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掲載日:2023年5月18日

平成27年9月定例会 一般質問 質疑質問・答弁全文 (畠山 稔議員)

埼玉県内のニホンジカの生息数の増加とその捕獲対策について

Q 畠山 稔議員(民主・無所属

積雪はニホンジカの躍動や採食行動を困難にし、約50センチの積雪で生息に影響を来すと言われています。埼玉県の秩父地域では、平成26年2月の記録的な大雪の記憶が新しいところですが、10年単位で見ると平成18年から平成27年までの10年間は、過去半世紀の中で最も雪の少ない10年間でありました。このように温暖化が進み、降雪量が減少していることが一つの要因となって、秩父地域など県内山間部の広い地域でシカの生息が確認されており、その数も増えております。
シカの増加は、その食害により、埼玉県が誇る豊かな森林に大きな影響を与えています。シカに下草が食べ尽くされた地域では、下草だけではなく植栽したばかりの幼木も食べられ、さらに樹皮に対する食害により成木が立ち枯れ、山肌がむき出しとなった森林も見られています。この結果、森林が有する保水力が低下し、土砂の流出や崩壊のおそれまで高まるとともに、森林に生息する動植物の生存に影響を与えるなど、森林生態系の悪化も懸念されています。
また、秩父市、飯能市など県西部地域では、シカが鉄道や自動車に衝突する事故が近年多発していると聞いています。山間部だけでなく、中山間地域の住民の移動など日常生活への影響が生じております。山間部における土砂の流出を阻止し、生物多様性を保全し、住民の生活環境を守るためには、シカの生息数を減らすことが喫緊の課題であると考えております。
今年6月に、埼玉県猟友会の総会に出席した際に、私は何人もの高齢の狩猟者の方々から、「体の動く限り山に入って、森の守り人として狩猟を続けていきたい」との熱い思いを聞きました。猟友会の会員数は高齢化の影響もあり、最盛期は1万5,000人だったものが、現在は2,655人となっており、一刻も早く若い狩猟者を育成する必要があると考えます。
シカを捕獲するために銃の資格を取るだけで終わりではありません。狩猟に必要な装備を備え、捕獲の仕方を覚え、捕獲したシカ肉の処理も狩猟者自身が行わなければなりません。実際、狩猟を行う際は、狩猟者がグループで行う巻狩という方法が主流であり、その中で若い狩猟者が捕獲の仕方を覚え、一人前の狩猟者となって育っていきます。こういった狩猟者同士を結び付け、技術を継承していく猟友会の役割が重要であると考えます。また、狩猟者が捕獲したシカ肉の有効活用として、小鹿野町では捕獲したシカ肉を地域資源として捉え、ジビエ料理として提供していると聞いています。
そこで、まず、埼玉県内のシカの生息地域及び生息数はどうなっているのか、その現状を踏まえ、目標とする生息数とそれを減らす対策をどのように進めるのか。また、狩猟者の育成には時間がかかるが、猟友会の支援も含めてどのような方法によって確保していくのか。さらにシカ肉の有効利用の状況について、環境部長にお伺いいたします。

A 半田順春 環境部長

まず、県内のニホンジカの生息地域ですが、昭和51年度の調査では雲取山から雁坂峠や十文字峠などの稜線に沿って生息していたものが、平成25年度の調査ではJR八高線より西の地域にまで拡大しています。
生息数は、現在約1万頭と推定しています。
ニホンジカは全国的に増えており、自然植生や農林業に大きな被害を与えていることから環境省では平成35年度までに半減させる方針を打ち出しました。
そこで、県でもニホンジカの捕獲頭数を年間3,000頭程度まで増やし、環境省の方針を前倒しして、平成31年度までに個体数を5,000頭に半減する目標としています。
目標達成のため、これまでの狩猟や有害鳥獣捕獲の実績を踏まえた2,000頭に加え、県の捕獲事業として今まで狩猟を行っていなかった秩父市にある東大演習林などで千頭を捕獲する計画を実施しています。
次に埼玉県猟友会への支援を含め、狩猟者の育成と確保をどのように進めるかについてです。
まず、狩猟者の育成について、狩猟の安全と捕獲技術の継承を図るため、埼玉県猟友会と連携して毎年約70人の若手会員を対象に、安全講習や射撃の実習と巻狩りの手法による狩猟の研修を実施しています。
これに加え、県が実施する捕獲事業の場で狩猟経験の豊富な人をリーダーとして若手への技術の継承を図るための仕組みをスタートさせました。
狩猟者の確保につきましては、狩猟免許試験の実施回数を年2回から4回に増やし、それらを全て土日に実施するとともに、受験前に試験に必要な知識や技術を教える無料の講習会も年6回に増やしました。
こうした取組により、狩猟免許試験の合格者は、平成20年度の137人から平成26年度は259人と2倍近くに増加しました。
今後もこの取組を継続し狩猟者の育成と確保に努めてまいります。
次に、シカ肉の有効利用の状況についてですが、捕獲したニホンジカの肉については地域資源としてジビエ料理に活用するなど極力無駄のないよう利用することが大切です。
平成24年10月以降、県内で捕獲されたシカ肉から国の定める基準を超える放射性セシウムが検出されたことから、シカ肉の出荷や消費の自粛を市町村や狩猟者にお願いをしてまいりました。
そうした中、平成26年4月に秩父地域鳥獣被害対策協議会などから小鹿野町のシカ肉をジビエ料理として活用し、地域振興に生かしたいとの要望が県にありました。
県では、県民の安全を第一に考え、平成26年10月から、地元と県で二重に検査を行い、放射性セシウムが基準値以下のシカ肉に限り流通させる仕組みを構築しました。
この仕組みにより平成27年8月末現在、検査した91頭のシカ肉全てが基準値以下であり、地元の旅館での提供や土産物として販売するなど有効に利用されています。
今後も埼玉県猟友会と連携し、ニホンジカによる被害軽減のため、狩猟者の育成及び確保を推進すると共にシカ肉の有効利用に取り組んでまいります。

  • 上記質問・答弁は速報版です。
  • 上記質問・答弁は、一問一答形式でご覧いただけるように編集しているため、正式な会議録とは若干異なります。

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