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ページ番号:195428
掲載日:2024年4月1日
Q 鈴木正人 議員(県民)
先日、東トルキスタン新疆ウイグル自治区出身の日本ウイグル協会の于田ケリム会長とハリマトローズ理事が県庁の知事室を訪れ、新型コロナウイルス対策のため消毒用のアルコールジェル120本とウイグルの現状が書かれた書籍「私の身に起きたこと~とあるウイグル人女性の証言~」12冊を埼玉県へ寄贈してくださいました。大野知事も、日本ウイグル協会の方々と直接面会してお話を聞き、ローズ氏は多くのウイグル人が強制収容所に入っている現状を知り、力を貸してほしいと訴え、知事は外交は国がやるものだが、国際情勢への理解を深めてもらうような施策は県にもできると応じてくださいました。
ローズさんは、約100万人にも及ぶウイグル人の強制収容所送りを知ると、抗議活動を始めました。ところが、ウイグル自治区に住むお兄さんから昨年5月に電話があり、「日本で反中デモに参加したのか。地元政府の人がそう言っている。毎週末、お前の家に在日ウイグル族が集まっているというのは本当か」とたたみかけてきました。よく見ると、お兄さんが周囲に目配せをするなど落ち着きがないので不審に思い、ひそかに動画撮影を始めると、十分ほどして画面に地元の治安当局者を名乗る漢族男性が現れ、「日本で活動するウイグル組織について知りたい。力になってくれ。君は祖国中国に貢献しなければならない」と、兄を人質に取り、日本で活動する仲間の情報を伝えるスパイになるよう強要したのであります。画面越しのお兄さんは、殴られたのか顔がはれ、体の節々が痛そうでした。この動画はインターネットでも確認することができます。このような卑劣な行為に怒りを覚えざるを得ません。
これは埼玉県民として決して他人事ではありません。埼玉に住む在日ウイグル人の約半数の方々が既に日本国籍を取得しており、埼玉県民のウイグル系日本人が親族を人質に監視され、スパイを強要されているのであります。
そのほかにも、南モンゴル、チベット、法輪功支持者への中国共産党政府の行う弾圧に対する非難の声は、世界中で高まっております。イギリスのBBC放送は、新疆ウイグル自治区におけるウイグル族らの監視、統制を目的とした再教育施設で性的暴行などが組織的に行われたと報じ、施設に収容されたウイグル族の証言が紹介されました。米国は、中国が新疆ウイグル自治区でジェノサイド(集団殺人)を行っていると認定いたしました。その後も、カナダ下院やオランダ下院でも少数民族、ウイグル族に対するジェノサイド(民族大虐殺)が起きているとの非難決議が可決されております。オーストラリアの外相も、国連監視団が直ちにウイグル自治区に入ることが認められるべきだと訴えております。
我が国の政府は、深刻な懸念を表明した程度ですが、日本ウイグル国会議員連盟が超党派議連として再スタートし、海外で起きた人権侵害への対応を政府に促す国会決議を目指しております。また、超党派の対中政策に関する国会議員連盟(JPAC)が、ウイグル問題は重大な人権侵害として激しく非難し、外国で起きた深刻な人権侵害に制裁を課す日本版マグニツキー法の議員立法を目指していると伺っております。
中東をはじめ国際情勢に精通し、在日ウイグル人にウイグル語で挨拶されたというエピソードも持つ大野知事は、世界中で人権問題として取り上げられ、冬季北京オリンピックの開催地移転やボイコットの声まで上がっているこの非人道的弾圧状況について、どのように人権問題として取り上げ、県民に理解していただくよう支援していくのか、御所見をお伺いいたします。
A 大野元裕 知事
去る2月8日、日本ウイグル協会の于田ケリム会長とお話をさせていただいた際、「ウイグル人の現状を知り、力を貸してほしい」とのお話をいただきました。
新疆ウイグル自治区での人権について、様々な報道がなされていることや国際社会から多くの懸念が示されていることは承知しております。
また、日本政府においては茂木敏充外務大臣が国連人権理事会において「新疆ウイグル自治区の人権状況を深刻に懸念している」と表明をしておられます。
外交は国の専権事項でございますので、地方自治体の長としてこのことについて言及する立場にはありませんが、しかし、いかなる理由があろうとも、特定の人種や民族の人権が損なわれるようなことがあってはならないと感じています。
これは私の基本的な考え方であります。
国連の世界人権宣言でも謳われているとおり「全ての人間は、生まれながらにして自由であり、かつ尊厳と権利について平等」であります。
議員御指摘のとおり、埼玉県に居住するウイグル系の日本国籍を取得された方の人権がないがしろにされているとすれば、深刻な問題であり、法務省等との関係機関とも協調しながら取り組む必要があると考えます。
「誰一人取り残さない、持続可能な発展・成長をする埼玉県」として、国連の掲げる世界人権宣言の精神に基づき、多様な文化や歴史、価値観を理解し、共に地域を支える共生社会の構築を目指してまいります。
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