トップページ > 埼玉県議会トップ > 定例会・臨時会 > 定例会概要 > 平成28年2月定例会 > 平成28年2月定例会 代表質問 質疑質問・答弁全文 (鈴木正人議員)
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掲載日:2023年5月16日
Q 鈴木正人議員(県民)
年が明けてから中国経済は強制的に取引を止めるサーキットブレーカーが上海市場で発動されるなど、一気に減速感が増し、サウジアラビアとイランが国交断絶する一方、アメリカがイランに対しての制裁を解除し、イランの原油が世界市場に出回ることから原油価格が一気に暴落をしております。一般の県民にはありがたいガソリン価格の下落も、急激な円高と我が国の株安を引き起こしております。
こうした世界激動の年が始まったと言われる本年は、日本国内の政策として劇薬とも言われている日銀のマイナス金利政策などで対抗はしているものの、なかなか厳しい状況は続いております。
ちなみに、日銀のマイナス金利政策そのものが悪いというのではなく、マイナス金利政策が当初考えていたよりもうまくいかないのは、現在の日銀当座預金の準備預金を超える金額、220兆円分は今までと変わらず従来どおりに0.1パーセントの金利がつき、それを上回る分についてのみマイナス金利が適用されるというもので、金融機関が今までどおり黙って何もせず現在の当座預金に預け続けていれば、引き続き0.1パーセントの金利がつき、2,200億円が日銀から金融機関に入ってくるシステムが続いていること。すなわち、引き続き2,200億円の補助金が日銀から金融機関に出続けるわけで、マイナス金利が日銀の全ての当座預金につくわけではなく、増えた分の新規分のみにマイナス金利がつく仕組みであるので中途半端感が否めず、市場にお金が思ったより出回らないのではないかという懸念もあるからだと考えております。
また、金融政策に合わせて、大幅な財政出動による積極財政政策を政府が続けてとらなければ景気の先行きが分からない状況では、企業が新たな設備投資をする環境にないと判断し、金融機関も新たな貸出し先を探すのに苦労するのでうまくいきません。
今や財務省が掲げる財政均衡政策や増税路線では、デフレ脱却や多くの国民が景気回復を実感できることは困難であり、景気が良くならなければ税収の伸びも見込めず、消費税を幾ら上げようとも財政再建すら厳しい状況にあると考えております。まず政府が財政出動し、率先して新たな需要を大規模に作り出すことによって、企業が設備投資のためにお金を借りてみようという気持ちにさせる循環を作っていくことが重要だと考えております。
第一次安倍内閣で経済政策のブレーンを務めた嘉悦大学教授の高橋洋一先生は、景気回復のためには消費税を5パーセントに戻すか、外国為替資金特別会計には円安の含み益の約20兆円、労働保険特別会計には約7兆円もの埋蔵金があるので、埋蔵金10兆円バズーカをぶっ放し、国債の購入量を今の80兆円から100兆円まで増やすべきだと訴えております。
特に世界経済が危ない、世界情勢が緊迫して波乱要因があるときだからこそ、輸出の拡大だけでなく、内需拡大は重要な政策であり、世界の経済情勢を勘案しながら、政府に対しては大胆な財政政策を打っていただけることを期待したいと思っております。
また、景気回復の実感というものは、多くの国民、県民の皆さんの賃金が上がることによって個人消費が活発にならなければ本格的な景気回復にはなりませんから、それまでは実感が湧かないということになります。実感の湧くレベルまで個人消費を活発にさせる施策もやらなければ、大胆な金融緩和施策もうまくはいきません。
こうした景気回復のための所得向上も、官民挙げて政府も自治体も一体となって努力しなければならないと考えております。とはいえ、地方自治体である埼玉県は、政府と違って日銀に政策変更を迫ったり、国債を際限なく発行することなどもできないので、埼玉県の元気のための経済対策としてやれることは、限られた財源の中で必死にやりくりするしかないのが現状であると思います。
厳しい状況をチャンスに変えていくという気概を持ちながら、埼玉県経済が激動の世界情勢の混乱を逆手にとって元気にさせ、日本経済、さらには世界経済に刺激を与えるモデルを発信することは重要なことであると考えております。
また、今や時代遅れの感のある公共事業悪玉論は勢いを失い、防災・減災の観点や、県内経済の活性化や、震災時に救援物資の輸送で重要な役割を果たす幹線道路ネットワークの構築、電線の地中化など都市環境の整備や自然環境の再生など公共事業の意義は見直され、できるだけ早期に計画事業を完成させることこそむしろ大事であるとの認識も広まっております。
地方自治体の長として厳しい財源の中でやりくりをするには御苦労があったと思いますが、平成28年度予算案の施策の中で、埼玉県経済の元気と県民所得の向上に向かってどのような工夫がされたのか、具体的な中身と意気込みについて、上田知事にお尋ねいたします。
A 上田清司 知事
私はこれまで埼玉県経済を元気にするために、積極的に経済対策を進めてまいりました。
平成17年1月からは企業誘致大作戦を取り組んできました。
埼玉県内に本社を置く会社は、平成17年から平成26年までの10年間で1,013社も増加し、全国1位の増加数になっております。
また、企業の事業活動の原資となる銀行の貸出残高の増加額は、平成15年3月から平成27年3月までの12年間で3.3兆円と、東京都に次いで全国2位になっております。
さらに、平成15年度から平成24年度までの10年間における本県のGDPの全国シェアの伸びは0.17ポイントで、愛知県に次ぐ全国2位のシェア拡大となっております。
御案内のとおりこの10年間、リーマンショックそしてまた東日本大震災という極めて困難な時期でもありましたので、そういう中での状況だということも御理解を賜りたいと思います。
最近の経済状況は、中国をはじめとする新興国経済の減速懸念が世界経済を巻き込み、日本も予断を許さない状況でございます。
先般、日本経済新聞にイギリスの経済誌「エコノミスト」の記事が掲載されておりました。
これは、世界の景気浮揚策が金融政策に集中する中で「景気刺激策は尽きていない」、つまり財政投資と構造改革が全然できていないではないかという趣旨の論文でございました。
まさに鈴木議員が指摘されたことでもあり、私の考え方にもいわば一致していることでもございます。
中央銀行を持たない自治体であっても経済活性化についての方策は私もあると思っております。
例えば、圏央道プロジェクトが終わりましたので、国の直轄事業が間違いなく減るということを予算編成の中で意識をしておりました。
したがいまして、それをカバーする県の公共事業を増やさなければならないという考え方をあらかじめ指示しておりました。
こうした観点から県の単独の道路・河川事業を思い切って前倒して、前年度比10%以上の伸びを確保することができております。
直轄事業負担金の落ち込みが大きいために、公共事業費総額では27億円、3.3%の減少になりましたが、直轄事業以外では29億円、4.4%の伸びを確保したところでございます。
また、事業の選定に当たっても、防災や地域経済の活性化に効果のあるところからとの配慮もしてまいりました。
河川事業では、緊急治水事業として3つの事業を立ち上げ、集中的に取り組んでおります。
浸水被害の大きかった新方川の堤防を1年間で嵩上げします。
また、漏水の危険性の高い5河川、約19キロメートルの堤防や34箇所の護岸の損傷などを3年間で改修いたします。
道路事業では、圏央道の県内全線開通を最大限に生かすため、インターチェンジへのアクセス道路の整備を重点的に進めてまいります。
また、東京オリンピック・パラリンピックを目指して、川越や秩父で観光振興につながる歩道の拡幅や電線の地中化を進めることといたしました。
さらに、熊谷ラグビー場の全面改修、埼玉スタジアム2○○2の修繕の前倒しも行います。
こうした財政的な景気刺激策だけではなく、民間の設備投資を誘導するための取組も必要であります。
平成26年度から100億円の基金を財源とした本県独自の「先端産業創造プロジェクト」に取り組んでいますが、これを更に推進してまいります。
ナノカーボン、医療イノベーション、ロボット、新エネルギー、航空・宇宙といった5つの新しい成長分野に県内企業が参入・事業展開できるような支援を進めてまいります。
また、3Dプリンタなどを活用した製品開発など中小企業の新たな事業展開も支援をしてまいります。
雇用の面では、元気な高齢者、いわゆるアクティブシニアが、社会を支える側として活躍できるようセカンドキャリアセンターやシルバー人材センターを活用して就業の支援を行います。
去る2月8日に第1回目を開催しました埼玉県公労使会議では、行政、労働団体、経済団体の代表者が一堂に会し、今後は非正規労働者の問題を集中的に議論し、その解決に取り組んでいくことが決まりました。
求人の多い介護事業分野において、新たに非正規労働者や元気な高齢者が正規雇用者として就業するよう取り組んでまいります。
厳しい財政状況が続きますが、平成28年度予算が埼玉県経済の元気と県民所得の向上につながるように工夫して、幅広く施策を打ち込んでまいります。
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