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掲載日:2024年4月1日
Q 諸井真英 議員(自民)
平成28年に、さいたま新都心へ県立小児医療センターが移転してから4年が経過いたしました。移転の是非が県議会で議論されたとき、東北道からのアクセスが良い当時の小児医療センターが移転するに当たり、利根医療圏の小児2次救急に対応する病院がなくなってしまうという懸念がありました。それに対し、当時の上田知事をはじめ県執行部は、久喜市の土屋小児病院が平成27年、つまり小児医療センターが移転する前年までに病床を増やして対応する体制が整うので心配はないと答弁していました。
しかしながら、最近地元で小さいお子さんを持つ親御さんから、夜間に子供が大けがをしたが、受け入れてくれる病院がなく大変困ったとのお話を伺いました。そんなはずはないと思って、幾つかの関係者から話を伺う中で、利根医療圏の手薄な小児2次救急医療体制の現実が見えてきました。
まず、土屋小児病院のホームページを見てみますと、「当院は小児2次救急輪番病院として常時緊急時の診療体制を整えています」という記述がある一方、「休日夜間診療は行っておりません」との表記がありました。更に読み進めると、「埼玉県利根地区では小児休日夜間初期診療体制が十分整っていません」とあり、「夜間休日の緊急時は#8000に御相談ください」ということでした。地域救急医療に御貢献いただいていることには感謝申し上げますが、現状、小児救急に対応し切れていないということが読み取れます。
また先日、加須市で24時間365日、あらゆる患者を受け入れている西山救急クリニックの西山院長にお話を伺う機会がありました。夜間・休日に子供の疾患、特に外傷などにより救急外来に来られる患者が一定数あり、軽傷の場合は同クリニックで対応するが、重傷、緊急を要する場合、特に手術が必要な大けがなどは受入先がなく、大変困る。土屋小児病院はほぼ無理で、県小児医療センターは移動時間がかかる上に当直がいないので無理、タイミングが合えば茨城県堺町にある西南医療センターが受けてくれることもあるとのことでした。
つまり、利根地域では、小児2次救急体制は整っていないので受入れができないというのが今の現状であります。医療の質、コスト、アクセスの三つの要素を同時に求めることは多大な負担がかかることは理解しておりますが、知事がよく使う「日本一住みやすい埼玉県」とか、「誰一人取り残さない」という言葉とは相反するものです。
そこで、以下三点お伺いします。
一点目、土屋小児病院が対応するので心配無用との小児医療センター移転の際の説明と現状が食い違う点について、知事はどうお考えかお伺いします。
二点目は、県は小児医療センター移転後から今まで利根地域に対して何をしてきたのか、地元医師会や医療機関とどのような調整を行ってきたのか、お伺いいたします。
三点目、今後県は利根地域に対してどのような努力をして、いつまでに万全な体制が構築できると考えているか。このまま放置をして良いと考えているのか。
以上二点は、保健医療部長に答弁を求めます。
A 大野元裕 知事
小児医療センター移転の際の説明と、現状が食い違う点についてでございます。
小児医療センターの移転前の平成23年12月定例会の一般質問において「近隣地域の小児救急体制の強化を図るため、久喜市の土屋小児病院を増床し、24時間365日で、初期・2次救急に対応する体制を進めたところです」と答弁をしたところでございます。
現状でございますが、御質問にもございました増床については、既に15床が整備され、現在40床体制となり強化が図られました。
当時、土屋小児病院を増床いたしましたが、その後医師の確保等、運用に問題が生じることになりました。このため、同病院のみでは、2次救急のうちの外科、初期救急のうち休日などを主として対応できていない部分も出ることとなりました。
また、救急搬送患者や転院搬送患者に対応する2次救急につきましては、主に内因性の小児科疾患に24時間365日対応することとなり、先ほど申し上げたとおり、外因性については残されることとなりました。
また、休日・夜間につきまして、先ほど申し上げた点でございますが、自ら来院する初期救急については、必要な医療スタッフが限られるため、全ての患者に対応できなくなりました。しかしその一方で、個別に相談のあったケースなど、必要に応じて現在対応しています。
これらの状況に鑑み、県といたしましては、平成29年10月から#8000小児救急電話相談を24時間化し、子供の急な病気やけがについて、365日看護師が電話で相談に応じることとしております。
また、重症患者の場合にでございますが、さいたま新都心医療拠点に整備したドクターカーは24時間体制で利根地域までをカバーし、ドクターヘリが運行できない時間帯や荒天時であったとしても、迅速な救急医療が提供できる体制を整えました。
さらに、令和2年3月から茨城県との間で、患者の症状に応じた受入医療機関を検索できる救急医療情報システムの相互利用を開始し、県境を越えた搬送の円滑化も図っております。
このような対策を講じることによって、県北東部における初期・2次小児救急医療に対応できる体制を構築をいたしております。
今後でございますが、特定診療科や特定地域で一定期間勤務することを返済免除の条件とした医学生向け奨学金や研究資金の貸与者を利根地域に誘導し、小児救急医療の整備を図ってまいります。
A 関本建二 保健医療部長
県は小児医療センター移転後から今まで利根地域に対して何をしてきたのかについてでございます。
県では利根地域における小児の2次救急医療体制を支援するため、小児輪番病院に対する補助を地元市町村とともに行っており、令和元年度の補助額は市町村の上乗せ補助も含めて、3,536万円となっております。
このほか、土屋小児病院に対しては、小児医療センターと調整し、当直医を毎月1回派遣しております。
しかしながら、同地域では、小児輪番病院が外傷などには十分対応できないなど、圏域外への搬送割合が約3割となっており、そのうちの一部は茨城県への搬送となっております。
こうした状況を踏まえ、患者に対し、より迅速に適切な医療が受けられるよう取組も進めてまいりました。
具体的には、先ほどの知事の答弁にもございましたようにドクターカーの整備や茨城県との間の救急医療情報システムの相互利用で、搬送の円滑化や迅速な医療を提供できる体制を整えております。
次に、今後県は利根地域に対してどのような努力をして、いつまでに万全な体制を構築できると考えているのかについてでございます。
現在県では、利根地域における新たな救命救急センターの指定に向けまして、候補となる医療機関と協議を進めているところでございまして、準備が整い次第、早ければ来年度内に整備を進めてまいります。
利根地域の小児救急患者を含め、昼夜を問わず、迅速に救急医療を提供できるよう取り組んでまいります。
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