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掲載日:2020年3月9日

平成29年2月定例会 代表質問 質疑質問・答弁全文(鈴木正人議員)

臨時財政対策債の廃止について

Q 鈴木正人議員(県民

議場におられる方は御承知のとおり、臨時財政対策債とは県の借金である地方債の一種であり、国の地方交付税特別会計の財源が不足し、地方交付税として交付するべき財源が不足した場合に地方交付税の交付額を減らして、その穴埋めをして該当する地方公共団体自らに地方債を発行させる制度であります。形式的には、その自治体が地方債を発行する形式をとりますが、償還に要する費用は後年度の地方交付税で措置されるため、実質的には地方交付税の代替財源と見て差し支えないと言われております。
地方交付税の財源である所得税、酒税、法人税、たばこ税、消費税の一定割合が不足した場合、従来は国が国債を発行して不足分を補填しておりましたが、平成13年度、2001年から国債発行による補填をせずに交付額を減らす方式に改められたのに伴って、臨時措置として導入されたものであります。当初は、平成13年度から平成15年度までの3か年の臨時的措置として導入された地方債でありましたが、国において地方交付税の原資不足が解消されないことから、現在に至るまでその措置は何度も延長され続けております。
臨時財政対策債の元利償還金は、後年度の地方交付税に理論的に全額算入されるとはいえ、地方債の扱いであることには変わりなく、地方債の残高が累積する原因にもなっており、我が埼玉県でも平成13年度には臨時財政対策債の残高が236億円からスタートしたものが、平成28年度には1兆6,210億円にまで膨らみ続けております。その影響で、埼玉県の責任であるところの臨時財政対策債と減収補填債を除く県債残高は、ピーク時であった平成14年の2兆5,865億円から、平成28年度には2兆738億円にまで5,127億円減らしたにも関わらず、臨時財政対策債と減収補填債を含む一般会計の県債残高全体では平成14年以降も増え続け、平成14年の2兆6,864億円から平成28年度の3兆8,162億円まで、額にして1兆1,298億円も増えております。
将来、地方交付税で全額算入されるとはいえ、政府の借金である国債発行額が世間から注目されるようになってから、ただ単に見せかけ上、国債の発行額を減らしたいがために政府が地方に臨時財政対策債という借金を押し付けて負債を移動させているだけであります。赤字国債が将来世代への資産は残らず、負担だけが引き継がれることから、一般的には赤字国債は建設国債と比較して、その発行を抑制すべきものと考えられております。地方の財源不足について、財源移譲等の根本的解決策を講じることを先送りし、臨時財政対策債の大量発行によって補填し続けることは、いたずらに将来世代に負担を先送りすることを重ねるだけであって、政府は国民の未来に対する責任を放棄しているに等しいと思われても仕方がありません。
また、そもそも赤字国債や建設国債など、政府の国債残高が増えるとハイパーインフレが起こって財政破綻する等の説は、以前はよく喧伝されておりましたが、国債や借入金、政府短期証券を合わせたいわゆる国の借金、正確に言うと日本国政府の負債残高が2013年6月に1,000兆を超えた後も増え続けておりますが、ハイパーインフレどころか低金利やデフレが続き、全く破綻の予兆すら起きておりません。そのことから、日本経済を顧みず、とにかく消費税などの増税をやりたい財務省がその中心となって唱えている「国の借金がこれ以上増え続けると財政が破綻してしまうから、増税が必要」という説は、ここに来て大分説得力がなくなってしまったと感じております。
しかし、いまだ大手主要マスコミなどは国民一人当たりの借金が800万円にもなり大変だとの話を取り上げ、財務省の説を後押ししております。これに対して、第一次安倍内閣で経済政策のブレーンを務めた嘉悦大学教授の高橋洋一先生は、「借金1,000兆円というが、政府内にある資産を考慮すれば500兆円、政府の関係会社も考慮して連結してみると200兆円になる、これは先進国と比較しても大した数字ではない」とのことであります。
また、財務省はバランスシートの負債しか言っておらず、2013年度末のバランスシートを見ると資産は総計653兆円、負債は1,143兆円、負債の総額から資産を引いた額は490兆円であり、これがネットの国債残高となりますが、さらに政府内の子会社を連結させ、日銀も含めた連結ベースではネット国債は253兆円しかないと訴えております。
そして、近い将来にはネット国債はゼロに近くなり、それに加えて市中の国債が少なく、資産の裏付けのあるものばかりになるので、ある意味、財政再建が完了したとも言えるとも著書に書かれております。元財務官僚であり、財務省のうそを見抜く能力のある高橋洋一先生の説が正しければ、政府はそもそも危機的財政状況にないわけですから、そうした観点からも臨時財政対策債を地方に押し付ける意味など全くありません。むしろ、過去発行した臨時財政対策債の償還財源も含めて、税源移譲や更なる地方交付税の法定率引上げによって解消を図ることは、国の財政上も容易にできるわけであります。
埼玉県の平成29年度予算案の歳入を見ても、いまひとつ景気回復の実感がない中、税収自体もわずかながら落ち込む見通しにも関わらず、地方交付税も減らされ、代わりに臨時財政対策債が増えております。
埼玉県は、毎年様々な行政改革の努力をしても、相変わらず右肩上がりで県債は増えていってしまうのであります。よく考えてみれば、制度が続いても将来のツケの解消にもならず、政府の財政危機説が間違いであれば、そもそも出す必要すらない臨時財政対策債、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川、横浜、川崎、千葉市、さいたま市、相模原市から構成される九都県市首脳会議において、国に対して臨時財政対策債を廃止し、本来の姿である地方交付税へ復元するよう粘り強く求めております。また、埼玉県としても国に対して地方交付税の総額の確保と臨時財政対策債の見直しを提言しております。平成28年度で終わる予定であった臨時財政対策債は更に延長され、平成29年度も引き続き大きなウエイトを占めております。
上田知事も過去、事あるごとに臨時財政対策債の問題点を指摘され続けております。多くの自治体の首長さんや理解していただける国会議員の方々と連携し、この臨時財政対策債は早く廃止すべきとの声を更に大きく上げるべきだと考えますが、上田知事の御所見と今までの国への提言などの取組の具体的な中身についてお尋ねをいたします。

A 上田清司 知事

臨時財政対策債は地方交付税のいわば振替えとして平成13年度に始まりました。
臨時と言いながら、制度の延長が繰り返されてまいりました。
現在は平成28年度を期限としていますが、平成31年度まで3年間延長する法改正がただいま国会で審議中です。
発行した全額が後年度の交付税で措置されるものの、形式上は県の借金であることは変わりありません。
私は従来から臨時財政対策債という制度は早く廃止し、本来の地方交付税で対応できるよう交付税率の引き上げを行うよう国に求めてまいりました。
具体的には、今年度においてはまず、本県選出の国会議員の皆さまに対し、6月に開催した会議において、臨時財政対策債の廃止にお力添えをいただくように要望しております。
また、関東地方知事会や九都県市首脳会議などで連携し、廃止に向けた要望活動も実施しております。
関東地方知事会では6月に萩生田内閣官房副長官へ、九都県市首脳会議では6月と10月に菅内閣官房長官へ、臨時財政対策債の廃止の要望をしております。
国の対応としては、平成27年度及び平成28年度には、臨時財政対策債の発行が大幅に抑制され、地方の一般財源の質の改善が図られたところでございます。
また、平成27年度には交付税率の見直しも行われたところです。
しかし、平成29年度の地方財政では、国も財源確保に相当な努力を行ったものですが、再び臨時財政対策債の発行額を増加させるというような見通しになってまいりました。
今後とも臨時財政対策債の廃止に向けて、交付税率の大幅引き上げなど根本的な解決をしないかぎり、地方財政ははっきりしたものになりませんので、引き続き関係の皆さんと一緒に取り組んでまいります。

  • 上記質問・答弁は、速報版です。
  • 上記質問・答弁は、一問一答形式でご覧いただけるように編集しているため、正式な会議録とは若干異なります。

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議会事務局 政策調査課 広報担当

郵便番号330-9301 埼玉県さいたま市浦和区高砂三丁目15番1号 議事堂1階

ファックス:048-830-4923

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