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掲載日:2023年5月18日
Q 畠山 稔議員(民主・無所属)
関東大震災発生から90年以上が経過し、また、記憶に新しい東日本大震災以降、日本全体の防災意識が高まり、さらに内閣府の発表で、埼玉県は首都直下地震緊急対策区域に指定され、防災対策の確保が求められています。
埼玉県を見ると、一つ、首都東京の最大規模のベッドダウンであること。二、大規模工場・倉庫等が存在すること。三、大河川による地域分断の可能性があること。四、鉄道・高速道路の大動脈が存在すること。五、綾瀬川断層、それから深谷断層があることなどを要因として、他県にも増して我が県は首都直下地震の被害を最大級に受ける可能性があるという懸念を抱いております。改めて、この危険を認識する必要があります。
本県では、危機管理防災部を中心として様々な防災対策を講じられています。しかしながら、本県の被害想定を考えるにつけ、ほかにもできることはないかと考えます。現在の地震予測の状況を見てみますと、国の発表する地震発生の確率は地震発生周期に基づく長期的なものです。例えば、今後30年以内に南関東地域でマグニチュード七級の地震が発生する確率は、70パーセントとなっています。公益社団法人日本地震学会において、東海地震以外の地震発生予測は現時点では困難であるとしています。また、東京大学、東海大学、琉球大学等の教授、名誉教授及び研究機関などが独自情報を発表しているケースが徐々に出てきております。
ところで地震学会は、地震前兆現象の中で最も有望なものとして地殻変動があるとしていますが、その地殻変動を研究発表している機関があることが分かりました。この機関は、国土地理院が全国1,350地点で設置している電子基準点の座標軸データを毎日、毎週、収集・解析しています。電子基準点の設置開始以降、18年間の地殻変動値とマグニチュード4以上の地震をデータベース化するとともに、その研究成果をレポートとして毎週発行しています。そのレポートにおいて、過去に発生した地震の地殻変動との類似性や特徴的な地殻変動などが分かりやすく発表されています。
既に3年間の実績があり、直近1年間の検証結果において、80パーセント以上の的中精度となっていることが確認されております。他の研究手法との最も大きな違いは、翌週1週間の発生可能性を発表しているということで、短期的予測となっているところにあります。現在、地震発生の心構え情報として、徐々に活用され始めていることを確認しています。
本県として、このような情報を心構え情報として活用し、研究して、より一層防災意識を高め、人命、経済、社会的損失を最小限にする一助としてはどうかと思いますが、危機管理防災部長の御所見をお伺いいたします。
A 小島敏幸 危機管理防災部長
阪神・淡路大震災も東日本大震災も、何の予見情報もない中で発生し、まさに不意打ちでした。
地震大国の日本では、地震予知に対する関心は非常に高いものがございます。
地震予測には、大きく二つの区分がございます。一つは、過去における活断層の活動時期からその周期を推定し、将来の断層活動を数十年単位で予測する「中長期予測」です。もう一つは、地震の前触れと考えられる現象を検知し、数日程度の間の発生を予知する「短期予知」です。
まず、中長期予測につきましては、文部科学省の地震調査研究推進本部が「今後30年以内に震度6弱以上の揺れに見舞われる確率」などといった形で公表しております。
首都直下地震が70パーセントの確率で起こるとされていますのも、この予測結果でございます。
一方、防災対策に役立てることが出来る短期予知には、気象庁によりますと、地震の起こる時間、場所、マグニチュードの3つの要素を科学的な根拠に基づき精度よく予測することが必要とされております。
短期予知につきましては、気象庁や大学を始めとする関係機関が研究を実施しているほか、民間団体が地道に取り組んでいる事例もございます。
議員御紹介の地表の変動を測定し過去の地震発生との相関性等から地震を予知する方法もその一つです。
この方法につきましては民間の研究機関の担当者から直接説明を受けたこともございます。
しかし、気象庁によりますと、「現在の科学では、地震の短期予知は実用段階ではなく未だ研究段階にある」と考えられております。
県といたしましては、地震発生予測の継続的な研究や調査につきましてその動向を注視してまいります。
併せて、県民の皆さんに「いつ地震が起こっても不思議ではないという心構えで、日頃から備えをしていただけるような取組」を進めてまいります。
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