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掲載日:2023年1月24日
この記事はニュースレター第38号(平成30年1月発行)に掲載したものです。
環境基準、排水基準はそれぞれどんな意味があるの?
化学物質・環境放射能担当 竹峰秀祐
新聞、TV、インターネットなどで、環境基準、排水基準等の基準値が超過したという話題が取り上げられることがあります。しかしながら、その基準値にどのような意味があるかご存知でしょうか?
まず、皆さんの身近なものの食品を例に説明します。食品には「消費期限」や「賞味期限」が定められています。これも一つの基準と考えることができます。ご存知のかたも多い方と思いますが、「消費期限」は期限を過ぎたら食べない方がよい期限を意味します。また、「賞味期限」は、おいしく食べることができる期限を意味し、期限を過ぎたからといってすぐに食べられなくなるわけではありません。ただし、「賞味期限」を過ぎたものが安全に食べられるかどうかは、消費者が個々に判断する必要があります。(更に詳しく知りたい方は消費者庁HP※1)をご覧ください。)このように、「消費期限」と「賞味期限」で意味があるように、環境基準と排水基準でそれぞれ意味や目的を持っています。環境基準と排水基準の意味や目的を表にまとめました。
環境基準の定義は環境省HP※2)に次のように記載されています。”環境基準は、「維持されることが望ましい基準」であり、行政上の政策目標である。これは、人の健康等を維持するための最低限度としてではなく、より積極的に維持されることが望ましい目標として、その確保を図っていこうとするものである。) このように環境基準とは、国や地方自治体の目標となるものです。基準を超えたからと言って法的な罰則規定等があるわけではありません。
大気汚染、水質汚濁、土壌汚染、騒音に係る環境基準が定められていますが、それぞれで設定に当たっての考え方が異なります。更に項目ごとに細かく基準が設定されており、その設定目的も様々です。すべての環境基準とその項目の意味や目的を説明すると長くなってしまうので、今回は水質汚濁に係る環境基準とその項目について説明します。
水質汚濁については、「人の健康の保護に関する環境基準」(健康項目)と「生活環境の保全に関する環境基準」(生活環境項目)が定められています。健康項目は、人の健康に直接影響を与える項目として基準値が設定されています。しかし、非常に厳しく基準が設定されおり、飲料水として用いた場合、生涯にわたり連続的に摂取(毎日2リットル)しても健康影響が生じない水準に設定された項目等があります。生活環境項目は水を利用した場合に障がいや不快感が生じないように設定された項目、水生生物の保全を考慮して設定された項目があります。
次に排水基準ですが、基本的には水質汚濁に係る環境基準を達成するために、発生源(事業所)の排水を規制することを目的に設定されています。排水基準は、水質汚濁に係る環境基準項目とほぼ同様の項目(追加されている項目もある)になっています。健康項目は環境基準の10倍に設定されており、生活環境項目は一般的な家庭排水において処理できるレベルを想定し基準が設定されている項目等があります。該当する事業者は遵守する必要があり、違反した場合の罰則規定があります。
環境基準、排水基準の内容を少しでもご理解いただけましたでしょうか?基準を超過したというと不安に思われる方も多くいらっしゃるかと思いますが、基準や項目についての意味も理解し、「正しく怖がる」ということも必要かもしれません。
(参考文献)
※1 消費者庁HP: http://www.caa.go.jp/foods/index6.html
※2 環境省HP: http://www.env.go.jp/kijun/
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