トップページ > 埼玉県議会トップ > 定例会・臨時会 > 定例会概要 > 平成28年2月定例会 > 平成28年2月定例会 一般質問 質疑質問・答弁全文 (石井平夫議員)
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掲載日:2023年5月16日
Q 石井平夫議員(自民)
県は、世界を舞台に活躍する人材を育成するため、平成23年度に埼玉県グローバル人材育成基金を設置しました。基金により行う事業としては、「埼玉発世界行き」奨学金の支給、中小企業若手社員の海外研修、大学生の海外でのインターンシップ、高校生の海外有名大学への短期派遣、グローバル人材育成センター埼玉の運営などがあり、これまで約1,400名の奨学生を送り出しました。
この基金は、県の出資金10億円と民間の寄附金から成り、平成28年度までの6年間で使い切る予定です。私は、県の出資額を知ったとき、埼玉県に対しての費用対効果はどうなっているのだろうか、企業にメリットのある事業をしているので、主に企業に出資や寄附をしていただき、県は不足額だけ補てんすることになればと思いました。
しかし、寄附金の実績は、平成23年度は2,133万円、このうちの2,000万円は一法人によるものです。平成24年度は662万円、平成25年度は666万円、平成26年度は562万円、平成27年度は年度途中ですが、1,056万円に過ぎないとのことです。このように、寄附者や寄附金が少ない現状を見ますと、事業の意義について企業から理解が得られず、賛同者が広がっていないのではないかと思われます。
しかし、県が出資するのであれば、各事業の費用対効果について県民に理解していただかなければなりません。例えば、この基金で行っている中小企業若手社員の海外研修の場合、経営者が海外展開の準備など明確な目的を持って若手社員を送り出すため、その後の事業に生かされることで県税収入の増加が期待できる、また、費用の半額は企業が負担するとの説明で一定の理解は得られると思います。
また、同じ奨学金でも、埼玉県医師育成奨学金は、人口1万人当たりの医師数が最下位である本県の地域医療を改善するための制度です。地域医療の崩壊が叫ばれる中、奨学金受給者は一定期間、県内の特定地域の病院へ勤務することなどにより、奨学金の返還を免除されます。この奨学金は、受給者が県に貢献する仕組みとなっているため、大多数の県民の理解を得られていると思います。
それでは、「埼玉発世界行き」奨学金はどうでしょうか。受給者には、県のPR、国際施策、交流事業への協力、グローバル人材埼玉ネットワークへの加入などの責務があります。しかし、応募資格のうちの居住要件を見ますと、県に継続して1年以上住所があれば応募可能ですが、住み始めて1年の方が、研修もなく県のPRをどの程度できるのでしょうか。また、この事業の奨学生は、留学経験を武器に、県内の中小企業ではなく、より待遇の良い県外、国外の就職先を目指してしまうのではないでしょうか。
さらに、聞くところによりますと、「埼玉発世界行き」奨学金を使った方々の追跡調査のためのアンケートを行ったところ、全体で6割程度の回答率であったとのことです。奨学金に感謝して、今後埼玉県に貢献しようとする気持ちがあれば、回答率はもっと高くなるのではないでしょうか。また、回答率が低い原因として、引っ越してしまって連絡がとれない方がいることもあるようです。このような状況で、費用対効果について県民に理解していただけるのでしょうか。
そこで、県民生活部長にお伺いします。グローバル人材の育成という奨学金制度の目的は良いことと思いますが、これは国で行うべきではないでしょうか。もし県が行うのであれば、費用対効果を高めるため、帰国後に埼玉県に根差し貢献するような方々を育てることを目的としていただきたいと思いますが、御所見を伺います。
また、帰国した奨学生に対するビジネス研修や県企業との交流などのフォローアップの状況と参加人数について、併せて伺います。
A 福島 勤 県民生活部長
「埼玉発世界行き」奨学金を検討しておりました平成22年当時、海外への留学生数は平成16年をピークに急激に減少しており、様々な分野でグローバル化が進む中で日本の存在感の低下が懸念されておりました。
そこで、平成23年度に国に先駆けてこの奨学金制度をスタートさせました。
本県の事業に触発されて、国は留学支援事業を強化し、今年度の予算は、平成22年度と比べ約12倍となっております。
また、国の官民協働連携プログラムである「トビタテ!留学JAPAN日本代表プログラム」が創設されるなど、本県の取組は日本の留学制度の充実に大きな影響を与えたものと考えております。
「埼玉発世界行き」奨学金では、世界を舞台に活躍する人もいれば、グローバルな視点を持った上で議員お話の、埼玉県に根差して貢献する人も育っております。
実際に、世界銀行やハーバード大学附属病院などに就職した人もおりますが、海外展開を図る県内企業などで活躍している人もおります。
また、県への貢献は県内企業への就職だけではございません。
この奨学金とは別の制度ですが、埼玉県・オハイオ州スカラシップ制度で約20年前に留学した奨学生が、現在、アジア開発銀行マニラ本部でシニアエコノミストになっております。
彼は、県が 国際協力機構いわゆるJICAとともに、現在 セブ州で取り組んでおります「ものづくり人材育成事業」を進めるに当たり助言をいただいたり、フィリピンの要人を紹介していただくなど、本県とアジアをつなぐ貴重な人材に成長をしております。
「埼玉発世界行き」奨学生も、10年後、20年後には、世界で培った人脈を生かし、産業や文化など幅広い分野で埼玉と世界を結びつける存在になるものと期待をしております。
そこで、県と奨学生をつなぐネットワークを将来にわたってしっかりと育てていくために、帰国した奨学生による同窓会を設置したいと考えております。
次に帰国した奨学生に対するフォローアップの状況についてでございます。
留学する学生は、大学2年生・3年生がほとんどですので、就職に向けて、英語での交渉力を磨く研修やインターンシップ、企業との交流会、面接会など様々なフォローアップ事業を実施しております。
今年度は、県内企業など93社の御協力をいただき、133人が参加をいたしました。
県といたしましては、今後とも、単に留学を支援するだけでなく帰国後もサポートし、国際社会でも地域社会でも活躍するグローバル人材の育成にしっかりと取り組んでまいります。
<注意>
氏名の一部にJIS規格第1・第2水準にない文字があるため、第1・第2水準の漢字で表記しているものがあります。
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