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掲載日:2021年12月15日
Q 美田宗亮 議員(自民)
平成19年4月の学校教育法の一部改正により、それまでの特殊教育から現行の特別支援教育へと制度改正が行われ、既に10年以上が経過いたしました。その間に、日本の社会全体で障害者に対する理解や支援の必要性の認識が進んできたことから、県立特別支援学校では知的障害者を中心に幼児、児童、生徒数が増加傾向にあり、平成20年に5,016名であった県立特別支援学校の幼児、児童、生徒数は平成30年には7,519名へと大幅に増加しております。
平成19年4月1日付けの文部科学省の通知にある「特別支援教育の理念」を一部引用すると、「『特別支援教育』とは、障害のある幼児児童生徒の自立や社会参加に向けた主体的な取組を支援するという視点に立ち、幼児児童生徒一人一人の教育的ニーズを把握し、その持てる力を高め、生活や学習上の困難を改善又は克服するため、適切な指導及び必要な支援を行う」とされています。さらに、特別支援教育は、これまでの特殊教育の対象の障害だけでなく、知的な遅れのない発達障害も含めて特別な支援を必要とする幼児児童生徒が在籍する全ての学校において実施されるものであるとしています。
この特別支援教育において、特別支援学校は専門的な知識、技能を生かし、小中高等学校などへの相談、支援を行う地域の特別支援教育のセンター的役割を担うこととなりました。これは教育行政全般としては改善されたと言えますが、実際に中心的役割を担う特別支援学校の教員にとっては御苦労が増えたことと思います。
一例として、県内の小中学校における特別支援学級の設置割合は、平成25年度の61.7%から、平成29年度には78.8%へと向上しました。それと並行する形で、センター的機能になっている特別支援学校からの小中高等学校への支援件数も、平成25年度の1万288件から平成29年度には1万4,376件へと着実に伸びています。
さて、このような理念や制度改善を実現するため、各学校には学校長から指名された特別支援教育コーディネーターが配置されています。本県では、その指名率は小中高等学校ともに100%を実現しておりますが、一方でコーディネーター専任の教員は10%程度にとどまっております。この特別支援教育コーディネーターは、各学校における特別支援教育の推進のため、校内委員会や校内研修の企画運営、関係諸機関や学校との連絡調整、保護者からの相談窓口となるなど、多岐にわたる業務を専門性を持って取り組む重要な役割であります。
私自身も、特別支援学校にお子さんが通う保護者や障害児の親の会に参加されている方からお話を聞くことがあります。身体的な障害を持つお子さんを日常的にケアすることはとても大変ですし、学習障害や注意欠陥多動性障害といった発達障害については、それぞれの子が違った個性を持っており、様々な不安や悩みをお持ちです。中には、他人に自分の思いを口にすることができず、御自身の胸の中にとどめるしかない保護者もいると思います。このような保護者からの相談役となり、また各学校や教員の連携を促進する役割を担う特別支援教育コーディネーターの業務は、今後の特別支援教育の推進に向けて一層重要になってくると感じております。
そこで、次の2点を提案させていただきます。
まず、それぞれの児童生徒の個性や発達段階に応じて、様々な要望や悩みをお持ちの特別支援学校の児童生徒の保護者に対してアンケート調査を実施し、児童生徒や保護者の普段は表に出せない個々の実情や気持ちを把握し、要因を分析してはいかがでしょうか。アンケートの要因を分析した結果を参考にして、特別支援教育コーディネーター制度などの充実改善を行うことが学校全体の特別支援教育の質の向上、さらには教員の負担感の軽減にもつながると思いますが、教育長の見解をお伺いいたします。
2つ目は、小中学校における特別支援教育の円滑な推進に向けて、特別支援教育コーディネーターがその持てる力を十分に発揮できるよう、特別支援教育コーディネーターの専任化を進めるべきと考えますが、教育長の御見解をお伺いいたします。
A 小松弥生 教育長
まず、「保護者アンケートの分析結果を参考にした制度の充実・改善について」でございます。
県立特別支援学校では全校で、教育活動や学校運営の改善を図ることをねらいとして保護者アンケートを実施し、その中で保護者の要望や悩みなども把握しているところでございます。
その上で、担任だけでは対応が難しい専門性を必要とする相談などについては、コーディネーターが中心となったケース会議を持ち、組織的な対応を進め、関係機関へ支援をつなぐなどの対応をしております。
しかしながら、児童生徒や保護者の普段は表に出せない個々の実情を把握するためには、アンケート項目の設定や提出方法などについて、常に見直していく必要があると考えております。
今後は、校長会でアンケートの工夫、改善について働きかけるとともに、アンケートをもとにして、コーディネーター制度の充実・改善につなげてまいります。
さらに、引き続き、アンケートで寄せられる内容を分析し、組織的な対応を早期に進めることで、特別支援教育の質の向上や関係する教員の負担軽減にもつなげてまいります。
次に、「小中学校における特別支援教育の円滑な推進に向けて、特別支援教育コーディネーターの専任化を進めるべき」についてでございます。
議員お話のとおり、特別支援教育コーディネーターの各学校における指名の状況は、小・中学校ともに100%でございます。
このうち、平成29年度にコーディネーターを専任として配置している学校の割合は、小学校が8.9%、中学校が13.7%でございます。
各学校の特別支援教育の推進のためには、専任のコーディネーターを中心とした校内推進体制の確立が、大変有効であると考えておりますので、よい取組を紹介し、配置の効果などを各市町村教育委員会に周知してまいります。
一方で、コーディネーターを担う教員を専任とするためには、授業時数や校務分掌等の軽減が必要となるなどの課題がございます。
そのため、県では、小中学校における特別支援教育コーディネーターの定数措置について、これまでも国に対して要望しておりますが、今後とも、機会あるごとに、強く、国に要望してまいります。
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