また、複数の人物が役回りを分担して演じる中で、入れ替わり立ち替わりのあの手この手で高齢者宅に電話をかけ、怪しげな投資商品や有料老人ホームの利用権など実態のないものを買わせる詐欺的な、いわゆる劇場型勧誘も多いと聞いております。こうした被害は、マスコミ等でもたびたび報じられておりますが、なかなか高齢者に警告が届かないなと、ふだん私も感じております。
そして、そのように不運にも被害に遭われてしまった人は、県や市の消費生活センターに相談するわけでもなく、結果として泣き寝入りしてしまう人が多く、被害に遭ったこと自体にも気付いていない人もいるのではないでしょうか。
また、最近、インターネットやスマートフォンが高齢者にも普及してきておりますが、知識に乏しい高齢者が、有料という認識がないまま、いわゆるアダルト情報サイト内をクリックしただけで利用料金を請求されるワンクリック詐欺や、よく分からないまま電話勧誘でインターネット接続回線を変更させられてしまったなどとの被害も急増しております。
団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となる2025年問題が叫ばれており、厚生労働省の推計では、2025年には65歳以上の高齢者が3,657万人となります。そして、そのうちの約700万人が認知症となり、高齢者の単独世帯や夫婦のみの世帯が増加していくことが予想されております。高齢者が今後どんどん増えていく中で、このままでは高齢者の被害はますます増えていく一方になるのではないでしょうか。
こうした状況下では、行政として相談が来るのを待っているだけで、高齢者の被害を減らすことはできないと考えます。県は、高齢者の消費者被害をどのように捉え、そしてその防止についてどのような考えで今後対策を進めていかれるのでしょうか。
以上を県民生活部長にお伺いをいたします。
A 福島 勤 県民生活部長
平成26年度の県内の20歳以上の消費生活苦情相談件数42,820件のうち、60歳以上の相談件数は16,760件と39.1%を占めております。
お話の2015年には、60歳以上の人口は20万人以上の増加が見込まれ、高齢者からの相談も更に増えてくるものと思われます。
高齢者が消費者トラブルに巻き込まれる要因として、在宅していることが多く、電話勧誘や訪問販売を受けやすいこと。
そして、さびしさから人の話を信じやすくなり、つい契約してしまうなどといった状況があるようでございます。
そこで県では、高齢者本人に悪質商法の実態を知ってもらうために、マスコミや彩の国だより、ラジオCMなどを通じ、その手口を具体的に紹介するなどして、被害の防止を呼び掛けております。
また、昨年度は、老人クラブや生きがい大学と連携をし、消費者被害の最新情報などを紹介する講座を125回実施し、6,138名の御参加をいただきました。
さらに、議員のお話にもありました、リフォーム商法や点検商法の手口を消費者被害防止サポーターが実演し、実際にだまされる現場にいるような体験をしていただく寸劇なども行っております。
このほか、高齢者の印象に残る4コマ漫画で消費者被害を紹介するリーフレットを配布するなどして、だまされる過程を分かりやすくお伝えをしております。
一方、高齢者の中には老人クラブの活動などに参加できず、自宅にとじこもりがちな方も大勢いらっしゃいます。
そうした方々に対しては、普段から高齢者宅を訪問し信頼関係のできている福祉関係者などと消費生活センターとの連携が有効だと考えております。
このため、民生委員や地域包括支援センター職員などを対象に、高齢者の消費者被害防止フォーラムを県内4か所で開催いたしております。
このフォーラムでは、福祉関係者が消費生活センターと連携をして被害を防いだ事例や、高齢者への言葉のかけ方、悪質商法の注意点などを紹介し、地域での見守りに活用をいただいております。
高齢者の見守り体制を強化していくには、こうしたフォーラムや研修会などへ、より多くの福祉関係者に参加していただく必要がございます。
そこで、民生委員をはじめ、介護ヘルパー、民間事業者などによる高齢者支援ネットワークと消費生活センターを主要メンバーとする消費者安全確保地域協議会を作り、連携体制を強化するよう市町村に働きかけているところでございます。
これから、高齢者夫婦や単身高齢者の世帯がますます増えてまいります。
これに伴い、お年寄りを狙った新手の詐欺や悪質商法が次々と出てくることが懸念されます。
県といたしましては、今後とも高齢者に消費者被害の実態を より早く、より分かりやすく伝えるとともに、市町村や関係団体と連携をし、見守り体制を一層強化することで、一人でも多くの高齢者を消費者被害から守るよう努力をしてまいります。
<注意>
氏名の一部にJIS規格第1・第2水準にない文字があるため、第1・第2水準の漢字で表記しているものがあります。
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