トップページ > 埼玉県議会トップ > 定例会・臨時会 > 定例会概要 > 平成28年2月定例会 > 平成28年2月定例会 一般質問 質疑質問・答弁全文 (小久保憲一議員)
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掲載日:2023年5月16日
Q 小久保憲一議員(自民)
今、埼玉県は日本一のスピードで高齢化が進んでおります。人口予測で見ると、わずか10年後、2025年の人口は約21.5万人減少するのに対し、65歳以上は19.6万人増え、75歳以上は41.2万人増えると予測されています。労働力人口が大幅に減少する一方で、高齢者医療を中心に医療需要が急増することで、現在の医療問題が更に深刻化することが懸念されております。そして、現在でも人口当たりの医療人材や医療施設は全国で最低レベル、脆弱な救急医療、病院勤務医や専門医不足により医療サービスにおいて県民が求めるものと実際に受けられるものでは地域格差が生まれています。
現在、我が国においては団塊世代が75歳以上の後期高齢者となる2025年を見据え、医療や介護分野で様々な改革が実行に移されておりますが、平成26年6月、医療法が改正され、医療計画の一部として都道府県ごとの地域医療構想の策定が決定されたところであります。本県においても、今後必要となる医療需要を推計し、医療提供体制の将来像についての検討が進められていると聞いております。
平成27年11月に県がまとめた医療需要推計によると、入院患者は高度な医療が必要とされる高度急性期から回復期にかけて幅広く、東京都や群馬県など近隣都県に流出し、一方で慢性期では東京都から流入している。また、現在と同程度の流出入であるとすると、2025年の入院や在宅医療の患者数は全医療圏域で増加し、県全体で約1.5倍増加するとしております。病床数では、高度急性期から回復期で約2,000床、慢性期でも約2,000床、全体で4,000床以上の不足が明らかになりました。人材育成、施設整備に時間を要することを考えれば、医療供給体制の整備に一刻の猶予もありません。
また、医療圏域別患者の流出入の推計では、私の地元川越比企圏域では県内からの患者の流入超過、南西部や県央圏域では他圏域への流出が多いとの結果が出ており、現行の医療圏域をこのまま維持するべきか疑問です。知事が目指す必要な医療を過不足なく提供する地域完結型医療体制の構築のために、地域や医療機関の自主的取組に期待するところですが、限りある医療資源を有効に活用する対策が不可欠であります。今後、本県の地域医療構想について地域設定をどうするのか、有効な対策についてのお考えを保健医療部長に伺います。
また、地域特性に配慮した地域医療構想を策定する中で、県立病院の役割をどう考えているのか、併せて保健医療部長に伺います。
埼玉県には高度専門医療を主目的として全県カバーする循環器・呼吸器病センター、がんセンター、小児医療センター及び精神医療センターの4つの県立病院がありますが、立地的に見て全県カバーできているのでしょうか。県立病院患者の圏域別流入の実態について病院事業管理者にお伺いをいたします。
昨年6月の常任委員会で、循環器・呼吸器病センターの救急告示について質問いたしましたところ、病院事業管理者からは、総合診療ができる医師がいれば今すぐにでもやりたい。ただ、民間の病院を圧迫することになるとの答弁をいただきました。24時間体制で診察や治療、診療科によっては手術もできる高度な専門設備も備える県立病院が地域のニーズに応じて救急告示を行うことで、名実ともに救急医療を担うことができると考えますが、循環器・呼吸器病センターの救急告示の可能性について併せて病院事業管理者にお伺いをいたします。
続いて、循環器・呼吸器病センターの停電事故についてお伺いをいたします。
本年1月18日は、前夜から雪が降り続き、関東各地で大雪となりました。そうした中、午前9時22分、循環器・呼吸器病センターが停電いたしました。この際、非常用発電機への切換えは自動的に行われましたが、この発電機は100パーセント商用電力の代替となるものではなく、医療機器と照明設備を50パーセント賄う程度のものであり、空調設備が止まってしまったということです。商用電力に復旧したのが午前11時20分ですから、その間約2時間、館内は凍えるような寒さだったのではないでしょうか。
また、この影響で午前中のオペ、カテーテル治療が中止、昼食には解凍したパン、急患については受入れ後に転院など、様々な問題が発生しました。しかし、実際の東京電力の停電は午前9時22分から23分までのおよそ1分間なのです。この際、スムーズに復電できていれば、様々な問題は発生しなかったのではないでしょうか。現在の発電機設備工事が完了する平成27年度末には非常時の電源が全館を賄うものになると伺っておりますが、それまでの間、停電が起きないとも限りません。この停電事故による被害報告と今後の緊急時の対応、対策について病院事業管理者にお伺いをいたします。
A 石川 稔 保健医療部長
「地域設定と県立病院の役割について」お答えを申し上げます。
団塊の世代が全て75歳以上となる2025年に向けまして医療需要は質・量ともに大きく変化することが見込まれております。
将来の需要に見合った医療体制の実現に向け、医療機関による主体的な取組を促進することを目的として現在、各都道府県におきまして地域医療構想の策定が進められております。
国が示した「地域医療構想策定ガイドライン」では、まず「構想区域」を設定して、その区域ごとに医療需要と必要病床数を推計し、その上で医療需要に対応した医療供給体制を検討することとされています。
この区域については現在の二次医療圏を原則として設定することとされています。
また、本県の二次医療圏は県全体の5か年計画の地域区分ばかりでなく、介護に関連する老人福祉圏域とも整合が図られています。
今後、各市町村が中心となって地域包括ケアシステムを構築していく上で医療と介護は一層緊密に連携していく必要がございますので、特にこの老人福祉圏域との整合は極めて重要な要素となります。
こうしたことから、今回の地域医療構想では現在の二次医療圏を単位として策定を進めることといたしました。
なお、高度急性期など全ての医療を圏域内で提供することは現実的に困難なことから、一定数の患者が区域を越えて流出入することはやむを得ないとされています。
特に、本県のように交通網が充実した地域では、県内のみならず隣接する都県とも協力して広域的に対応することが、医療資源の有効活用という観点からも重要でございます。
現在のところドクターヘリの運行や周産期の広域搬送など、高度急性期を中心に連携体制を整えております。
こうした広域連携の強化も含めてそれぞれの地域で必要な医療サービスが提供されるよう更なる医療体制の整備・充実に努めてまいります。
次に、県立病院の役割についてでございます。
現在、県立病院はがん、小児、循環器・呼吸器など高度で専門的な医療を提供するとともに県全体をカバーする第三次の医療機関としての役割を担っております。
県立病院はこうした役割をしっかりと果たしながら、県内10の医療圏と連携・補完・協力し、県民が必要とする医療サービスを提供していくことになります。
地域医療構想の策定を契機として県立病院を含めた関係者が十分な協議を重ね、病院間の役割分担や連携を一層促進し、これまで以上に効率的で効果的な医療供給体制の構築が進められるものと考えております。
A 名和 肇 病院事業管理者
「県立病院患者の圏域別流入の実態について」お答えを申し上げます。
平成26年度においては、立地する保健医療圏以外から、循環器・呼吸器病センターでは約5割、がんセンターでは約7割、小児医療センターでは約7割、精神医療センターでは約8割の患者が来院しております。
今後とも、地域医療機関との連携を強めるとともに、高度専門医療機関として全県をカバーできるよう努めてまいります。
次に、「県立循環器・呼吸器病センターの救急告示について」お答えを申し上げます。
循環器・呼吸器病センターでは、昨年度4,229名の救急患者を受け入れ、実質的に県内救急医療の一翼を担っております。
一方、平成29年度に新たな専門医制度が開始されることになりました。
この制度では、専門医の認定に際し、救急告示を受けている病院での研修が想定されます。
このようなことを踏まえ、循環器・呼吸器病センターでは救急告示の検討を進めております。
続きまして、「循環器・呼吸器病センターの停電事故について」お答えを申し上げます。
1月18日の停電時には、患者様やご家族の皆様方にご迷惑・ご不便をおかけして誠に申し訳なく思っております。
今回の停電におきまして、非常用発電機から東京電力への復電に時間がかかった理由の一つは、医療事故防止のためでもございます。
具体的には、復電させる際に非常用発電機を止める必要があり、医療機器の誤作動を防止するため、医療行為中の医師から2度にわたり復電作業を待つように指示があったためでございます。
さらに、現在、発電機の増築工事中のため、電源を切り替えるスイッチの操作手順が変更となり、現場に徹底されなかったことも要因の一つでございます。
この停電における被害でございますが、停電後、直ちに非常用発電機に切り替えが行われましたが、一部の大型機器は使えませんでした。
このため、カテーテル治療やMRIなどの検査については、復電後その日のうちに60名実施いたしましたが、28名の方は、積雪により来院いただけなかった方も含めまして、予定日を変更させていただきました。
また、救急患者2名のうち1名は治療を実施し、もう1名は転院しても病状に支障はないと医師が判断したため、応急処置後に他の病院へ依頼し、搬送いたしました。
また、午前中に予定していた手術は安全性を考慮して、その日の午後に実施いたしました。
今回の停電を教訓に、操作手順の周知徹底と訓練を実施し、現在では、復電操作が即座にできるようになっておりますが、さらに、今後の対策といたしましては、人事異動時やシステム変更時、並びに定期的な訓練を確実に実施してまいります。
なお、本年3月に完成予定の常用及び非常用発電機の増設により、非常時でも電力が全館を賄えるようになるなど万全を期してまいります。
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