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掲載日:2023年10月20日

埼玉県の温室効果ガスの濃度って、増えてるの?

この記事はニュースレター第61号(令和5年10月発行)に掲載したものです。

Question - 質問します

埼玉県の温室効果ガスの濃度って、増えてるの?

Answer - お答えします

温暖化対策担当 嶋田 知英

 埼玉県の温室効果ガスの濃度は間違いなく長期的に増えています。パリ協定等で規制対象となっている温室効果ガスは、二酸化炭素以外にもメタン(CH4)や一酸化二窒素(N2O)、ハイドロフルオロカーボン類 (HFCs)、パーフルオロカーボン類 (PFCs)、六フッ化硫黄 (SF6) 、三フッ化窒素(NF3)がありますが、いずれも、世界的には濃度は上昇しています。埼玉県では、二酸化炭素濃度の観測を行っていますが、世界的な傾向と同様に濃度は上昇しています。また、メタンや一酸化二窒素、ハイドロフルオロカーボン類の濃度も上昇しています。

温室効果ガスとは

 太陽からの光は地表を暖め、暖められた地表は、熱を赤外線に変え宇宙に放射しています。その時、大気中に赤外線を吸収するガスがあると、大気は暖まり気温が上昇します。その様な性質を持つ大気中のガスを温室効果ガス(greenhouse gas、GHG)と呼んでいます。現在の地球の大気には元々様々な温室効果ガスが存在し、そのことで今の気温が保たれています。仮に地球の大気に温室効果ガスが全く無かったとすると、地表面付近は-19℃になりますが、実際には14℃程度なので、この差が、温室効果ガスによる温室効果です。

 最もよく知られている温室効果ガスは、二酸化炭素(CO2)ですが、それ以外にも、メタン(CH4)や一酸化二窒素(N2O)、ハイドロフルオロカーボン類 (HFCs)、パーフルオロカーボン類 (PFCs)、六フッ化硫黄 (SF6) 、三フッ化窒素(NF3)などがあります。また、大気中の水蒸気も、最も地球の気温を引き上げる温室効果ガスとして知られています。

 この様に、大気中には様々な温室効果ガスがありますが、上で示した温室効果ガスのうち水蒸気以外は、人為起源の放出が濃度を上昇させているのに対し、水蒸気は、海洋などからの自然な蒸発が濃度変化の中心で、人為起源の影響は極端に少なく、いま起きている温暖化に直接影響を与える温室効果ガスとは見なされません。しかし、二酸化炭素など人為起源の温室効果ガスの影響により気温が上昇すると、大気中の水蒸気量は増え、更に気温が上昇するという、温室効果の増幅効果(水蒸気フィードバック)があることが知られています。

温室効果ガス濃度の推移

 二酸化炭素などの温室効果ガスの観測は、世界の様々な機関や大学などで行われています。その様なデータを集約し公開する機関として国連の世界気象機関 (WMO)は1990年に温室効果ガス世界資料センター (WDCGG) を設置しました。

 現在、そこには158の機関から提供されたデータが蓄積され自由に使うことが出来ます。なお、環境科学国際センターが観測した二酸化炭素濃度データもWDCGGに提供しています。

 WDCGGのデータを用いて二酸化炭素濃度の世界平均と、埼玉県内で最も長い間観測を行っている堂平山観測局のデータを図1に示しました。ご覧の通り、多少の違いはあるものの、埼玉県の二酸化炭素濃度もしっかり世界と同調し上昇しています。このことからも、温暖化は、特定の地域だけ逃れられる問題では無く、グローバルな問題だと感じて頂けると思います。

図1 二酸化炭素濃度の月平均値の推移(世界平均、堂平局)

 WDCGGには二酸化炭素以外の温室効果ガスのデータも蓄積されています。図2はメタンと一酸化二窒素の推移を示したものですが急速に増加していることが分かります。また、ハイドロフルオロカーボン類なども増加傾向です。

 根本的な温暖化対策は、温室効果ガスの排出削減(緩和策)を強力に進めることですが、その効果を把握するためのモニタリングも欠かすことは出来ません。

図2 メタン・一酸化二窒素濃度の世界月平均値の推移

お問い合わせ

環境部 環境科学国際センター 研究推進室

郵便番号347-0115 埼玉県加須市上種足914 埼玉県環境科学国際センター

ファックス:0480-70-2031

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