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掲載日:2023年1月16日
この記事はニュースレター第31号(平成28年4月発行)に掲載したものです。
埼玉県内ではどのような外来生物が問題となっていますか?
自然環境担当 角田 裕志
埼玉県内では、肉食魚のブラックバスや毒グモのセアカゴケグモなど、様々な種類の外来生物が侵入してきています。その中でも、特に問題となっているのがアライグマです。
アライグマは北米原産のアライグマ科の動物です。体の大きさは50cm~1mほど、体重は大きいものでは10kgを超えることもあります。日本にはペットとして飼育するために輸入されました。しかし、アライグマは成長すると気性が荒くなるため、飼いきれなくなった人が野外に捨てたり、逃げ出したりしたものが野生化して、生息するようになりました。雑食性の動物で、鳥のひなや卵、カエルなどの水生生物のほか、野菜や果物、木の実などいろいろなものを食べます。
県内で捕獲されたアライグマについては、捕獲場所のデータが収集されています。平成19年度の捕獲場所は、比企丘陵と県東部の平野部の一部に限られていましたが(図1左)、平成26年度には秩父地域の山奥を除いて県内で広く捕獲されるようになりました(図1右)。また、平成14年に県内で2頭のアライグマが初めて捕獲されて以降、捕獲数も増加し続けており、近年では毎年3000頭以上が捕獲されています。これらのことから、アライグマの生息分布域や個体数はここ10年間ほど拡大し続けていると考えられます。
図1 平成19年度(左)と平成26年度(右)の県内におけるアライグマの捕獲場所の拡大傾向(赤点が捕獲場所を示す)
アライグマの生息域や個体数の増加に伴って、いろいろな問題が起こっています。特に大きな問題は、果物や野菜に対する被害で、県内では毎年1千万円を超える被害が発生しています。また、家屋や神社仏閣の屋根裏などに侵入して、糞尿による汚損や騒音などの生活被害も発生しているほか、アライグマ回虫をはじめとした寄生虫や病気を媒介する恐れもあります。
アライグマは日本にもともと生息する在来生物にも悪影響をもたらす恐れもあります。他県の事例では、カエルや小型のサンショウウオに対する食害や、鳥類のひなや卵の捕食、営巣・繁殖の妨害などが報告されており、県内でも同様の被害が発生している可能性があります。
このような状況を受けて、埼玉県では平成19年3月にアライグマ防除実施計画を定めて、情報収集や捕獲の強化、普及啓発などに取り組んでいます。特に重要な課題である捕獲の強化については、捕獲従事者の育成や捕獲用の箱わなの貸し出しなどを行っています。
捕獲数が増加し続けている現状を考えると、アライグマによる被害を減らすには、さらに防除を強化していく必要があります。捕獲を強化するとともに、アライグマの餌や住処の適正な管理なども同時に進めていく必要があります。
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