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掲載日:2024年3月21日
Q 萩原一寿 議員(公明)
我が国で新型コロナウイルスの感染が初めて確認されて1年以上が経過し、それを理由にした偏見や差別が報道されてきました。特に憤りを感じるのは、医師や看護師など医療機関で働く人とその家族に対するものです。例えば、親が看護師であるという理由で保育園から預かりを断られたり、病院職員だからと引越作業を業者に断られたといった事例が報道されています。インターネット上でも医療従事者に対する中傷が後を絶ちません。命がけで職責を果たそうとしている人たちのことを思うと、残念でなりません。心ない言動が医療従事者の離職や休診、診療の差し控えにつながる懸念もあります。
福井県では昨年7月、感染したことが原因で起きた困った事案などについて、県内の感染者104人を対象にアンケートを実施。このうち24人が陽性だったことがSNSで一気に拡散され、普通の生活ができないとか、家の前を通るのもいやと言われることもあるなど、誹謗中傷を経験していることが明らかになっています。
その後、福井県福祉課人権室ではAIシステムを活用し、インターネット上の新型コロナに係る誹謗中傷、差別の投稿へのモニタリング体制を構築。それらを防止する取組を昨年11月から開始しています。専門業者が構築したAIシステムを用いて、SNSや掲示板サイトにおける福井県や県内市町村名、新型コロナに関する専門用語などから絞り込まれたワードから検索、判定を行います。そこから、問題投稿を抽出し、県に報告。被害者から相談があれば、県から情報提供を行うことによりプロバイダーを紹介し、投稿の削除を依頼することができます。
福井県によると、今年2月4日現在から新型コロナの感染が拡大し始めた昨年3月までさかのぼって調査しました。その結果、計103件にわたる問題の可能性がある投稿を保管しています。それにより、今年1月時点の福井県が報告を受けた誹謗中傷の投稿件数が、昨年4月時点に比べて約80%も減ったのです。
そこで、大野知事に質問します。
新型コロナウイルスに係る誹謗中傷を抑止するために福井県のような県独自のAIによる監視制度を行うべきと考えますが、御見解を伺います。
A 大野元裕 知事
新型コロナウイルスの陽性者やその家族、医療従事者等に対する誹謗中傷や差別的取扱いは決してあってはなりません。
インターネットの匿名性を悪用した、公開されたSNS上での誹謗中傷のみならず、非公開のグループ等における中傷やいわれなきうわさなど大きな問題となっています。
県としては、媒体の監視ではなく、差別を助長する行為の根絶を優先して取り組んでまいります。
昨年12月には、インターネットを使った誹謗中傷の防止をテーマとしたイベントをオンラインで開催し、3,000人以上の方々に御参加いただきました。
また、本年2月には、「コロナ禍でも頑張る人へ、エールを送る応援団になりましょう」と記載した啓発ポスターを作成し、市町村の公共施設や県内の医療機関等に掲示していただくよう依頼しました。
さらに、私自身、県ホームページにコロナ差別防止の解説動画をアップするなど、差別の防止徹底を強く呼び掛けているところです。
議員からは、AIによる監視について、御提言をいただきました。
モニタリングを行う場合、インターネットの特質から、監視する対象やプロバイダー等の管理者の範囲は日本全国に及びます。
インターネットによる人権侵害に対しては、全国レベルで一元的に取り組むことが最も効果的であるとの考えから、これまでも政府に対してその実施を要望してまいりました。
政府は、本年2月26日、被害を受けた人が発信者を特定しやすくするための法案を今国会に提出するなど、対応を進めていると聞いております。
県としてはしっかり国と役割を分担し、差別の防止に向けて丁寧に対応してまいります。
再Q 萩原一寿 議員(公明)
先ほどの知事の答弁でいきますと、国と県の役割を分けてというふうなことで、県のこれまで進めてきた事業、最近は知事が動画でこのことも発信されたことも、私、拝見させていただきました。本当にトップがそういうふうな形でされているというのは、私にも伝わってきたところなんですけれども、これまでの事業というのは、やはり情報提供と啓発。私が質問しているのは、この誹謗中傷に対する抑止がどこまでできるのかというところであります。
そういう意味だと、この誹謗中傷された方の目線に本当に立っているのかどうかというところを踏まえて、知事に再答弁をお願いします。
再A 大野元裕 知事
本年2月、新型インフルエンザ等対策特別措置法が改正されて、新型コロナウイルス感染症に関する偏見や差別を防止するため、国や地方公共団体が取り組むべき事項が定められました。
県では、差別防止を分かりやすく解説する動画やポスター等、広報や啓発活動を強化したところです。
その一方で、差別的な取組に対する抑止の効果が期待できる刑罰、人権侵害については、法務省が取り扱っております。
議員には、福井県での例も御紹介をいただきました。
福井県の例では、起点をどこにとるかによって、対策を講じた以降で逆に投稿数が増加しているという統計もあると承知しています。
いかなる対策が効果があるかについて今後もしっかりと検討させていただきながら、議員の御指摘も踏まえ、今後、閉じられたコミュニティにおける差別やいじめ等の、いわゆるインターネット等の調査では分からないところも含めて、県として、差別の実態を把握しつつ、相談窓口を整えるなど、きめ細かく県しかできない対応について、国と役割分担を踏まえて実施していきたいと考えております。
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