トップページ > 埼玉県議会トップ > 定例会・臨時会 > 定例会概要 > 平成28年2月定例会 > 平成28年2月定例会 代表質問 質疑質問・答弁全文 (小谷野五雄議員)
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掲載日:2023年5月16日
Q 小谷野五雄議員(自民)
1.31、この数字は、平成26年埼玉県合計特殊出生率の数値であります。全国平均1.42を下回り、全国40位でした。平成25年の統計では、全国で一番高かった沖縄県の1.94、以下、宮崎1.72、熊本1.65、福井1.60と続いております。逆に低いところは、東京都1.13、京都1.26、神奈川1.31、埼玉はこの年1.33でした。
ここで、出生率の高い地域にどんな特徴があるのか、私は疑問を生じました。沖縄、宮崎、熊本、福井、いずれも首都圏、大阪圏から遠く、人口が集積、工業県でもありません。特徴といえば、共稼ぎが普通で、働く場所が近くにあるということ。実家も近く、米、野菜が比較的手に入ること、子供を実家に預けることができること、アパート、マンションの家賃が安く、食費もそれほどかからないことから生活費も安く済んでいること。結果、働き手が多いことから、県民一人当たりの所得も多く、生活にゆとりが生じ、暮らしやすいといったことが挙げられます。
対する東京、神奈川、本県などの出生率の低いところは、働く場所は東京やその近郊、通勤時間、労働時間が長く、マイホームのローンを抱え、アパート、マンションの家賃も高い。核家族世帯が多く、子供を実家に預けるといったケースも少なく、加えて保育園、幼稚園等の教育費も高い。給料も伸びていない。結果、生活にゆとりがなく、子育て、教育にお金がかかるといったことが言えます。
女性が働くと子供が減るということではなく、共稼ぎが当たり前の地方の県のほうが子供が生まれているのです。通勤や労働時間が長く、保育所も足りず、子供を産むことで仕事も続けにくくなる地域ほど、少子化が進んでいる実態が見えてきました。
なぜ若い世代の出生率が低いのか。結婚し、子供を持つことを希望していても、経済的な理由、社会的な理由でかなわず、結果として晩婚化、未婚化が進んでおります。そこには、子育て支援サービスや働き方に関する問題、子育てや教育にお金がかかるといった問題もあるかとも思います。
今、働く人の4割が非正規雇用と言われております。若い世代でも、約3割が非正規社員で働いております。こうした若い人たちに、結婚、出産、子育ての希望が実現できるような環境を整備していくことが何よりも本県に必要だと私は思っております。
そこで、一つ提案があるのですが、共稼ぎで経済的な余裕がないといった世帯を対象に、子育て支援として、例えば住宅に関する支援として、町なかにある空き家を自治体が所有者から借り受け、対象者に貸し出すといった政策的な支援を考えてみる。今、県内にある36万戸の空き家のうち1割程度は、それほど手を入れずに住める住宅と聞いております。こうすることが空き家対策の一助になるものではないでしょうか。
また、例えば保育園の入園にかかる費用相当を政策として支援すること、正社員として仕事に就けるよう、あっせん、職業訓練、資格取得などを政策で支援してなどは考えられないでしょうか。2人分の給料にプラスアルファの現物支給という考えです。さらに、ひとり親世帯にも子育ての支援策を考えていかなければなりません。
また、我が国より先に少子化を経験し、出生率を回復した国、フランス、イギリス、スウェーデン、こうした国々では、従来の金銭的支援から具体的な施策を実施する支援に切り替え、成功している事例も多くあります。先進事例など参考になるものを是非取り入れていただきたいと願っておりますが、この考えについて、知事にお伺いをいたします。
A 上田清司 知事
議員お話のように、少子化対策には若い人たちの結婚、出産、子育ての希望が実現できるような環境を整備していくことが重要でございます。
少子化の問題は、若者の非正規雇用、低所得化などの問題や高学歴化に伴う晩婚化、教育費の負担など社会全体にかかわっています。
このため、少子化対策については福祉分野だけではなく、他の分野も含めた全庁的な対策を進めております。
まず、空き家を活用した住宅支援についてでございます。
お話しのように、空き家を活用することは住宅費を抑える方策として有効だと考えております。
そこで県では現在、公的機関であります「移住・住みかえ支援機構」と連携し空き家などを借り上げ、子育て世帯に対し安価に賃貸する取組を進めております。
平成28年度からこの事業を重点的に進めるために、鉄道事業者と連携し車内で広告などを行い、広く情報発信を行ってまいります。
このほか、若年の低所得世帯を対象として民間アパートを借り上げるなどの方法で平成28年度は400戸、今後4年間で合わせて2,000戸を県営住宅として供給してまいります。
次に、保育所にかかる費用に対する支援についてでございます。
今年度からは子育ての経済的負担を軽減するため、子供3人以上の多子世帯への保育料軽減事業に取り組んでいるところでございます。
次に、正社員として仕事に就くための支援として、ハローワーク特区を活用した「ハローワーク浦和・就業支援サテライト」で相談やセミナーを実施しております。
キャリアカウンセラーが就職のニーズを聞き取り、履歴書の書き方や面接の指導など、相談から就職までのワンストップ支援を行い、正規雇用につなげております。
最後に、ひとり親世帯に対する子育て支援策についてでございます。
県営住宅への優先入居のほか、保育料の更なる軽減、福祉事務所による就業支援などを実施しているところです。
少子化対策については、来年度、市町村と新たな事業を検討していくための協議会を設置する予定です。
まず市町村の実務者と課題を整理し、その次に実務者に加え副市町村長と協議を行い、最後は市町村長ともども丁寧に協議を行います。
この協議会において、これまで行ってきた事業の総括を行うとともに、議員御指摘の事業も含め、先進事例などを参考にして新たな少子化対策を総合的に検討し、実行可能な具体案を作り上げていくつもりでございます。
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