トップページ > 埼玉県議会トップ > 定例会・臨時会 > 定例会概要 > 平成28年2月定例会 > 平成28年2月定例会 一般質問 質疑質問・答弁全文 (神尾高善議員)
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掲載日:2023年5月16日
Q 神尾高善議員(自民)
上田県政の4期目となって初めての予算編成となりました。知事選では、劇的に変わった埼玉県として様々な実績をアピールされていました。知事はよく「政治は結果であり、結果は数字が一番よく物語る」と発言されております。確かに成果を上げているものもあります。例えば、全国一の警察官増員や日本一の民間防犯パトロールによる犯罪認知件数が57パーセント減ったことは、すばらしい成果だと思っております。
一方、緑を6,500ヘクタールに再生したという数字は、一見森が増えたというように聞こえますが、以前、我が党の武内議員の質問で、実はほとんど森林機能の回復を目的とした今ある森林の整備であるということが分かりました。
このように数字の上では一定の成果を上げているようですが、数字だけを見てしまうと本来の目的を見失ってしまうことになります。問題を解決することが目的だったはずが、数字を達成することが目的になってしまうのであります。
そこで、最近の政策です。我が国では少子高齢化が急激に進んでいます。まず、少子化対策としては、子育て支援策の一つとして、保育サービスの拡大が叫ばれています。知事のマニフェストでも平成31年度末までに保育サービスを1万6,000人分増やすとしており、平成28年度当初予算案にも保育サービス受入枠を6,500人分拡大するということであります。
そして高齢化対策としては、知事は「特養施設定員数の増加率が断トツになった」と実績をアピールし、マニフェストでも介護施設の定員を2019年までに少なくとも2万人分増やすとしております。今日現在、900強の空きベッドがあります。この何人分かというのは施設、つまり入れ物だけを整備するということなのでしょうか。施設を整備することはもちろん重要なことでありますが、施設を幾ら整備しても現場の保育の担い手である保育士、介護の担い手である介護職員の確保を優先して行っていかなければ、利用者が増えるという本来の目的を果たすことができないのではないでしょうか。
先ほども申し上げましたように、施設の数だけを追っていてはだめなのであります。そのことを表わすように、今保育や介護のサービス拡充に伴って人材の確保が課題となり、保育士不足、介護職員不足が叫ばれています。その大きな理由として、給与水準が全職種の平均に比べ低いことが挙げられています。保育士の方は20歳から30歳代の方が多いようですが、仕事の大変さの割に給与が低いため離職し、潜在保育士となっている方が多いとお聞きします。また、施設で働く介護職員の方は30歳から40歳代が多いようですが、離職率が高く、今後、生産年齢人口の減少が避けられない状況にあって、若い世代に入ってきてもらう必要があると考えます。どちらもやりがいのある仕事ではありますが、生活や将来設計ということを考えたとき給与の問題は切実であり、どうしても離職につながってしまっている状況であります。
そこで、まず福祉部長に伺います。国では、保育士と介護職員について処遇改善加算を実施しておりますが、この加算額は現場の保育士や介護職員に行き渡っているのでしょうか。県としてどのようにチェックされているのか伺います。
現在の、そしてこれからの若い担い手にとって、埼玉県の保育士、介護職員が魅力のある、やりがいのある職業だと思ってもらえるためには、ここで短期間に集中した思い切った施策が必要であると考えます。現在、本県には保育士と施設の介護職員を合わせて約4万5,000人の方がいます。その方々に、例えば月1万円を給与に加算すると年間約54億円必要となります。財政状況が厳しいことは十分理解しております。
しかしながら、東京都では保育士について、国の処遇改善加算に加えて月額約2万円を上乗せする補助制度を平成27年度から導入しており、群馬県では子ども医療費を中学卒業するまで無料化するなど、近隣都県では子育て支援に真剣に取り組んでいます。
埼玉県も真剣に取り組んでみてはいかがでしょうか。埼玉県が若い担い手のために本気で取り組んでいくという強いメッセージとなると思いますが、埼玉県独自の処遇費の上乗せについて、福祉部長の御所見を伺います。
A 田島 浩 福祉部長
まず、処遇改善加算がいきわたっていることを県としてどのようにチェックしているのかについてでございます。
保育士については、平成27年度に保育所などに支払われる給付費において約3%の処遇改善加算が創設され、賃金の改善が図られております。
この加算は、職員の賃金改善に使途が制限されており、賃金改善計画の作成と、実際に改善を行うことが要件となっております。
県では、加算を受けようとする保育所などから賃金改善の計画書と実績報告書の提出を求め、その内容を審査することで、実際に賃金が改善されているかを確認いたします。
介護職員については、平成24年度に介護報酬上の制度として処遇改善加算が創設され、賃金の改善が図られております。
この加算も、介護職員の賃金改善に使途が制限されており、賃金体系の整備、資質向上のための研修の実施などの取組が要件となっております。
事業者が行う取組に応じて加算に幅があり、平成27年度は国の試算で平均的な事業所の介護職員1人当たり月額1万2,000円から2万7,000円の賃金の改善が図れるようになりました。
各事業者は、この加算を受けるために処遇改善計画書と実績報告書を提出することになっております。
県ではこれらの書類を審査し、加算を上回る介護職員の賃金改善が図られているか確認を行っております。
次に、保育士と施設の介護職員への埼玉県独自の処遇費の上乗せについてでございます。
賃金の改善は、担い手である保育士と介護職員の確保・定着のために重要な課題でございます。
保育士の賃金は、国が定めた給付費を原資として、事業者から職員に支払われております。
平成27年度の給付費においては、先ほどの処遇改善加算により約3%の賃金改善が行われておりますが、まだ十分とは言えません。
そのため、保育士の賃金を更に改善できるよう、引き続き国に対して要望してまいります。
介護職員の賃金は、国が定めた介護報酬を原資として、事業者から職員に支払われております。
介護報酬の対象となる介護保険サービスには、特別養護老人ホームなどの施設サービス以外に、訪問や通所などの居宅サービスがございます。
議員お話しの施設の介護職員のみの賃金を改善した場合、居宅サービス従事者との賃金格差が生じ、居宅サービスから介護人材が流出するなどの懸念がございます。
県といたしましては、全ての介護事業所で賃金の改善が図られることが何よりも重要と考えており、引き続き国に対して賃金が改善できるよう要望してまいります。
県独自の賃金の改善につきましては、国の取組などを見極めつつ、県としてどのような対応策が可能なのか検討してまいります。
<注意>
議員の氏名の一部にJIS規格第1・第2水準にない文字があるため、第1・第2水準の漢字で表記しているものがあります。
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