トップページ > 埼玉県議会トップ > 定例会・臨時会 > 定例会概要 > 平成28年2月定例会 > 平成28年2月定例会 代表質問 質疑質問・答弁全文 (西山淳次議員)
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掲載日:2023年5月16日
Q 西山淳次議員(公明)
昨年9月定例県議会の初日、地方創生論議の火付け役となった増田寛也氏が、本県議会の議員政策研修会で講演をされました。皆さんも覚えておられるかと思います。時の人の講演であり、大変示唆に富んだお話でしたが、私が強く印象を受けたのが、「夫婦共働きで500万円の年収を」とのお話でした。若い夫婦が合わせて500万円以上の年収と安定的な職場があれば、安心して2人の子供を育てていける。逆に単身で年収300万円以下、仕事も非正規では結婚にも逡巡してしまうし、結婚しても年収500万円以下だと今度は子育てに逡巡してしまうとの指摘でした。よって、地方創生の一つの肝は、夫婦で500万円稼げる仕事を地方にたくさん作ることであるということを強調しておられました。
確かに非正規であったり、低賃金の職場で働く若い人たちは少なくありません。現在、埼玉県の最低賃金は820円であります。フルタイムで月200時間働いたとしても、月額の収入は16万4,000円、年収ですと196万8,000円と200万円に届きません。また、若い人たちの大きな雇用の受皿となっている介護分野も、フルタイムで働いて月額20万円強の収入であります。男性職員が結婚と同時に他の職場に移る寿退職が介護では問題となっております。
増田氏が指摘されるとおり、現状の雇用環境では自分一人で生活していくのに精いっぱいで、子育てはおろか、結婚もためらう若者が少なくない。恐らく本県にも当てはまる実情ではないでしょうか。少子化対策の観点からも、そしてもちろん地方創生という観点からも、夫婦共働きで年収500万円の雇用環境をいかに作っていけるかが、地方にとって大きな政治課題となります。共働きを可能にする職住接近した地域内にフルタイムでそこそこ稼げる仕事をどれだけ用意できるのかが問われているのであります。
そこで、第一に必要と思うのは、共働きを当たり前と思う意識改革と環境整備であります。
そもそも日本社会は共働きが当たり前でした。専業主婦が多くなったのは、戦後の高度成長期の一時期だけであります。いま一度共働きが当たり前という意識を普及させ、共働きを可能にする環境を整えていくべきです。一人では年収300万でも、共働きで500万以上になればよいわけですから。
本県の進めるウーマノミクス政策という響きには、若干経済発展の側面とか、バリバリのキャリア育成といった面が強いようにも受け取れます。結婚後も当たり前に夫婦共働きをしていくための意識改革と環境整備をどう進めていくのか、まずお伺いをいたします。
第二に、本県においても雇用の大勢を占めるサービス業の生産性を上げ、賃金を上げることが必要です。これまで地方行政が行う中小企業支援策には、どうしても製造業中心といったイメージがありました。しかし、現状では製造業は減少傾向にあり、その分多種多様なサービス産業が増えております。そして、中小のサービス業はまだ生産性が低い、言いかえれば伸びしろがあるとも言われています。中小サービス業に対する支援策を今後どう進めていくかは重要な課題と考えますが、いかがでしょうか。
加えて、雇用の大きな受皿になっている医療・介護の分野でも生産性を向上させ、賃金アップを図ることが重要です。この分野での賃金アップは人材確保に不可欠である上に、夫婦で500万円の年収確保に大きな役割を果たすことと思います。
賃金のアップには保険料とか、税の投入といった議論も必要ではありますが、生産性の向上という観点も今後避けて通れない課題だと思います。人材確保に不可欠な賃金アップのためにも医療・介護分野の生産性にどう取り組んでいくのか、これが三点目であります。
以上、夫婦で年収500万円実現への課題を三点申し上げました。知事の見解を伺います。
A 上田清司 知事
共働きへの意識改革と環境整備についてでございます。
御指摘のように、日本では古来、共働きはごく自然でございました。
高度経済成長期における、いわば都市への住民集中という中で「専業主婦」という概念が生まれてきたものだと私も認識しております。
しかし、平成4年には共働き世帯の数が専業主婦世帯を超えて、平成27年には60%に達しております。
その背景の一つに、所得の減少により夫の収入だけでは暮らしていけない状況もあるのではないかと考えられます。
また、自らの才能や天分を生かして働くことを望む女性も数多くおられます。そうした意欲を生かすための環境づくりが必要です。
そこで、議員のお話のように、女性が身近な地域で安心して働くことのできる職場をつくっていくことが重要でございます。
平成24年度からの埼玉版ウーマノミクスプロジェクトに取り組んできたところでございます。
大きな課題の一つが、女性が仕事と家庭を両立しながら働き続けることができる、そういう企業文化というものが日本にはあまりなかったところに課題があったと私達は考え、正に企業文化を変えるそういう仕掛けをさせていただきます。
仕事と家庭を両立しやすい環境を整えている「多様な働き方実践企業」は、今年度末に2,000社を超える見込みになっています。
県の調査では、仕事と育児の両立支援制度のある中小企業の割合は85.6%で、プロジェクト開始前の平成23年から15.8ポイント伸びておりますので、着実に企業文化が変わりつつあると思っております。
大きな課題の二つめは、女性のライフステージに応じた情報提供や就業支援が必要なことでございます。
まず、就職前の大学生を対象にした講座を開催し、結婚や出産などのライフイベントに応じた両立支援制度など、働き続けるために必要な情報の提供を行っております。
また、働いている女性に対しては、働く女性の応援講座を経済団体と協力して実施し、両立に対する不安の解消やキャリアアップの支援を行っております。
さらに、子育てなどが一段落して再就職を望む女性に対しては、女性キャリアセンターが中心になって、利用者の意向に沿ったきめ細かな就業支援に取り組んでおります。
今後は長時間労働などの男性の働き方を見直し、この視点から男性の育児参加の機会も拡大することによって、正に男女の力をそれぞれ生かすような取組を進めていきたいと思っております。
次に、中小サービス業に対する支援策を今後どう進めていくかについてでございます。
埼玉県におけるサービス産業は、県内総生産で73.4%、従業者数で74.6%を占め、経済、雇用の両面から重要な分野でございます。
中小サービス業の生産性を向上させ、地域で相応の賃金を得られる場が必要であるという御指摘がございましたが、正にそのとおりだと思います。
そういう意味で、県はまず、多店舗化や新商品開発の促進を図るため、サービス産業を対象に、商工会・商工会議所と金融機関などによる連携支援体制づくりを県内12地区で行い、ワンストップで支援をしております。
また、商工会・商工会議所と連携し、企業の経営目標や具体的取組の指針となる経営革新計画の策定支援に取り組んでおります。
是非、経営革新計画を一度はやっていただきたい。必ず成果が上がるというそうしたものだと思っております。
さらに、業務の効率化を図るために、ICT導入を促進してまいります。具体的には、新たな活用事例の提供や専門家の派遣等の支援を行っているところです。
こうした様々な施策を続けながら引き続き中小サービス業に対する支援策を積極的に進め、御提案の趣旨が生きるように頑張っていきたいと思っております。
次に、医療・介護分野の生産性向上にどう取り組んでいくのかについてでございます。
今後、高齢化の進展から大幅に需要が増加し人材不足が見込まれる医療・介護分野において、賃金の引上げにつながる生産性の向上は大変重要な課題だと思っております。
例えば、介護ロボットの導入による介護業務の負担軽減やICTの活用による業務の効率化などを進める必要があるかと思います。
国の平成27年度補正予算において介護ロボットの導入支援が事業化されており、県では各施設や事業所に対し積極的な活用を働き掛けております。
また、来年度から取り組む地域包括ケアシステムの構築に向けた医療と介護の情報共有ネットワークも効率性を高めるものと考えております。
今後も引き続き、医療・介護の分野における生産性を高めるためのあらゆる施策をとることによって、御提案の部分が成果となるのではないかと考えております。
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