環境科学国際センター > ココが知りたい埼玉の環境 > 家庭から「食品ロス」はどれぐらい出ているの?
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掲載日:2023年1月24日
この記事はニュースレター26号(平成27年1月発行)に掲載したものです。
まだ食べられるのに捨てられてしまう食品(食品ロス)は、どのくらい出ているのですか?
どうやったら減らしていけるのでしょうか?
資源循環・廃棄物担当 鈴木 和将
食事する前の挨拶「いただきます」、本当の意味でこの挨拶ができているでしょうか?「いただきます」は、肉、魚、野菜等様々なものの命をいただき、私たちは生かされている、それに対する感謝の言葉です。食べることに感謝できれば、まだ食べられるのに捨てられてしまう食品(食品ロス)は、自ずと減っていくと思うのですが。食品ロスの問題に取り組んでいくためには、まずその実態を知る必要があります。
家庭からどれぐらい食品ロスが出ているのでしょうか?食品廃棄物の発生量について、農林水産省等が推定を行っていますが、より正確なところを把握するためにデータを探してみると、京都市が家庭ごみの詳細な組成調査を行っています1)。これを基に、家庭からどのような厨芥類(生ごみ)が捨てられているか組成状況を図に示します。
生ごみには、調理くず、食べ残し、その他(食品外)が含まれており、食品ロスといわれる食べ残し食品は全体の37.9%で、その内訳は、手つかずで廃棄された食品(手つかず食品)22.2%、食べ残し分15.7%が含まれています。
この組成データと廃棄物排出量を用いて埼玉県の食品ロスを推算してみます。埼玉県の生活系ごみ排出量(平成24年度)は、175万トン(659g/人日)であり、生ごみの比率を35%と見積もり(高月2008)2)、組成データの割合をかけると、埼玉県の家庭から年間約23万トン(手つかず食品13.6万トン、食べ残し分9.6万トン)の食品ロスが発生していると推算されます。
この家庭から出る多量の食品ロスを減らすためにはどのようにしたら良いのでしょうか?京都市の調査では、手つかず食品のうち賞味期限表示のあるものをさらに詳細に調べられており、賞味期限前の食品が21.3%、賞味期限後1週間以内のものが28.7%と、これらの食品で全体の半分を占めています。「賞味期限」とは、美味しく食べることができる期限のことであり、この期限を過ぎてもすぐ食べられないということではありません。賞味期限が過ぎたからといって何も考えずに捨てるのではなく、匂いや色など種々の情報を勘案して自分で判断していくことが、手つかず食品を減らしていくために重要ではないでしょうか。また、食べ残し分を減らしていくためには、食材を買いすぎない、使い切る、食べ切るなど、これらに対して工夫できることはたくさんあります。例えば、埼玉県では、「食べきりSaiTaMa大作戦」を進めており、冷蔵庫に食材のリストを貼って在庫を管理する、週末に余った食材はまとめてお好み焼きにする等々,食品を無駄にしない様々な方法が,県のHPで紹介されています。
今後、この家庭から多量に出てくる食品ロスをさらに効果的に減らしていくためには、このような取組がコストや環境負荷等をどれぐらい減らすのか定量的に評価する必要があり、それにより、食品ロス削減のための合理的な手法やシステムを提案していければと考えています。
参考文献
1)京都市環境政策局:家庭ごみ細組成調査報告書(2007)
2)高月紘:食の廃棄物の実態は?廃棄物学会誌vol.19増刊号C&G、pp.40-45(2008)
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