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掲載日:2022年8月15日
Q 杉田茂実 議員(県民)
まず本日、この議場にいらっしゃいます皆様が、常に県民の安心安全を守るために行動することが基本原則であることを前提に、知事にお伺いいたします。
近年の自然災害は、2011年3月の東北地方太平洋沖地震や2016年4月の熊本地震に見られますように、地震国日本においてはいつ、どこで地震が発生するか予断を許さない状況に置かれております。また、今年の台風第15号、19号は特に関東地方においてこれまでにない脅威を与え、とりわけ第19号は埼玉県内において戦後最大の雨量を記録し、甚大な被害を発生させました。
尊い命を失われました方々に心から御冥福をお祈りいたします。そして、いまだ不自由な生活を余儀なくされております皆様には、心からお見舞い申し上げます。
改めて、我が国は自然災害にぜい弱な環境にあることを思い知らされました。ことのほか地震対策につきましては、現在、首都直下地震や南海トラフ巨大地震が最重要課題であります。首都直下地震は御承知のとおり、東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県、茨城県の地域のいずれかを震源として起こるマグニチュード7クラスの大規模の直下型地震を指し、その発生確率に対し政府は30年以内に70%という数値を発表しています。30年起こらないかもしれないし、今日起こるかもしれない、それが首都直下地震です。
対策の第一歩はリスクを知り、日頃から意識して備えておくことが大切です。もちろん県庁所在地でありますさいたま市においても、綿密な防災ハザードマップが作成されています。大地震が発生した場合、懸念されますのは県庁の行政機能のまひであったり、周辺の交通、通信の途絶です。県庁の機能がそうたやすくまひしたり、途絶することがあってはならないことですが、近年の自然災害を見るとき、県下の市町村を支援、指導する立場から用意周到な対策が必要であると考えます。
私は、そのような不測の事態に備え、県庁の部分的な機能、施設をあらかじめ分散させておくべきではないのかと考えます。現在でも県庁は確かに本庁、地域機関という形で、あるいは県、市町村という形で移譲や連携をしておりますが、これまでのような形ではなく、もっと強力にバックアップできる機能を県庁から離れた地域、場所に分散しておくべきではないかと考えます。
行政分散の代表格はさいたま新都心です。東京一極集中の是正、災害対応力の強化、行政の分散移転や防災、とりわけ危機管理機能の中枢の優先移転などの考え方から誕生したのがさいたま新都心です。街の始まりは2000年5月5日。当時の浦和、大宮、与野の3市にまたがるさいたま新都心は、東京都心部に集中する行政機能を分散させることを目的とした国家プロジェクトでした。約47ヘクタールの旧国鉄操車場跡に関東甲信越を統括する国の18機関が行政分散と移転されましたのが、今日の姿です。
そこで、知事にお伺いいたします。大規模な災害等により懸念される県庁の行政まひに備え、その機能を現在のさいたま市の県庁舎から離れた地域に分散する必要性について、いかがお考えでしょうか。
さて、県民の安心安全を守る環境整備の次は、県民の幸せの環境整備です。知事も常におっしゃられていますが、県内東西南北地域にはそれぞれの歴史があり、地域力があります。しかしながら、格差が生じていることも現実です。特に地元熊谷市をはじめとする県北地域は人口減少が著しく、格差が生じていることは自明の事実であるなど、様々な難問題を抱えております。
頑張れば成果が出ることばかりではありません。埼玉県としての大きな突破口を創出していただくことにより、県北地域は元気のもとである自然環境と農業環境を生かし切ることができるはずです。特に熊谷・深谷業務核都市基本構想により都市開発区域となっております。1999年決定の第5次首都圏基本計画では、4都市圏が指定されているうちの北部熊谷市、深谷市が都市開発区域となっております。
熊谷市は北部地区最大の人口数を誇り、北部経済の一大拠点であり、深谷市と一体で業務核都市となっているほか、景観行政団体や特定行政庁にもなっております。現在でも市内には国道17号をはじめとする4本の国道等や9本の主要地方道、上越新幹線をはじめとする3本の鉄道路線が走るなど、交通の要衝としての役割を果たしています。また、人口は県内第9位でありますが、農業産出額県内5位、年間商品販売額県内5位、製造品出荷額等県内3位であり、埼玉県北部における経済上の一大拠点をなしています。
そこで、知事にお伺いいたします。県北地域の格差を解消するためにどのように取り組まれていくのでしょうか、知事の御所見をお伺いいたします。
A 大野元裕 知事
まず、県庁の機能を分散する必要性についてでございます。
大規模な地震が発生し、県庁自体が被災した場合でも、災害対策業務を継続して実施できるよう備えておくことが必要です。
このため、本庁舎等は、震度7程度でも建物が機能するよう耐震化を図るとともに、特に災害対策本部が設置される危機管理防災センターは免震構造としております。
また、都市ガスと石油の2種類の非常用電源設備により電力を確保しております。
通信手段についても、NTTに加え、地上系、衛星系の防災行政無線により多重化を図っているところです。
その上で本庁舎等が全て使用できなくなった場合には、危機管理防災部や県土整備部などの防災関係部局は、浦和合同庁舎、その他の部局は被災の状況を踏まえ、地域機関に機能を移転することになります。
さらに、浦和合同庁舎も使用できない場合には、災害対策本部は熊谷スポーツ文化公園内の施設に設置することとなっております。
本県では首都直下地震など五つの地震が想定されており、どこで大きな被害が発生してもおかしくありませんので、このように本庁舎等が使用できない場合の県庁機能の受入先を分散しておくことは重要と考えております。
危機管理体制にこれで十分ということはありませんので、受入先となる代替施設の機能強化など今後も不断の見直しを進めてまいります。
次に、県北地域との地域間格差を解消する取組についてでございます。
議員御指摘のとおり北部地域の人口減少は著しく、国勢調査によると平成22年から27年の5年間で県全体では1パーセントの増加でありますが、北部地域では2.4%の減少と厳しい環境にあります。
こうした状況を踏まえ、私は「誰一人取り残さない」というSDGsの理念を県政運営に取り入れ、「どの地域も取り残すことのない」社会を目指して政策を進めることといたしております。
先日公表した知事公約の工程表においても、北部地域の基幹産業である農林業の振興や、商店街の支援などを重点施策と位置付け、その進め方を示しております。
北部地域をはじめ、各地域にはそれぞれの特性や魅力があります。
こうした特性や魅力を更に高めていくことが地域の活性化につながると考えております。
産業においては、寄居町にホンダの最新の自動車工場、熊谷市にゼリア新薬の製薬工場など様々な企業が立地しており、今後は深谷市にキューピーの体験複合型施設が立地する予定であります。
また、深谷市出身の偉人、渋沢栄一翁が新一万円札に採用されるとともに、令和3年にはNHKの大河ドラマ「青天を衝け」として放映されることになるなど、改めて注目を集めています。
加えて、最近では、ラグビーワールドカップ2019の熱戦が繰り広げられ、多くの観客や県民に感動を与えるとともに、ラグビーによるまちづくりが進んでいます。
このように、北部地域には豊富な地域資源があり、その高いポテンシャルは疑う余地はありません。
さらに、今後、ラグビートップリーグのパナソニックワイルドナイツが本拠地を熊谷に移転することを表明しております。
県としては、これまでふるさと創造資金や森林整備・商店街振興にかかわる補助、市町村の政策担当者が参加する「地域の未来を考える政策プロジェクト会議」などにより、地域の振興の取組を進めてきたところであります。
今後はこうした取組を一層拡充させます。北部地域をはじめとした地域の特性や魅力を更に伸ばし、バランスのとれた魅力ある県土づくりを全力で進めていくことをお誓い申し上げます。
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