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掲載日:2022年8月15日

令和元年12月定例会 一般質問 質疑質問・答弁全文(井上将勝議員)

東京オリンピック・パラリンピックを控えLGBTにやさしい埼玉県へ

Q   井上将勝  議員(民主フォーラム

東京オリンピックまで230日となりました。埼玉県においてもバスケットボール、サッカー、ゴルフ、射撃が開催され、多くの海外アスリートや外国人観光客の来県が予想されます。そして、その中には間違いなくLGBT、性的マイノリティーの方々がいらっしゃいます。近年のオリンピック・パラリンピックはLGBTに対する対応に非常に注目が集まっております。
2014年のロシア・ソチオリンピックでは、ロシアがその前年に同性愛宣伝禁止法とも呼ばれる法律が制定されたことへの非難として、当時のアメリカ・オバマ大統領、フランスのオランド大統領、ドイツのガウク大統領など欧米の首相が開会式を欠席しました。その結果、2014年12月に国際オリンピック委員会はオリンピック憲章を改定し、性的指向への差別を禁止、2017年には東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会が制定した「持続可能性に配慮した調達コード」には、性的指向や性自認へ差別の禁止が明記され、大会に関わる全企業に遵守が求められました。
また、前回のリオ・オリンピック・パラリンピックでは、男子競歩のトム・ボスワース選手のパートナーへのプロポーズや、レズビアンであることを公表した女子柔道金メダリストのラファエラ・シルバ選手をはじめ過去最多の50人以上の選手がカミングアウトするなど、LGBTにとってニュースの多い大会となりました。今回の東京大会ではカミングアウトする選手が100人を超えるのではと海外メディアは予想しています。このように、LGBTに対する対応が世界的にも大変な注目を集める時代になったことを鑑みれば、競技が開催される我が県が指を加えて何も行動を起こさないというわけにはいかないと思います。
埼玉県内でLGBTの差別解消を求めて活動しているレインボーさいたまの会は、性的少数者に関する啓発やパートナーシップ制度の導入を求め、県と県内全63市町村に要望書を順次提出する予定で、現在29市町に提出をしています。また、14市町村議会にパートナーシップ制の公的認証を求める陳情・請願を提出し、いずれも採択され、今開かれている市町村議会においてもさらに3議会採択予定となっています。
当事者団体がこれだけ活発に行政や議会に働き掛けている都道府県はほかにありません。そうした当事者の思いを県はしっかり受け止め、具体的に行動をすべきです。東京都では、昨年10月に東京都オリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念の実現を目指す条例を公布し、都、都民及び事業者に性的指向や性自認への理解の推進、差別の禁止を求めました。また、同じく昨年の9月には、東京オリンピック・パラリンピックの期間中にLGBTの交流、情報発信の拠点となるプライドハウス東京が設置されることが発表されました。埼玉県においてもそうした具体的な発信が必要だと考えます。
例えば大阪市淀川区、滋賀県大津市がしたような「LGBT支援宣言」を自治体として宣言することや、オリンピック憲章や調達行動を遵守するよう県内企業に求めること、大会期間中のプライドハウスに県として関わっていくこと、パートナーシップ制導入に前向きに取り組んでいくことなど、できることは山ほどあるはずです。
大野知事はこのたびの選挙、LGBTへの差別解消やSDGs推進を公約に掲げ当選をされました。国際的に大変注目されるオリンピック・パラリンピックに向けて、是非とも具体的な行動でその姿勢を示していただきたいと思いますが、知事の御所見をお伺いいたします。

A   大野元裕   知事

私は知事就任以前から、LGBTQをはじめとするあらゆる人に居場所があり、性別などにとらわれず個性が発揮できる社会を実現しなければならないと考えてまいりました。
そこで、公約の5大プロジェクトの一つである「共生社会プロジェクト」の中で、LGBTQに関する取組を掲げ、強力に進めてまいります。
はじめに、企業におけるLGBTQに関する取組ですが、日本経済団体連合会の会員に対するアンケート調査では、9割以上の企業がその必要性を認識しながら、実際に取り組んでいる企業は4割という結果でありました。
それに対し、LGBTQの方の就労環境整備を進めるため、経済団体の協力を得て県内企業に対して啓発事業に取り組んでまいります。
また、子供たちへの啓発、特に小学校高学年からの対応も重要だと考えています。
そこで、子供たちに相談先が記載されたカードを配布するなど、教育委員会と連携して相談窓口の周知を図ってまいります。
さらに、企業や学校だけでなく様々な分野での取組を進めるためには、LGBTQの方がどのような困難な状況に陥っているのか、どのような支援が必要なのか、県として実態を把握する必要があります。
そのため、来年度の予算措置を検討しているところでありますが、有識者を加えた庁内検討会議を立ち上げ、LGBTQの方が直面している様々な状況などを把握する実態調査を実施し、その結果を踏まえ、必要な支援策を検討し実施してまいります。
誰一人取り残されることのない社会、それこそが共生社会であり、東京2020オリンピック・パラリンピックに向けた私の目指すところであります。
全ての県民が社会の中で受け入れられ、生き生きと活躍できるよう、「共生社会プロジェクト」を進めてまいります。

 

  • 上記質問・答弁は速報版です。
  • 上記質問・答弁は、一問一答形式でご覧いただけるように編集しているため、正式な会議録とは若干異なります。
  • 氏名の一部にJIS規格第1・第2水準にない文字がある場合、第1・第2水準の漢字で表記しています。 

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