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掲載日:2024年10月31日
この記事はニュースレター第65号(令和6年10月発行)に掲載したものです。
熱中症対策に出てくる「暑さ指数」、どのようなもの?
温暖化対策担当 大和広明
皆さんが熱中症対策を考える時、「気温」に着目して対策を行う方は大勢いらっしゃると思います。しかし、「気温」よりも熱中症の発症に関連が高い「暑さ指数」についてご存知でしょうか。
今回は、「暑さ指数」の解説と、それをもとにどのように熱中症対策をすれば良いのか紹介します。
暑さ指数とは、人体と外気との熱のやりとり(熱収支)に着目し、人体の熱収支に与える影響の大きい ①湿度、 ②日射・輻射など周辺の熱環境、 ③気温の3つを取り入れた指標で1) 、値が高くなるほど熱中症が発生する危険性が高まります。①湿度は、高いと人間の汗が蒸発しにくくなり人体を冷やす効果が低下します。お風呂上がりに身体の水滴を拭く前にひんやり感じることを思い浮かべていただければ分かりやすいと思います。これを反映して、湿度が高くなるほど暑さ指数が高くなります。②日射・輻射など周辺の熱環境は、人体への直射日光や熱い地面からの輻射熱によって暑く感じる効果を表します。日陰に比べて日なたの方が暑く感じることやアスファルトの上の方が芝生の上よりも暑く感じることを反映したものです。③気温は、高いほど人間は暑く感じますので、暑さ指数も高くなります。
それではどのくらいの暑さ指数になれば熱中症のリスクがあるのでしょうか。それを表したのが図1です。暑さ指数が28以上になると熱中症の危険性が高くなり、31以上でさらに危険性が増します。そして、埼玉県内の8つの気象庁観測点(熊谷、秩父、さいたま、越谷、久喜、鳩山、寄居、所沢)のいずれかで、暑さ指数33以上が予測される場合に、熱中症警戒アラートが発表されます。暑さ指数31以上では、運動は原則中止、特に子供の場合は中止すべきとなりますが、33以上では特に注意が必要なため、熱中症警戒アラートを発表することで注意喚起を行っています。
さらに、令和6年度に施行された「改正気候変動適応法2) 」によって熱中症特別警戒アラートが新設されました。これは県内の全ての地点で暑さ指数が35以上と予測された場合に発表される可能性があります。発表された場合には深刻な健康被害が生じるおそれがあります。このアラートはまだ発表されたことはありませんが、近い将来発表される可能性があると考えられます。
図1 暑さ指数の値と熱中症の危険性
環境省HPを参考に作成1)2)
環境省では、県内8地点を対象に1時間ごとに暑さ指数を公表しています。3) また埼玉県独自の取り組みとして、環境省よりも多くの地点で10分ごとの暑さ指数を埼玉県気候変動適応センターのwebサイトで公表しています4) 。これらの公表されている暑さ指数をもとに、自分の現在地付近の熱中症の危険度を把握していただき、暑さ指数が28以上の場合にはしっかりとした対策を行っていただければと思います。暑さ指数が31以上の場合には外出を控え、エアコンの効いた涼しい室内で過ごすことも一つの熱中症対策です。外出の際の熱中症対策として、埼玉県では日傘の使用を推奨しています。5) 日傘は直射日光を遮ることから(=暑さ指数を下げる効果)、熱中症の危険性を減少させることができます。
(参考文献)
1) 環境省 https://www.wbgt.env.go.jp/wbgt.php 2) 環境省 https://www.wbgt.env.go.jp/doc_ccaa.php 3) 環境省https://www.wbgt.env.go.jp/wbgt_data.php?region=03&prefecture=43 4) 埼玉県気候変動適応センター https://saiplat.pref.saitama.lg.jp/ 5) 埼玉県 https://www.pref.saitama.lg.jp/a0502/higasa/higasa.html
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