トップページ > 埼玉県議会トップ > 定例会・臨時会 > 定例会概要 > 令和3年12月定例会 > 令和3年12月定例会 一般質問 質疑質問・答弁全文 > 12月10日(金曜日) > 辻 浩司(民主フォーラム) > 令和3年12月定例会 一般質問 質疑質問・答弁全文(辻 浩司議員)
ここから本文です。
ページ番号:209613
掲載日:2021年12月28日
Q 辻 浩司 議員(民主フォーラム)
本県では、ワクチン・検査パッケージ技術実証を10月22日から31日の期間、上尾駅周辺の飲食店で実施しました。その内容は、接種証明書か陰性証明書の確認ができた客と未確認の客とが店内の利用するエリアを分けるというもので、このうち当初の3日間は、確認済みの客については酒類の提供時間や営業時間、人数の制限をなくすというものでした。
しかし、私は、未接種者に不利益を生じさせる制度設計は、人権上、大きな問題があると考えます。
このワクチン・検査パッケージ技術実証以前から、ワクチン接種した人にお買物券を発行するなどしていた自治体はありました。ワクチン接種率を上げるためにワクチンを打った人にインセンティブを与えるこれらの施策は、許容できる範囲です。しかし、ワクチンを打たない人又は様々な理由から打てない人が不利益を受けるという制度は、明確な差別に当たるのではないでしょうか。
飲食店の利用は、社会生活上、特別な行為ではなく、必要性の高い行為です。それを接種の有無で制限していくということは、その人に著しく不利益を与えることになります。接種しない人が不利益を被るということは、接種をした人が得をするという制度とは似て非なるものだと考えます。
今回のワクチン・検査パッケージ技術実証では、ワクチン接種をしない人、できない人のために検査による陰性証明書の提示という選択肢がありますが、陰性証明の有効期限はPCR検査で僅か3日間、抗原検査で1日間です。飲食店に行くたびに毎回のように検査を受けなければならないということで、著しく不便です。
そこで、お聞きします。上尾で行われたワクチン・検査パッケージ技術実証については、接種者と未接種者を分断するという対応をされたわけですが、結果として差別を助長することにはならないでしょうか。知事の御所見をお伺いいたします。
A 大野元裕 知事
ワクチン・検査パッケージの技術実証は、ワクチン接種証明書や陰性証明書などを活用して行動制限を緩和し、感染の再拡大期においても一定の経済活動が継続できる方策についての検証を、国と共同で実施したものでございます。
当初、国は、ワクチン接種者と陰性証明の提出者のみを技術実証の対象と考えておりましたが、それではワクチン未接種者が店舗を利用できなくなる、まさに議員が御指摘のとおり、不利益を与えることになります。
そこで、本県が提案をし、飲食店内を接種者、未接種者のエリアに分けることで、全ての方が利用をできるようにし、その際、証明書等の提示をした方は、利用時間や人数制限等の要請が緩和されるなどのインセンティブを与えるという形にさせていただきました。
証明書の提示がない方でも、店舗利用が県の要請の範囲内で可能となるよう、エリア分けをしたものであり、差別的な扱いを受けないように工夫したものであります。
本県の技術実証は、感染拡大期においてもワクチン未接種者が可能な経済活動の方策を検証するためのものであり、差別を助長するものとは考えておりません。
ちなみに、技術実証の参加者にお願いをいたしましたアンケート調査では、店内のエリア分けについて、利用客の70.0%の方から、うつらないことの安心感が得られたとの回答があり、不安があったと回答された方は、5.3%と大きな開きがありました。
また、差別されていると感じた方の回答は、5.5%でございました。
今後、ワクチン・検査パッケージを適用するに当たっては、感染リスクを考慮しながら、接種した方もできない方も店舗を利用することができるという本制度の趣旨を丁寧に説明をすると同時に、差別が助長されることのないよう十分留意してまいります。
再Q 辻 浩司 議員(民主フォーラム)
ただ今知事の方からは、国が示したモデルよりも、埼玉県としてはより差別がないように、全員が飲食店を利用できるようにしたと、エリア分けをすることで利用できるようにしたという御答弁があって、そういった配慮をしているんだというお話がありました。
しかしながら、ワクチンを接種したかしないかということは、これは極めて個人的な選択でありまして、ワクチン接種か未接種かというのは個人情報に属するものだと思います。それを日常的に開示し続けなければならない、そういう社会というのはいかがなものなのかと。
今回の技術実証は、そういった健康情報によって人々を振り分け、分断していく社会につながっていく一歩になってしまわないでしょうか。知事はこのことをどのようにお考えでしょうか、再質問いたします。
再A 大野元裕 知事
制度でございますが、国が当初想定をしていた運用というのは、都道府県や国が認めた条件の中で、接種した方若しくは証明書を提出した方のみが、そのお店を利用できるようになり、それ以外の方は利用できないという制度でございました。
私ども埼玉県が提案をさせていただき、国の御理解を得て、エリア分けを行った制度は、両方の方が同じ条件の下で、活用ができ、その上でインセンティブとして、議員御指摘のとおり、インセンティブを与えるという考え方は許容できるというお話でございましたが、インセンティブを与えることによって、そのエリアを特別に設けさせていただいたというものでございます。
その上で、このワクチン・検査パッケージの適用を想定しているのは、基本的に緊急事態宣言の期間内であり、日常的にワクチン接種の有無について開示を求めるものではございません。
また、病院、スポーツ施設などでも、通常ございますが、健康状況によって利用できる条件が異なる場合は、これは他の業界、事業あるいは時期においてもございます。
ワクチン・検査パッケージは、ワクチンを接種できない方の行動を抑制するものではなく、むしろ感染を防ぐため、接種できない方の感染を防ぐためのものでもあり、感染拡大防止と社会経済活動の両立を目指す有効な取組の一つと考えております。
そのため、本県では、ワクチンを接種できない方も、飲食店等を利用できるように工夫をした上で、対応が差別的にならないように十分配慮していきたいと考えております。
お問い合わせ
より良いウェブサイトにするためにみなさまのご意見をお聞かせください