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掲載日:2022年8月15日
Q 千葉達也 議員(自民)
昨今の集中豪雨において、1級河川中川周辺の農地は慢性的に冠水しているところであります。地元の農業を守る、地域の財産と言える農業・農村を次の世代へ受け継ぐためにも、現在、羽生領島中領用排水路土地改良区の野本理事長を会長として、土地改良区、加須市、羽生市、久喜市、幸手市、農業協同組合が集結し、中川上流地区国営事業等推進協議会が設立され、農林水産省関東農政局により、国営地区調査として中川上流地区の国営かんがい排水事業実施に向けた調査が進められており、中川上流地域にとってとても重要な時期であると考えます。
また、この中川上流地区の国営かんがい排水事業の計画として、現在の排水形態である自然排水から、地区内を機械排水区域と自然排水区域に区分し、両区域の排水調整を行うことで地区全体の排水機能の向上が図られると聞いております。この事業によって、水稲中心から高収益作物を組み合わせた営農へと発展していくことで、農業経営の安定化に結び付きます。現在は事業計画策定のための事業調査段階でありますが、今の段階から、よりおいしい、より丈夫な高収益作物の導入をしっかりと計画しておくことが、地元の農業を守っていくために大切なことだと思います。
そこで、国営事業の事業化に向けた現在の取組状況と今後の県における取組について、農林部長にお伺いいたします。
また、事業対象地域に高収益作物を導入させるためには、ゲノム編集による新たなオリジナル品種を育成し、埼玉県主要農作物種子条例などにより、しっかりと種子、種苗を生産・供給していくことで重要です。そのためには、農業技術研究センターの研究員や普及指導員の強化育成が必要であると考えますが、県の考え方について農林部長にお伺いいたします。
さらに、中川上流地域のかんがい排水事業の実現に向けては、農業排水の排出先となる1級河川中川の改修工事の完成が不可欠です。現在の進捗状況と今後の見通しについて、県土整備部長にお伺いいたします。
A 牧 千瑞 農林部長
まず、「国営事業の事業化に向けた現在の取組状況と今後の県における取組について」でございます。
中川上流地域は、加須市、羽生市、久喜市、幸手市に広がる約6,600ヘクタールの農地で、県を代表する水田農業地帯となっています。
しかしながら、本地域の排水施設は、老朽化による機能低下や、近年の都市化の進展などにより、台風などの大雨の際には、一部地域で湛水被害が見られます。
そこで、地元と県が連携して国に対し要望を行った結果、本年4月から農林水産省において、「中川上流地区」として国営事業の前段階である地区調査を行うこととなりました。
現在の取組状況ですが、国では、現地調査や排水計画の検討などを進めており、本年度中には、受益となる農地面積をとりまとめる予定と聞いております。
本地域での高収益作物導入につきましては、県と市が協力して導入構想を検討したほか、高収益が見込まれる野菜の作付けに意欲的な若手農家やJAと一緒に、先進地視察や意見交換を行っております。
また、地元では円滑な事業化を図るため、議員お話のとおり、土地改良区、関係市、JAから成る「中川上流地区国営事業等推進協議会」が設立され、県も参与として参画しています。
あわせて、県では、地元や地域の排水を所管する関係機関を構成員とした「中川上流地域連絡調整会議」を設立し、農業排水事業と河川改修事業などとの調整を行っています。
今後の県の取組としては、引き続き連絡調整会議などを通じて、国営調査が計画的に進むよう調整を行うとともに、高収益作物の普及に向けた品目や適地の選定について、市と連携して地元農家を支援してまいります。
県といたしましては、国をはじめ土地改良区や関係市などと、より一層連携し、本地域の湛水被害の解消と、高収益作物の導入に向けてしっかりと取り組んでまいります。
次に、「農業技術研究センターの研究員や普及指導員の強化育成についての県の考え方について」です。
まず、研究員についてです。
多様化する本県の農林業における研究課題を解決するためには、研究機能の強化が重要であり、それを担う意欲と能力のある研究員をどのように育成していくかがポイントです。
このような考えの下、県では近年、進展が著しい先端的技術などに対応し、次代の研究開発を担える若手研究員の確保と計画的な育成を進める必要があると考えています。
また、その他にも、外部の有識者の招へいによる内部研修の実施や、国や民間企業との連携研究などを進めることにより、全ての研究員の資質向上に努めてまいります。
次に、普及指導員についてです。
普及指導員は、直接農業者に接して技術指導や経営相談を行うことにより、農業者の経営支援に取り組んでいます。
こうした中で、近年はスマート農業のような技術革新が進むとともに、農地集積などの地域が抱える課題に対応する必要もあり、従来に比べより幅広い知識や経験、高い専門性が求められています。
こうした状況を受けて、県では「普及指導員研修計画」を毎年度策定し、経験年数や専門分野別に普及指導員の計画的な育成を図っています。
特に、経験の浅い普及指導員に対しては、基礎的な指導力が身に付けられるよう、常日頃の活動の中で、ベテラン職員が指導を行い、技術や知識が着実に継承できるように進めています。
県といたしましては、これらの取組を通じて、研究員や普及指導員の強化育成に努めてまいります。
A 中村一之 県土整備部長
1級河川中川は幸手市内の幸手放水路から加須市の新槐堀川合流点までの約15.4キロメートル区間の改修を進めており、これまでに約9.3キロメートルの改修が完了しております。
令和元年度は、幸手市内において、県道幸手境線の上船渡橋下流約400メートル区間の築堤工事を行っております。
また、久喜市内においては、JR宇都宮線橋りょうの架換えに向けた詳細設計を実施するとともに、工事用道路などの整備に着手してまいります。
さらに、加須市内においては、河道拡幅のための用地買収に着手したところでございます。
引き続き、当該区間における事業の進捗を図るとともに、架換えが必要な道路橋10橋のうち、幸手市、久喜市内の5橋については、詳細設計を進めてまいります。
また、加須市内の5橋については、現在行っている詳細設計が終わり次第、早期に工事着手できるよう用地買収を進めてまいります。
今後とも、中川上流地域のかんがい排水事業の進捗も踏まえつつ、関係機関と調整を図りながら、河川改修を推進し、中川流域の浸水被害の軽減に努めてまいります。
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