トップページ > 埼玉県議会トップ > 定例会・臨時会 > 定例会概要 > 平成28年2月定例会 > 平成28年2月定例会 一般質問 質疑質問・答弁全文 (石川忠義議員)
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掲載日:2023年5月16日
Q 石川忠義議員(県民)
埼玉県では、昭和27年から埼玉県文化財保護条例を定め、平成28年2月1日時点で708件の県指定等文化財があり、そのうちの民俗文化財は104件です。さらに、お祭りなどが対象になる無形民俗文化財の指定は49件です。
近年、伝統あるお祭りでさえ、保存団体が自己努力をしているにもかかわらず、少子高齢化や生活の多様化など社会的な要因により、参加者や運営費を集めるのも難しく、伝統あるお祭りの継承ができにくい環境になっています。
そこで、県民にとり文化的に重要なお祭りについては、県の無形民俗文化財として積極的に指定し、伝統の継承を図るべきと考えます。指定され、無形民俗文化財として保存と活用が進むことにより、それ以前に増して保存団体や関係自治体、地域のモチベーションも上がり、更に誇りを持って伝統継承の活動に力が入ります。
県の無形民俗文化財の指定を得るには、市町村の教育委員会などを通じ、当該お祭りなどの調査の成果物をもって県教育委員会が県文化財保護審議会に諮問することとなっています。県の無形民俗文化財の指定を受けるには、調査に関する様々なハードルもあります。調査の成果物を、書籍ではなくデータあるいはデータを出力したものでもよければ、それだけでも負担が減ります。昨今の社会状況による、伝統ある文化的に重要なお祭りについて、県としても積極的に指定ができるよう準備を整えるべきですが、教育長の考えと今後の無形民俗文化財の指定を進めるスケジュールについてお伺いをいたします。
また、県内の交流人口拡大を考えた場合、文化的に重要なお祭りなどが無形民俗文化財に指定されることで観光資源となるチャンスが広がり、地域発展を後押しすることにもつながります。もちろん、指定がなくても観光資源になっているお祭りはあります。ただ、指定を受ければ、観光資源としての活用の可能性が広がることは間違いありません。
県観光課のまとめによると、県内市町村から報告があった祭りやイベント等の観光入込客数の中から、祭り関連の実績を抽出したところ、直近の平成26年の実績は1,377万5,326人となり、前年比12パーセントも伸びています。有形文化財のように常に存在する施設でなくても、祭りなどの祭事を冠した商品や観光ルート、関連イベントの開発や施設の設置によって、交流人口の拡大が見込まれます。今後、県内で有数の観光客動員を誇り、文化的にも重要性がある祭りを無形民俗文化財に指定することで、主催団体や所在市町村の努力と併せ、更に県内の観光資源としての活用の幅が広がることが期待できます。知事のこれへの考えと期待についてお伺いします。
A 上田清司 知事
県内には観光資源として魅力のある祭りが数多くございます。
日本三大曳山祭りの「秩父夜祭」、小江戸川越の「川越氷川祭」は国指定重要無形民俗文化財に指定されており、全国の観光客でにぎわっています。
日本三大阿波踊りの「南越谷阿波踊り」や関東一の祇園と言われます「熊谷うちわ祭」、近年はアニメファンも訪れる久喜市鷲宮の「土師祭」や秩父市吉田の「龍勢祭」など多彩な祭りが多いのも本県の特徴です。
私も時間の許す限り各地の祭りに出掛けて、地域の歴史や文化に触れて、祭りにかける県民の熱意や熱気というものを感じております。
一昨年は、石川議員の地元であります「久喜提燈祭り『天王様』」も拝見いたしました。
200年以上の歴史と伝統を誇るこの祭りが、約500個の提燈をまとった7台の山車に彩られ、その絢爛さや勇壮な様子を見学いたしました。
また、地域の伝統を次世代に伝えるため、町内会や商店街の皆さんたちが相当な努力をしているということについても、大変熱いものを感じたところでもございました。
久喜提燈祭りのような大規模な祭礼行事等も含めて、県指定の民俗文化財の今後の指定については、今年度、県文化財保護審議会が方針を定めたところでございます。
県内の著名な祭りが県無形民俗文化財に指定されることにより、観光資源としての価値も一層高まると思います。
また、関係者の絆が強まり、地域の伝統を未来に引き継ぐ機運が醸成されるものと思います。
祭りは、地域の歴史、伝統に触れる有力な観光資源であり、交流人口の拡大を図り地域活性化にも寄与するものと思います。
県内の歴史と伝統のある祭りが県無形民俗文化財に指定されることを大いに期待しております。
A 関根郁夫 教育長
埼玉県内には地域単位で継承される小規模なものから、市町村全体で行われる大規模なものまで、多くの祭りや行事が伝えられております。
こうしたなかには、久喜市の提燈祭りや、熊谷市のうちわ祭り、本庄市の本庄祭りなどのように地域にとって重要な祭りでありながら、県指定無形民俗文化財となっていないものがございます。
そこで、県の指定を進めるために、今年度、埼玉県文化財保護審議会が、新たに無形民俗文化財の指定に向けた基準を明確にする審議方針を定めたところでございます。
県文化財保護審議会における審議では、例えば国指定の「秩父祭の屋台行事と神楽」や「川越氷川祭の山車行事」のように、文化財としての価値が学術的に明らかにされていることが必要です。
そのため、祭礼行事に精通し、関係団体とも連携が取りやすい地元市町村が作成する調査成果が重要となります。
県といたしましては、調査成果をまとめた報告書が作成された時点から検討を進め、県文化財保護審議会で審議していただきます。
報告書につきましては、文化財の学術的価値が十分に判断できるものであれば形式は問いませんが、調査成果を地元で将来にわたって保管でき、広く県民が活用できる形式が望ましいと考えております。
今後、県においては、県内の未指定の民俗文化財の全体状況を把握する調査を行う予定です。
こうしたことを通じて、県指定無形民俗文化財の指定を積極的に進めてまいります。
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