トップページ > 埼玉県議会トップ > 定例会・臨時会 > 定例会概要 > 平成28年2月定例会 > 平成28年2月定例会 一般質問 質疑質問・答弁全文 (新井 豪議員)
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掲載日:2023年5月16日
Q 新井 豪議員(自民)
昨日の権守議員の一般質問にて同様の課題についての質問がありましたが、改めてお伺いいたします。
昨日も話題となりました特定政党の機関紙の記事が生徒に配布されたという問題は、昨年県内の中学校で起こりました。一昨年の一般質問でお話しした私自身の高校生時代の体験では、修学旅行先で当時の政府や特定の政党の批判を聞かされたり、卒業式の国歌斉唱で生徒に起立しないよう強制したりと、教育現場における教職員による思想の押付け、すり込みは以前から頻繁に、そして巧みに行われているのが実情であります。
このたびの選挙権年齢引下げという公職選挙法改正がなされた現在では、選挙権を持った投票直前の高校生が、こうした行為を行う教職員の偏った思想が織り込まれた授業を受けてしまうという可能性を否定できないものとなっております。前回の文教委員会においてそれを懸念する委員の質問に対して、「県立高校では校長が授業観察を行い、保護者、生徒にアンケートを実施するなど制限を超えた政治的行為をする教員の把握に努めており、本件のようなことは県立高校ではないと言える」との答弁がありました。果たしてこのような対応で政治的中立性の確保が本当に徹底できるのでしょうか。校長の授業観察は、全教員の全授業で行われるわけではありません。生徒に対するアンケートを実施しても、政治的中立性についてどれだけの高校生が理解しているのでしょうか。
私自身も長い間、祖国をおとしめる自虐史観のすり込み教育の授業を受けてきましたが、それが政治的中立性を大きく損なうものであったと認識したのは、高校を卒業してからずっと後のことであります。
中学生のときから政治に関心を持っていた私は、地元の選挙が行われているときに、先生たちに「先生は誰に投票するの」と聞いて回ったことがあります。多くの教員が明確に答えなかったことを覚えております。今思えばその教員たちは、教育基本法第14条第2項が頭をよぎったのでしょう。しかし、一部の教員ははっきりと投票する候補者の名前を口にして、そして憲法や消費税という単語を並べて、私に向かって持論を展開してきたことを記憶しております。
消費税法が施行された平成元年当時、私は中学2年生でありましたが、当時の授業の雑談の中で、何人かの教員がこの消費税法と当時の内閣の批判をしておりました。つまり、学校という生徒たちの生活の場で、教室という密室の中で、毎日行われる授業全てを監視できる者などいないのであります。もしいるとすれば、それはやはり生徒たちではないでしょうか。
総務省と文科省によって配布された教材を基に選挙の仕組みやルールの啓発が進められておりますが、これに合わせて教育現場でのルール、つまり教育基本法第14条第2項、教育の政治的中立というルールを生徒たちにも啓発する必要があると私は考えます。学校で、先生が生徒の前で、特定の政党や政治課題について支持や反対するような発言をしてはならないということを、生徒たちに明確に伝えることが必要なのではないでしょうか。
そこで、お伺いいたしますが、この教育基本法第14条の存在からその精神までを高校生に啓発する必要性を含め、また、学校でのふだんの会話から授業中において、ある政治課題について先生は賛成か反対か、又は先生はどの政党を支持していて誰に投票するのかなどと、もし教員が生徒たちから問い掛けられた場合にはどのように答えるべきなのかという具体例も含めて、教育現場での政治的中立性の確保についてどう考えておられるのかを、改めて教育長にお伺いいたします。
A 関根郁夫 教育長
「教育現場での政治的中立性の確保についてどう考えているか」についてでございます。
教員の言動が生徒に大きな影響を与えることや、生徒が自ら考えを深めていく過程が重要であることから、教員がその地位を利用して、特定の政治的立場に立って生徒に接することはあってはなりません。
また、選挙権年齢が18歳以上に引き下げられたことで、学校の政治的中立性の確保がより一層重要になると認識しております。
国が作成した生徒用副教材の中では、教育基本法第14条が紹介されており、学校における政治的中立性の確保の重要性が説明されております。
この教材を活用し、学校は生徒自身が様々な見方や考え方について、自分で考えていく場であることを伝えるとともに、教育活動においては、教員は政治的に中立であるべきことを生徒にしっかり理解させてまいります。
また、国からの通知や副教材の指導資料でも、学校の政治的中立性の確保について改めて説明されており、「教員は個人的な主義主張を述べることは避け、公正かつ中立な立場で生徒を指導すること」とされております。
例えば、生徒からある政治的課題について、「先生は賛成か反対か」と聞かれた場合、教員は、生徒が自ら考えを深め、まとめていくよう指導することが必要です。
そのため、生徒に賛成・反対の両者を含む様々な見解を紹介し、生徒の多面的・多角的な考察を促すことが重要だと考えております。
今後とも、国が作成した副教材を活用するなどして、政治的教養を育む教育を推進するとともに、教育現場での政治的中立性の確保について、学校をしっかりと指導してまいります。
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