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掲載日:2021年12月28日

令和3年12月定例会 一般質問 質疑質問・答弁全文(安藤友貴議員)

奨学金返還支援制度の導入について

Q   安藤友貴 議員(公明)

国では、公明党が長年主張してきた所得が低い世帯の学生を対象に、返済不要の給付型奨学金と授業料減免を大幅拡充いたしました。奨学金に関しても多彩なメニューが増えています。
一方で、奨学金を借りる際、返済の不安を感じる生徒も少なくありません。そこで、各自治体や企業が奨学金の返還金を助成する制度が広がっています。全国で33府県が取組を行っており、残念ながら本県にはありません。
当初は各府県人口の流出を防ぐためにできた政策ですが、少しずつ変化しています。この33府県の中で企業と一緒になって支援している府県は4つあり、その1つである京都府を視察してまいりました。
京都府は、府内大学生の地元就職率が低いといった課題により3つの目的を持って、この奨学金返済支援制度を導入しました。中小企業の人材確保、従業員の定着、そして若者の負担軽減です。まずはこの支援制度を導入しようとしている企業を集めることから始めました。制度開始の平成29年度は、協力企業14社でありましたが、10月末現在は149社まで拡大しております。
仕組みですが、導入企業へ就職された方が奨学金を借りていた場合、1年目から3年目までは企業が肩代わりした返済額の2分の1を京都府が企業へ補助します。ただし、補助上限は年額9万円です。4年目から6年目までは上限6万円の補助をいたします。離職率が高い3年未満に着目し、3年目までは手厚く行っています。つまり、6年間で9万円掛ける3年プラス6万円掛ける3年で、最大45万円が補助されます。企業も同じ額負担をいたしますので、入社後の6年間で合計最大90万円の負担軽減がされます。これは新社会人にとって大きなメリットではないでしょうか。
制度を導入した企業の声として、合同企業説明会などで社員を大切にする会社だと好意的に受け止めてくれた、また、奨学金を借りている学生が就職先を何社かで迷ったとき導入企業を選択するなど、人材確保のためのインセンティブとなっているとのお話がございました。東京と隣接する本県において、中小企業の人材確保の観点からもマッチするのではないかと考えます。
また、今年の10月に衝撃的なニュースが飛び込んできました。中小企業の人材確保につなげるため、奨学金の返済費用を一部負担する制度を東京都が新たに始めるということです。
このまま手をこまねいていていいのでしょうか。本県も導入を検討すべきです。産業労働部長にお聞きいたします。

A  板東博之 産業労働部長

奨学金返還支援制度は、若者の減少が著しい県において、地元企業へのUターン就職の支援や中小企業の人材確保、人材不足に悩む業界への就職の促進のためなどに導入されております。
人手不足の中小企業にとって、奨学金返還支援制度は、人材確保の有効な手段の一つではありますが、就職する学生にとっては、その企業をよく知り、そして、希望する就職先で将来にわたって活躍できることが、何より重要なのではないかと考えております。
そのため、本県では学生と企業がお互いを理解し、学生が希望する就職先と企業が希望する人材がベストマッチとなるよう支援を行っております。
具体的には、県内大学と連携して県内企業の社員が登壇する授業や企業インタビューを実施し、お互いの理解を深めてもらうとともに、学生の就職活動のスケジュールに合わせ合同企業面接会を開催しております。
また、多様な働き方実践企業の認定など、若者からも就職先として選んでもらえるよう、企業の魅力を高める支援も行っております。
一方で、日本学生支援機構では平成29年度から新たに給付型の奨学金制度を設けており、昨年4月からは対象者要件を拡充するとともに、授業料と入学金の減免をセットにした新制度をスタートさせています。
御提案の奨学金返還支援制度につきましては、他の都道府県の実施状況やその効果、県内企業の状況などを調査しますとともに、今後の奨学金制度の状況を見据え、制度の必要性について研究してまいります。

再Q   安藤友貴 議員(公明)

今の答弁なんですが、産業労働部長に対して本当に言わせていただきますが、優しさと危機感が全くありません。奨学金の返済支援制度の導入について聞いているのに、中小企業支援策をずらずら並べて、ほとんど最後の部分まで何も言っていないという状況です。
返済支援制度については、これから研究していきますというふうな答えがございました。まず、優しさと危機感の話をさせていただきますが、優しさの部分、これは学生のことを一つも考えていない。産業労働部といろいろお話をさせていただくと、学生のことは教育局が考えるんだという、まず認識なんです。他県を見ると、この制度をつくっているところは、両方しっかりと産業労働部関係のところが学生の負担も見ていっている、学生のことも何とかしたいという思いがある。でも、今の答弁だと、完全にそういうことは欠け抜かれていると思いました。
また、危機感の部分でもお話はさせていただきましたが、東京都がやり始めるといったところです。これでもし東京都に建設業とかIT企業を中心に、東京都がお金をかけると言っていますので、ここの部分で人員が奪われてしまった場合の危機感というのが全く感じられないのがさっきの答弁であります。
それでは、質問をまとめますと再質問になってしまうので、研究をしていくというふうに答弁がありましたが、33府県を今までやられている中で一度も研究をしたことがないのでしょうか、お聞きします。それと、研究をもししていたなら、何を研究していたのか、お教えください。

再A  板東博之 産業労働部長

就職された学生が数年で離職してしまうということが多いという課題がございます。離職する学生の多くが自らのキャリアアップのためではなく、自分に就職した企業が合わなかったということが離職の理由として挙げております。自分が就職した企業がどのような企業でどのような働き方ができるのかを事前に知らなかったことがミスマッチの大きな原因でございます。
また、企業にとっても新入社員に対し、丁寧に技術や知識を伝えても活躍される前に辞められてしまってはそのコスト負担は大変大きいものとなります。
そのため、何よりも就職の際の学生と企業の相互理解、それからマッチングが大変重要なものと考え、県では従来から若者がやりたい仕事に就けるよう、県内企業をよく知ってもらう取組を進めるとともに、県内企業には多くの方から就職先として選んでもらえるよう、企業の魅力を高め、企業の人材確保を支援してきたところでございます。
今後、先ほど申し上げましたように先行事例の効果や企業の意向等もしっかり調査し、制度の必要性を検討してまいりたいと思います。
また、御質問にございました先行事例でございますが、いくつかの自治体にも確認をしておりますが、中には奨学金返還支援制度を実施している県でもその効果がなかなか目に見えず廃止を検討してるところもございます。
実効性のある制度とするためには、しっかりそのやり方等を研究してまいらなければならないと考えておりますのでその点については今後研究をさせていただきたいと存じます。

再々Q   安藤友貴 議員(公明)

再質問で私はどういう質問をしたかというと、マッチング、今までの原因の話をしている。また、さっきと同じですよ。質問をしていることに対して答えてください。今まで研究をしたかどうか。今まで33府県をしている中で研究をしていたのかどうかということで、研究をしているんだったらその内容を教えてくださいということをまずお話しをさせていただいたので、研究をしていたのかどうか、その後の内容のお答えをちゃんとしてください。
次に、先ほどもう廃止を検討しているという県もあるということをお話しいただきましたけれども、実はそれはただの一例であって、ほとんどのところは、市町村も含めて今後やっていこうというところの方が多くなっているというのが現状なんですね。マイナスの面だけ見て、プラスの面だけは見ないというのがおかしいと私は思っておりまして、そこの部分をしっかりと、マイナスの部分だけを考えずに、これからもっとどんどん増えていく、毎年毎年増えていっているんですよ。この部分をしっかりと目に据えて、しかも東京都がやるということの危機感が全く感じられない。そのように思いますので、その部分を含めて、今の話で質問させていただきますので、まず研究をしたのか、していないのかという話と研究の内容、そして2点目に、東京がやることによって危機感は持っていないのかどうか。これを再々質問させていただきます。

再々A  板東博之 産業労働部長

どのような研究をしてきたのかについてでございますが、先行している都道府県にその状況について確認をさせていただいております。
例えば奨学金貸与者に対する支援制度を持っている茨城県、栃木県、山梨県、三重県では、それぞれ就職企業数が1社、8社、8社、2社というように、あまりその効果が大きいかどうかというところについてははっきり明確な効果が見えているとは言えないのではないかと思っております。
また、その定着状況についても兵庫県、京都府、広島などは、把握してないという回答をいただいております。こうしたことから、このような点をしっかり確認し、これからまた状況を見て、県としても対応を考えていかなければならないと考えております。
もう一つご質問いただきました東京都が実施することに対する危機感についてでございますが、人口減少が生じている中で埼玉県の人材を確保するということは大変重要なことだと考えております。
ただし、そのやり方としては、この制度で全てを対応するのかどうかということは、様々な仕組み、それから財政負担の問題等検討しながら最終的な結論を出さなければいけないと考えております。当然、隣の東京都でまだ検討している状況とは言え、実施をされた時には危機感は大きくなるものと私自身は思っております。

 

  • 上記質問・答弁は速報版です。
  • 上記質問・答弁は、一問一答形式でご覧いただけるように編集しているため、正式な会議録とは若干異なります。
  • 氏名の一部にJIS規格第1・第2水準にない文字がある場合、第1・第2水準の漢字で表記しています。 

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議会事務局 政策調査課 広報担当

郵便番号330-9301 埼玉県さいたま市浦和区高砂三丁目15番1号 議事堂1階

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