トップページ > 埼玉県議会トップ > 定例会・臨時会 > 定例会概要 > 平成28年2月定例会 > 平成28年2月定例会 一般質問 質疑質問・答弁全文 (永瀬秀樹議員)
ここから本文です。
ページ番号:66390
掲載日:2023年5月16日
Q 永瀬秀樹議員(自民)
資源の有効利用と廃棄物の適正処理は、県政の果たすべき大きな課題です。循環社会の構築、二酸化炭素CO2を発生させない再生型エネルギーの旗手と思われたソーラー発電システムですが、実は新たな処理困難廃棄物を排出することが分かってきました。環境省の試算によれば、太陽光パネルの廃棄物の量は現在は2,400トン程度ですが、固定価格買取り制度の導入などにより普及が進み、今後設置したパネルが寿命を迎える15年から20年後、廃棄物の量も激増すると予想されています。20年後の2035年度には年約6万トン、40年度には年約80万トンにも達すると試算されています。
全国では関東や九州にパネルは多く設置されており、晴天率が上位にあり、平地が多く、5か年計画で「ソーラーパネル14万基設置」を掲げる我が埼玉県も、環境保全と健全な産業廃棄物業者の育成支援の両面からこの問題には早期の対策を講じることが必要と存じます。
そこで質問ですが、県では太陽光パネルの処理技術の研究開発にどのように取組を始めているのでしょうか。また、優れた処理技術だけでなく、処理ルートの整備を通じて県内に健全な廃棄物処理スキームを構築することで健全な廃棄物処理事業者の育成を行うことも県の役割と考えます。
以上、2点について、環境部長の見解をお聞かせください。
また、埼玉県の伝統産業である鋳物業も、処理困難廃棄物である廃砂の排出問題を懸案として抱えています。長年の業界を挙げた努力とサイテックの協力により、再利用率は生型で90パーセント、フラン型で95パーセントと高い数値を示していますが、それでも年間排出量は川口だけで数万トン、全国では数百万トンに上がると予想され、廃棄物を取り巻く社会の環境変化もあり、廃砂の処理は業界の懸案となりつつあります。
廃砂の処理技術に関しては多くの研究事例もありますが、コストや処理料の問題などで決め手となるものがなく、一業界だけでの対応も難しくなっています。技術開発ができれば根本解決につながるだけでなく、新たな資源を生み出す可能性もある廃砂の処理に県として再度取り組むとともに、技術的、制度的な支援も検討すべきと考えますが、いかがでしょうか。
廃棄物発生抑制の観点から産業労働部長に、発生した廃棄物処理の観点から環境部長に、それぞれお伺いいたします。
A 半田順春 環境部長
まず、太陽光パネルの処理技術の研究・開発への取組についてでございます。
太陽光パネルは、ガラス、金属、プラスチックが接着した構造を持ち、鉛やヒ素などの有害物質、銀などの貴金属、インジウムなどのレアメタルが含まれています。
現状では金属回収などコストがかかるため、リサイクルに至っておらず、太陽光パネルの多くは破砕後、埋立処分されております。
議員お話のとおり、2040年度には全国で年間約80万トンもの太陽光パネルの破棄が予想されています。
破棄が本格化する前に優れた処理技術を開発することが、県内で太陽光パネルを処理する事業者の育成につながると考えております。
来年度、家屋解体事業者、パネルメーカー、産業廃棄物処理事業者などと効率的な解体・分別、貴金属の回収、有害物質の除去などの技術を開発する研究会を立ち上げ、3年を目途に処理技術の確立を目指します。
次に、健全な廃棄物処理事業者の育成についてでございます。
一都三県における、太陽光パネルが設置された住宅の解体・処分費用は、2040年度以降、毎年約1,570億円と推定されます。
廃棄物処理は安定した処理実績を積み重ねることが信頼を獲得することになり、その結果多くの受注につながります。
解体からリサイクルまでの新しい処理技術を開発することで、埼玉県独自の処理ルートを整備することが可能となります。
さらに家屋解体事業者から処理事業者までが連携し、パネルの処理スキームを構築することで、健全な産業廃棄物処理業者の育成につなげてまいります。
次に、廃砂の処理に関して、発生した廃棄物の処理の観点から技術的・制度的支援についてでございます。
鋳物工場では、添加剤の違いや排出工程の違いなどにより重金属などの濃度の異なった廃砂が排出されます。しかし、現状では多くの工場で十分な分別が行われておりません。
廃砂をセメント原料や路盤材にリサイクルできるよう分別・保管すれば、リサイクルの促進と低コストでの廃棄物の処理が可能となります。
今後、川口鋳物工業協同組合は廃砂の安定的・継続的な処理を目的に検討会を立ち上げると聞いております。
県といたしましても、その検討会に職員を派遣し、添加剤や重金属などの濃度管理を中心に技術的・制度的な支援を行ってまいります。
A 立川吉朗 産業労働部長
「廃砂にかかる廃棄物発生抑制の観点からの取組みについて」お答えを申し上げます。
鋳物を製造するための型には砂が必要であり、廃砂の処理は業界の懸案になっております。
そこで、産業技術総合センターにおいて、廃砂の排出量の削減や再利用に向けた技術開発支援を行ってまいりました。
たとえば、企業の相談に応じ、設計段階から鋳物製品の形状や素材、強度などを、コンピュータの支援による設計、いわゆるCAD等によるシミュレーション技術を使いまして、最も効率的な砂の量を計算する減量化技術を支援しております。
また、鋳物製品の試作にセンターが保有する3Dプリンターなどの設備を活用することで、試作工程の短縮化による砂の減量化を支援しております。
一方、廃砂の再利用につきましては、過去にセンターと企業との共同研究により、廃砂から吸着性や消臭性に優れた人工ゼオライトを開発し、脱臭剤として製品化した例がございます。
しかしながら、市場性やコスト面などから、廃砂を有効にリサイクルしていくためには、まだまだ多くの課題があるのが現状でございます。
そこで県としましては、産業技術総合センターを拠点に、地域の鋳物関連企業の方々と連携を図りながら、「廃砂の発生量の抑制」に積極的に取り組んでまいります。
お問い合わせ
より良いウェブサイトにするためにみなさまのご意見をお聞かせください