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掲載日:2022年11月2日
この記事はニュースレター第32号(平成28年7月発行)に掲載したものです。
家庭から出るゴミは回収車が来て市町村の清掃センターに運ばれて処理されますが、産業廃棄物はどのように処理されますか。
研究推進室 渡辺 洋一
産業廃棄物は排出する者が処理しなければなりません。しかし、全て自分で処理するのは、困難なため、許可を受けた専門家に委託して処理する場合が多くなります。排出者は、処理を委託する場合には、廃棄物に関する情報を提供し、委託契約を締結するとともに、産業廃棄物管理票(マニフェスト)を発行し、自分の産業廃棄物が適正に処理されたことを確認します。このように管理し適正に処理されているのが大部分なのですが、一部の不心得者がその処理責任を放棄して他人の管理する土地に投棄(不法投棄)したり、故意あるいは事故等により適正に処理されなかったり(不適正処理)した場合(以降、不法投棄等)には、当該地や周辺に支障が生じることがあります。
また、産業廃棄物は、処理を委託する施設の立地している場所に輸送されますので、広域移動する場合があります。埼玉県には多くの産業廃棄物が中間処理のために搬入されます。逆に県内に最終処分場が不足しているので、処理後の残渣等は他県に搬出されています(図1)。不法投棄等により被害が発生すると、受入側からの反発が強まり、こうした広域移動もスムーズに行えなくなります。
図1 関東ブロックの産業廃棄物広域移動量(H25)
(出典:平成26年度廃棄物の広域移動対策検討調査及び廃棄物等循環利用量実態調査報告書、H27.3 環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部から作成)
不法投棄等は近年減少していますが、残念ながら、全国では把握されているものだけで311件起こっており、その内訳は、不法投棄されている産業廃棄物の79.7% 、不適正処理の63.4%が建設系の廃棄物です(平成26年度、環境省調べ)。
建設工事等からは様々な廃棄物が発生するため、山積みされた場合には、崩落による危険、有機物を多量に堆積すると火災の危険、さらに石膏等の硫黄分を多く含む廃棄物が含まれると硫化水素ガスが発生するおそれなどがあります。多量堆積や土砂等が混じっているなど、外観からは内部を含めた判定が難しい場合もあります。当センターでは、不法投棄等現場の調査方法の検討や建設混合廃棄物の選別実験、残渣の有機物除去など選別品の質向上を図る研究、アスベスト含有建材が破砕施設に混入しないための現場での判定方法の研究などを行ってきました。
図2 建設混合廃棄物の選別実験例
大規模災害で発生する「ガレキ」の山や倒壊建築物も、上述の不適正な廃棄物の堆積と同様な危険があります。一方、建設リサイクル法により、分別解体と指定廃棄物のリサイクルが義務づけられており、現場での分別の徹底や、選別機能を持った中間処理施設(破砕選別施設)での処理により、木くず、コンクリートガラ、金属くず、廃プラスチック類などに選別されてリサイクルが推進されています。
日常の適正処理の確立が、災害時の廃棄物処理にも繋がります。また、自分が排出者になった場合には、排出者責任を自覚して適正処理、再利用のための分別や委託の手続、管理を行うことが重要です。
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