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掲載日:2021年12月28日
Q 安藤友貴 議員(公明)
「障害者農業参入チャレンジ事業に参加した16法人の運営の状況は順調か」についてお答えを申し上げます。
地域福祉の方向性は、多様な人々が支え合う地域包括ケアシステムへと進んでいます。障がい者の雇用の機会も同様です。多様な人々の連携や様々な業種で働く場があることは、正に共生社会に向かっていると考えられます。その中で、農業の担い手不足と障がい者の雇用の場が増えること、お互いのウィン・ウィン関係にあるのが農福連携です。
本県は、平成26年度から令和3年度まで障害者農業チャレンジ事業を行っています。農福連携を行いたい障害者就労施設を決定し、タマネギの生産から出荷までの農業技術指導及び習得支援を埼玉県農林公社に委託している事業です。現在までに16法人の障害者就労施設がこの事業に参加いたしました。7月に事業は終わりましたが、この事業所でしっかり運営できているかどうか気になります。
まず、質問いたしますが、この16法人の運営の状況は順調でしょうか。福祉部長にお聞きします。
農福では、農業の知識はもちろん、障がい者の適性などを含めた福祉の知識も必要です。今回、農業チャレンジ事業では、福祉施設が農業の知識を持った方に生産などを学びましたが、逆に農業法人が福祉の知識を必要とする場合も考えられます。そこで、農業と福祉の両方の知識を兼ね備えた農業ジョブコーチの存在が不可欠です。
このような農業ジョブコーチの育成に力を入れている一般社団法人三重県障がい者就農促進協議会を視察いたしました。三重県から委託を受け、農業ジョブトレーナーの育成をするために立ち上げた法人ではありますが、今では農福に関する問合せや、その他何でもここに聞けば全て相談できるワンストップ窓口の役割となってきています。
農業ジョブトレーナーは、2015年度より初級474人、上級113人の方が修了し、農福の立上げの際に大きく貢献されています。例えば、御家族で農家をされている方へ障がい者の方ができる作業の判別や説明をしたり、繁忙期だけの採用をお願いするなど、橋渡しをして環境をつくっていきます。福祉と農業の両方の知識を兼ね備えた方だからこそ、マッチングをうまく進めることができるのです。
農福連携を進めるためにも、このような農業ジョブトレーナーの育成が必要だと思いますが、いかがでしょうか。また、何よりもワンストップで頼りになる窓口の設置を考えていくべきです。
以上、農林部長にお聞きいたします。
A 山崎達也 福祉部長
農業は種まきから、草取り、収穫など、出荷に至るまで様々な作業があり、障害特性に応じた作業を選べることから、障害のある方に適した就労であると考えております。
県では、企業への就職が困難な方に働く機会の提供と就労の訓練を行う就労継続支援B型事業所を対象として、栽培しやすく、飲食店からの需要が高い玉ねぎの生産指導を行う、農業参入チャレンジ事業を平成26年度から実施してきました。
これまで16事業所が3年間の技術指導を受け、このうち14事業所が現在も玉ねぎの生産を継続しています。
残り2事業所は、農業に詳しい支援員が退職したことなどにより、この事業を取りやめています。
事業に参加した事業所の玉ねぎの収穫量は、事業開始時は1事業所当たり年間約4トンでしたが、直近3年間の平均では、約7.7トンにまで増やすことができました。
また、年間出荷額は最近3年間の平均では約500万円であり、1事業所当たりでは平均で、年間約38万円でございました。
事業を継続している14事業所にお話を伺うと、「売上げは大きなものではないが、栽培のノウハウや安定した販路が得られ、運営面でも順調である。農作業はいくつもの工程があり、屋外で自分のペースで仕事ができることから、楽しそうに働いており、売上げ以上の効果があがっている」、とのことでした。
このように、農福連携は、収入面の効果だけでなく、障害のある方が農業を通して社会に参画していることを実感できるなど、障害者支援の取組として大変重要なことと考えております。
農業参入チャレンジ事業は予定どおり令和3年度をもって終了いたしますが、農福連携の成果について、就労継続支援B型事業所を対象とした研修会で情報提供するなど、他の事業所も取り組むことができるよう、しっかりと支援してまいります。
A 強瀬道男 農林部長
農業ジョブトレーナーの育成とワンストップで頼りになる窓口の設置についてお答えを申し上げます。
農業法人などが経営発展するには労働力の確保が必要であり、障がい者の雇用拡大も重要と考えています。
このため、県では、障がい者を雇用するための農作業マニュアルを作成し、農業者に紹介するなどして障がい者雇用などを支援してまいりました。
また、令和2年度に行った県内864の農業法人に対するアンケートでは、121法人から農福連携に関心があるとの回答がありました。
このアンケート結果を踏まえ、農業法人などが経営手法を学ぶ埼玉農業経営塾において、令和3年度に、新たに障がい者雇用に関する講義を取り入れました。
さらに今後、障がい者雇用に関心のある農業者などに向けて、農福連携に取り組むための研修会を実施してまいります。
農福連携の取組を更に拡大する上で、議員御提案の農業ジョブトレーナーやワンストップ窓口は、農業と福祉をつなぐ効果を持つものと考えています。
現在、県では、障がい者雇用を含め、農業経営に関する幅広い相談に 対応し、農業者をサポートする埼玉県農業経営相談所を設置しています。
今後、三重県などの先進的な取組を参考にしながら、埼玉県農業経営相談所の機能強化を含め、農業ジョブトレーナーの育成や相談体制の在り方について検討してまいります。
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