トップページ > 埼玉県議会トップ > 定例会・臨時会 > 定例会概要 > 平成28年2月定例会 > 平成28年2月定例会 代表質問 質疑質問・答弁全文 (鈴木正人議員)
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掲載日:2023年5月16日
Q 鈴木正人議員(県民)
教科書出版会社が検定中の教科書を教員に見せて謝礼を支払っていたことが、昨年末頃から全国的に明らかになりました。文部科学省が小中学校用教科書を発行する各社に求めていた自己点検結果を発表したところによると、全22社のうち12社が検定中の教科書を教員ら延べ5,147人に見せ、うち10社が延べ3,996人に謝礼として数千円から5万円の金品を渡し、採択権限を持つ教育長や教育委員に御歳暮や中元を贈っていたことが明らかになっております。
我が埼玉県の状況でも、平成21、22、25、26年度において不適切な宣伝行為は、22社中9社が関与していたことが明らかになり、対価を伴わず検定申請本を閲覧させた事案は4社66人、検定申請本を教員等に閲覧させ、意見聴取等の対価を支給した事案が6社167人にも及んでおります。
報告書によれば県教育委員会としての対応は、文部科学省からの情報を精査し、関係市町村教育委員会と連携して事実確認を進めるとされておりますが、進めた結果どこまで事実確認ができるのか、結果によってどのような処分があるのかが注目されます。
そもそも意見聴取等の対価を支給となっておりますが、これはお金を渡して意見聴取という形であっても教科書会社に一定の便宜を図っているわけですから、見方によっては賄賂ではないかと捉えられても仕方がないのではないでしょうか。
例えば、今回の自己点検の結果は、埼玉県でも圧倒的多数で一番謝礼を渡していた教科書会社は東京書籍で、謝礼を受け取った教員167名中、116名が東京書籍から謝礼を受け取っているわけですが、県内中学校の社会科教科書の採択状況を見ますと、23ある採択地区の中で22の採択地区の地理、歴史、公民教科書で東京書籍が採択されております。
また、県立特別支援学校中等部について、そもそも我々は疑問に感じていたのですが、教育委員会の委員さんの思いよりも現場の教員の声を尊重するという形で教科書が採択され、14校中、地理と歴史で11校、公民で10校が東京書籍を採択しております。このように謝礼を受けた人数が圧倒的に多い東京書籍が、圧倒的なシェアを中学校の社会科の分野で占めているのであります。これは単なる偶然なのでしょうか。
ちなみに、北海道教職員組合が非常に強い力を持っていると言われている北海道では、謝礼をもらっていた教師489人のうち、教科書採択にかかわっていた教師が116名いたことが明らかになり、やはり社会科の教科書は謝礼を渡していた3社の教科書がほとんどの採択地区でシェアを占めていて、受託収賄罪で立件すべきではないかという声すら上がっているのであります。
国も自治体も、仮に建設・土木業者が国や自治体側の許認可を持っている者への賄賂が発覚すれば贈収賄事件になります。自治体工事の指名入札業者から外されるペナルティーも受けます。
今回の謝礼という名の金品のやりとりが教科書採択につながったということになれば、立派な賄賂となるわけですから、自己申告以外の接待なども含めた徹底した調査が必要であり、仮に金品のやりとりや接待によって教科書採択に便宜が図られていたという事実が発覚した場合は、教科書採択そのもののやり直しや建設業者の指名停止に当たる厳しい処分も必要だと考えますが、いかがでしょうか。
そこで、今回の教科書発行者による自己点検、検証結果について、まず初めに、埼玉県総合教育会議などで議論する権限を持つこととなった上田知事に率直な感想と、知事として何か行動をとられることがあるのかお尋ねをいたします。
次に、どのような形で徹底調査し、今後、結果次第によっては処分などもしっかり検討されているのか、教育長にお尋ねいたします。
A 上田清司 知事
教科書発行者による教員への謝礼問題に関しては、教科書を発行する側の問題、謝礼を受け取る教員側の問題があると思います。
文部科学省の規則によって、教科書検定期間中には外部の者に検定中の教科書を見せてはならないということになっておりますので、それを知りながら閲覧させるという教科書発行側の問題があると思います。
その上で、教員側にも問題があります。
教科書発行側との関係はやっていいことと悪いことの一線を引かなければなりません。もちろんこうした検定以外のところで、意見の交換の場はあると思います。
しかし、この検定中にこうした一線を越えるようなことがあって、なおかつ、謝礼、金品を受け取るということに関しては論外でありますので、こうした行為をした教員の指導監督は、それぞれの教育委員会の権限と監督の下にあるわけですから、その中で厳正な処分をしていただきたいと私は思っております。
この問題については徹底的に調査が行われて、関係者の処分を含めしっかりとした対応を教育委員会に求めております。
幸い今のところ、今のところですが、埼玉県の守備範囲の中では、そうした対象者は出ていないというようなことを聞いております。ただ、これからは分かりません。今のところでございます。
A 関根郁夫 教育長
「どのような形で徹底調査し、結果次第によっては処分などもしっかり検討されているのか」についてでございます。
延べ233人という多くの教員が、教科書発行者の不適切な行為に関わっていたということに対しましては、重大な問題として受け止めております。
この問題では、教科書発行者の行為に安易に応じて教科書を閲覧し、謝礼を受け取ってしまうという、教員側の教科書採択に関する意識の低さを痛感しております。
教科書採択は、子供たちが4年間にわたって使う教科書を選ぶという、極めて社会的責任の大きな事務でございます。
採択権者は、教科書採択に当たって公正、適正に行うことが強く求められております。
県では、今回の件に関係したとされる教員につきまして、国からの情報に基づき、各市町村を通じて、教員の特定、検定中の教科書閲覧の有無、金銭等の授受の状況、採択との関係などについて事実確認を進めております。
各市町村に対しては、今回の一連の問題で教科書採択に対する社会的信頼が揺らいでいるという強い危機感を持って調査に当たるよう要請しております。
今後、県としてこの問題について詳細に事実確認を行い、該当教員に対しては事実に応じ、処分も含めしっかり対処してまいります。
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